表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
47/83

44.起承転転転

 

 目が覚めたら布をかぶせられているのか真っ暗だった。馬車にでも乗っているのだろうか、グワングワン揺れている。最後の記憶を思い出すとミトロファン信仰の過激派にさらわれたことがわかった。死にはしなかったが、どうにも良くない方向に事が進みすぎている。魔力を込めて抜け出そうとするが、なぜか魔力が出てこない。かといって枯渇状態でもない。おそらくそういった魔術具か薬を使われているのだろう。自分の無力さにグッタリする。


 おそらく、お母様もお父様も無事ではないだろう。そう考えたら自然と涙が出てきた。ユースは逃げ切れただろうか。逃げきれても向こうの国が受け入れてくれなかったら・・・。暗く深い海へと沈んでいくような心地だ。しばらく揺れていると外で声が聞こえた。


「おい、金目の物を出せよ!命は惜しいだろう?」

「無礼者が!切り捨ててくれよう!」


 何度か剣撃の音が聞こえた。野盗にでも襲われているのだろうか。何もできないのでとても冷や冷やしながら外の音を伺う。しばらくして数人の男が馬車の中に入ってきた。


「手こずらせやがって。あいつグリルとゼホンを()りやがった!」

「騎士様相手じゃ仕方ねぇ。2人の犠牲で倒せたんだから儲けもんさ。」

「ん?これは人間が入っているぞ?」


 バッと頭にかぶせられていた布を取られる。まぶしい。どうやら誘拐犯は負けてしまったらしい。これからの処遇がわからないのでとても怖い。


「こりゃあ・・・高く売れそうだな!金髪のガキなんざお貴族様にしかいねぇ。」

「奴隷商のところに行くか。これの他に金目のもんはねぇ。」


 最悪だ。殺されはしないが、奴隷になるらしい。腕に魔術具がはめられており魔力が出ないのが確認できた。つまり、今の自分はただの5歳児だ。あがくのを諦めた途端、急に力が抜けた。ザダンカイらに殺されかけ、ミトロファン信仰の過激派に連れ去られ、挙句奴隷にされる。どれをとっても最悪だが、なぜこんなに事態は変わっていくのか。悪いほうへ。これが物語なら起承転結が成されていないクソストーリーだ。


 野盗が僕を担ぎ移動した。野盗の乗ってきた別の馬車に乗せられる。また、グワングワン揺られながら移動する。もうダメだ。お父様たちと一緒に戦えばこんなことにはならなかったんだ。絶望しながら涙を流す。ずっと馬車に揺られ、縛られ、食事は与えられず、糞尿は垂れ流しである。人間の尊厳もへったくれもない。次第に思考はまともにできなくなった。奴隷商に売られた時には心がぽっくり折れていた。


落差が激しくてすみません。鬱な展開で第1章は終了です。このペースで章を分けると章がたくさんできそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ