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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第2章 奴隷時代の憂鬱
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45. 奴隷

 

 あの事件の後、僕は奴隷になった。経緯はこの際どうでもいい。背中に奴隷印を押されたため、この先この奴隷印を背負って生きていかねばならない。檻の中に入れられており、人間の尊厳なぞないと踏みにじられているようだった。周りにも檻に入れられた様々な奴隷がいた。大人もいる。奴隷商がお呼びのようで、下っ端が僕を檻から出した。豪華な部屋に通されると奴隷商がいた。


 奴隷商は気持ち悪いやつだった。見た目は装飾品をたくさんしていて派手だし、きれいな服装はしている。見た目というより、中身が気持ち悪いのだ。ニヤニヤと見下す目をしており、商品としてしか見られていないのがわかった。


「これからお前は奴隷として生きていく。奴隷として生きるための様々なことを教えよう。お前は主人に絶対服従しなければならない。元は貴族であったようだが、今は貴族ではない。逆らったりすることも自由に外出することも主人によって決定される。また、魔術具でお前の背に奴隷印を押した。それにより、主人に害意を向けた瞬間お前は苦しむことになる。死にはしないが死ぬより苦しいだろう。この刻印は主人設定をすればいつでも発動できる。今は私が主人だ。試しに苦しみを味わってみるといい。」


 そう言って奴隷商が魔力を送ってきた。途端に激痛が背中に走る。身を焼かれるような痛みにそこら辺を転げまわる。奴隷商がすっと魔力を止めたら痛みは止んだ。痛みの余韻は残り、恐怖だけが自分を支配する。恐怖で冷静な思考ができなくなる。


「この痛みをよく覚えておけ。お前は主人に許可されないと話すこともできない。食事することもできない。人間ですらないからな。死ねと命令されたら死ななければならない。」


 ニヤニヤしながら倒れる僕を見る。見つめられるだけでゾッとする。心がザワザワして落ち着かない。恐怖が体を硬直させ、立つことすらできない。その後も奴隷としての生き方をいろいろ説明された。


「・・・とこんな感じだ。次にお前の奴隷としての価値を見定めなければならない。まず、右手がないことが減点だな。まぁ、それを補うほどの才能があるといいがなぁ。では、嘘偽りなくお前に関する情報を述べよ。名前は何という?」


 嘘偽りなくと言われたためか意思と反して勝手に自分の口が動き始める。


「アルチュール・ゴアティエです。」

「出身は?」

「イェソドです。」

「貴族位は?」

「侯爵位でした。」

「ほう、上玉だな。戦闘はできるか?」

「はい。ただし、右手がないので専用の武器を作って戦います。」


 僕の意思に反して言葉が出てくるので、隠しておきたい情報も伝えてしまう。奴隷商のニヤニヤがどんどん気持ち悪くなっていく。


「なるほど。では、魔術具は作れるか?」

「作り方がわかる物は作れます。」

「ふむ、学術はどの程度できる?」

「アリストでは常に1位の成績でした。アリストで学ぶべき学術の授業はすべて予習済みです。」

「卒業時までのをか?」

「はい。」

「素晴らしい。ほかに何かできることはあるか?」

「魔法と魔導が少し使えます。」

「なんだと!?お前はミトロファンのような存在だな!素晴らしい!とてつもない商品だ!!」


 奴隷商が笑い出した。不快な笑いだけが部屋に響いた。


鬱々としてしまいますね・・・。

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