47.コルトスター
「儂はコルトスターだ。これからお主の主人となる。」
次元魔導なるものでコルトスターの城にやってきた。ケムダーという魔族の国にあるらしいが、一瞬で移動したので正確にはわからない。今はコルトスターの書斎に連れてこられて説明を受けているところだ。
「儂は基本的に魔力を供給する以外にお主に何も望まぬ。だから、余計な真似はしてくれるなよ。」
なぜか釘を刺された。奴隷印があれば絶対服従のはずなのに。とりあえず、このコルトスターがいい奴そうなのはわかった。
「それから、先ほど約束したことだが、すべて守る故に安心せよ。下等生物を飼う程度にしか儂は考えておらんからな。」
なるほど、下等生物か。だから、待遇がいいのかな?まぁ、家畜同然の扱いだけどね。
「細かい世話は焼かぬ。他の人族に詳しくは聞け。細かいルールはない。守るべき約束事は1つだ。魔力を供給せよ。それだけだ。何か質問はあるか?」
「たくさんあるのですが、全て質問しても良いですか?」
「3つに絞れ。儂しか聞けないことにしろ。」
「わかりました。まず1つ目、その尻尾はなんですか?」
どうしても聞きたかったのだ。尻尾が揺れているのを見ると元々あるものだとわかるし、魔族だから尻尾があるのだろうけど聞きたかったのだ。
「ハッハッハッ、儂にそんなことを聞いてきたのはお主が初めてだ。お主は魔族を恐れないのだなぁ。」
「はい。見た目は人族と見分けがつきませんから。」
そう言った途端、立ち上がって狼に変身した。びっくりである。
「儂はウェアウルフという種族でな。人族に見た目を似せているのはお主らへの配慮だ。」
ほほう、これは良い主人に巡り会えた。ぜひともモフモフしてみたい。そんなことしたらさすがに殺されるかもしれないが。もふもふ・・・。
「なるほど、わかりました。次に、魔力を供給するとのことでしたが、何にどのように供給すればよいのでしょうか?」
「それは後程供給場所に連れていく故、いずれ分かる。」
「なぜ供給するのでしょうか?」
「それは3つ目の質問か?」
「いえいえ、これは延長上の話ですので含まれません。」
質問したいことがたくさんあるので、減らされたら困る。ちょっと強引に聞いてみた。
「それは・・・答えない。それ以上聞くな。」
何か思い出したくないことでもあるのだろうか。狼顔が苦しそうになった。
「わかりました。では、最後の質問です。目的を達成したら私は解放されるのでしょうか?」
「そうだな。解放するであろう。」
「わかりました。ありがとうございます。」
思った以上に好待遇である。人生まだまだ捨てたもんじゃないな、と希望が湧いてきた。これならば今後みんなに会いに戻れるかもしれない!