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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
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44.4. お祖父さまの仇

 

 私はセレスティア・ラーム。今はお父様の仇を討つためにアルの家に来ている。


 コルルベイン公爵によると、お祖父さまを暗殺するように指示したのがアルのお父様であるそうだ。証拠の品々を並べられたときは怒りで震えた。


 コルルベイン公爵がこれからアルの家に行き、一族を捕えるそうだ。抵抗した場合は殺すこともあるそうだ。私は同行させてもらい、最悪の事態が起こったら刺しに行ってもいいと許可された。その際に、一撃で殺せる毒ナイフを渡してもらった。


 アルの家の外で待機していたら、家が爆発で吹き飛んだ。そのあと、コルルベイン公爵とアルのお父様が戦っているのが見えた。憎い!今すぐにでもこのナイフを突き立ててやりたい。しかし、戦闘は激しく私が介入する余地などなかった。


 しばらくするとコルルベイン公爵がやられた。それを見てアルのお父様は警戒を解き、呼吸を整えていた。今だ!足音を消す魔術具を作動させる。ひそかに忍び寄り後ろから刺した。


「お祖父さまの(かたき)!」


 アルのお父様はばたりと倒れた。怒りで我を失っていたが、こう刺してしまったら人を殺した恐怖が襲ってくる。アルの顔が浮かび、もう二度と学友たちとは普通に付き合えないことを思い知った。涙が滝のように流れ始めてわんわん叫びながら泣いた。迎えの騎士が来てもひたすら泣き続けた。自分のしでかしたことの後悔と人を殺した恐怖に耐えきれなかった。



 ☆



 数日後、コルルベイン公爵に呼び出された。左腕が丸々なくなってはいたが生きてはいたのだ。ベッドに寝ながらの姿勢で私を待っていた。


「やぁ、ラームのお嬢さん。」

「デューク・コルルベイン、お怪我は大丈夫ですか?」

「大丈夫ではないな。これからは国を整えつつ、代わりになる左腕を作らねばならない。」

「そうですか・・・。それより今日はどのようなご用件でしょうか?」

「君は今後どうしていくつもりかね?」


 正直、私としては家に居づらい。お祖父さまの死により家族は崩壊状態なのだ。


「国外に出ようかと思っていました。旅でもしていればいいやという投げやりな気分です。」

「ふむ、それは良い考えではないな。旅人は貴族として育った君には厳しすぎる。それよりも他国にいる君の親戚のところへ行ったらどうかね?家は居づらいし、学友とも顔を合わせにくいだろう?」


 確かに私は世間知らずのお嬢様だ。コルルベイン公爵の提案を受け入れることにした。


「では、ゲブラーのラーム家に連絡しておこう。要件は以上だ。今後の君に期待しているよ。」


 退室を求められたので礼を言って部屋から出る。これからの私は人を殺した罪を背負って生きていかなければならない。苦しい世界で生きていく自分を考えてため息が出てしまった。


1時間ごとに連続投稿します。5歳にして人を殺すのは重いですね・・・。この後セレスは秘密裏に国を去ります。

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