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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
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42.死神の足音・後編

 

「ユースにはネツァクに行ってもらいます。パラケルル公爵より婿入りしないかと申し出があったのです。」


 そう口を開いたのはお母様だった。あれ?10歳だよな?この世界は10歳で結婚するんだなぁ。カルチャーショック!


「それはつまり私だけ逃げろということですか!?アルはどうなるのです?」

「アルはマジェステの命によりこの国から現在移動できない。しかし、ユースはどうにかなる。私とカミーユは二人に健やかに育ってほしいのだ。ユースはまだその道が残されている。」

「お兄様おめでとうございます。私たちだってなんとかなりますよね?」

「・・・・・・。」


 皆が沈黙してしまった。え?ならないの?死ぬの?


「正直に言おう。どうなるかわからない。今日だけで第二王子派がたくさん寝返ったのだ。」


 驚愕の事実である。すでにもう背水の陣であるらしい。なんとも忠誠心のない奴らである。


「私もここに残ります!」

「いや、もう明後日にはこの国を発ってもらう予定だ。向こうの都合もあるから変えられぬ。」

「そんな・・・。」

「ユース、たくましく生きるのですよ。何かあったらアルを頼みますね。」

「そんな言葉を聞きたくはありませんでした・・・。」


 重たい空気が漂う。お父様に何も打開策が見当たらないのだ。僕もどうしたらいいのかまったくわからない。セレスや他の学友たちはどうなってしまうのだろう・・・。


 突然、窓ガラスが割れた。外から何人かが入ってくる。全員が騎士の鎧を身に着けている。


「くっ、奇襲か!早すぎる!みんな反対の窓から逃げろ!」


 お父様が叫ぶとお母様が窓を割る。お母様とユースと僕はヴァリを出してすぐさま窓の外に逃げる。扉からはディリオスらが入ってくるのが見えた。


「マジェステ殺しの重罪人どもをひっとらえろ!」

「コルルベイン!!!」


 中から怒声が聞こえた。お父様は中で戦っているらしい。どうやらマジェステを殺したことになっているらしい。沸々と怒りがわいてくる。


 ヴァリを飛ばして一族しか知らない秘密の洞窟に行く。後ろから騎士団がおってくるがお構いなしに飛ぶ。しばらくして洞窟の入り口に着く。すぐに仕掛けを作動させ中に入る。中に入ったら内側から鍵をかけた。


「お、お父様たちは大丈夫でしょうか?」

「落ち着きなさい。大丈夫・・・とは言い切れないわね。いい、ユース、私はこちらで囮になるからアルを連れて反対の出口から脱出なさい。こちらの事情は通じているはずだから何としてもネツァクにたどり着いてちょうだい!」

「そんな!お母様一人では無理です!」

「・・・これでも私はアリストで剣術2位の成績だったのよ。大丈夫!刺し違えてでもあなたたちを守るわ!」


 そういってお母様は指輪を僕に渡した。


「アル、これは私とユグドラル様の結婚指輪よ。魔術具だから大事に持っていて。あなたを守ってくれるはず。」


 僕はそれを受け取り指にはめる。ぶかぶかなのでひもを通してネックレスにした。ユースも僕もボロボロに泣いていた。父も母ももう二度と会えないと感じた。突然の別れで脳みそが追い付かない。大切なものが一気に失われていく。


「さぁ、行きなさい!」


 そう言われて泣きながら僕たちは反対側の非常用の出口に向かう。後ろで天井から岩が落ちていくのを見た。お母様は敵がこちらに追いつかないように岩を天井を崩したようだ。


 非常用出口から出てヴァリに乗ろうとする。すると、騎士団が待ち構えていた。先頭にいたのはあの憎き狸であった。


そうです、次はあいつが・・・。

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