34.図書室
次の日、午前中は魔術、午後は学術の授業があった。作ったディッテンを提出して、今日の授業を受ける。午後からは、図書館に行く。図書館で色々な本を読むのだ。
「では、授業が終わったら迎えに参りますね。」
ファーレの言葉にうなづくとファーレが授業に向かう。さてさて、図書館で何を読もうかな!研究の際に参考文献を探すことは重要だ。しばらく探していると図書室の司書さんらしきおじいさんが話しかけてきた。
「こんにちは。何かお探しですか?」
着物みたいな服を着ており、手を反対袖に入れているので腕周りがわっかみたいだ。眉の毛が伸びすぎて目が見えない。服装といい、顔といいは仙人みたいなおじいさんである。名前はファンネルというらしい。
「えぇ、ミトロファン関連の本を探しております。」
「あぁ、あなたがメタンを壊されたアルチュール様ですね。こちらにミトロファン関連の本がありますよ。」
ホッホッホと笑いながら案内してくれる。ミトロファン関連の本を探しているだけでなぜわかったのだろう。
「では、ごゆるりと。」
「ありがとうございます。」
それだけ言うとどこかへ消えてしまった。もっと聞きたいことがあったが、仕方ないから自分で探そう。しばらくはそこにとどまりいろいろな本を読んでいた。図書室は学ぶことがいっぱいあり、居心地がよかった。
帰り際、ファンネルを探したが、まったく見当たらなかった。帰ってしまったのだろうか。
☆
しばらく、体術、魔術、図書室をローテーションし、週末は稽古をつけてもらう日々を過ごしていた。体術は相変わらずやることがなく、稽古で体術の授業の代わりをしているような感じだった。
ある日、ファンネルにまた出会うことができた。
「あぁ、また会いましたね。アルチュール様は頻繁にこちらを訪ねられているようですが、お目当ての読み物は見つかりましたか?」
「ファンネルさん、こんにちは。しばらく見かけなかったのですが、ご健在でしたか。本の方は知識を得るために読み漁っているだけで基本的に探している本というのはないのです。最初はミトロファン関連かなぁ、と思っていただけです。」
「なるほど。ちなみに、ジャンルでいうと何を中心に読まれているのですか?」
「ミトロファンについてか、魔力、魔術、魔導、魔法などについて調べております。魔法、魔導に関する本は少ないですね。」
「ふむふむ。私個人が持っている秘蔵の書を貸して差し上げましょう。魔族の国から流れてきた魔導書です。」
「えっ、そんな貴重なものをお貸しいただいてもよいのですか!?」
「私は本が好きでしてな。本がお好きな方とお話できてとても楽しいのです。その話し相手が読みたいと思っている本を持っていれば貸すのは当然でしょう。」
「ありがとうございます!魔法に関してはまだ見つかるのですが、魔導に関してはまったく見つかっていなかったのです!」
最高だ!次の日持ってきてくれるらしい!家に持って帰って読もう!ファンネル様々である。これで魔導も使うことができるかもしれない!
次の日、本当にファンネルは持ってきてくれた。僕に本を渡すとまたすっとどこかに消えてしまったが。魔導書はきれいに整えられた分厚い古い本であった。見た目、匂いなどから古さがうかがえる。とても貴重な本なのだろう。またその次の日、感謝をするため、エシェルトリアにファンネルの居場所を聞いてみた。
「先生、図書室にいるファンネルさんは先生なのですか?」
「ファンネル?私はそのような人物がアリストにいることを知りませんが・・・。図書室は基本的にアリストの人にしか使えないはずですからそのような人物がいるのはおかしいですね。」
「どこに行けば会えるのでしょう・・・。貴重な本を貸していただいたお礼をしたいのです。」
「・・・もしかすると、図書室の幽霊ですかね。一時期、図書室に幽霊がいると話題になったものですから。」
「ゆ、幽霊?本を貸してくれたのに・・・?」
「世の中には私たちにはわからないことがたくさんあるのですね・・・。」
ファンネルは幽霊だったらしい。また会えるのだろうか・・・?
投稿ペースがたぶん落ちます・・・。