表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
3/83

2.家族と名前


 不貞腐れているのも束の間、様々に興味の湧くことが見つかるので研究意欲は上がったり下がったりする。理系であったが、見知らぬ言語を研究するのもなかなか面白いような気がしてきた。


 気づいたことがいくつかある。まずは、家族の存在だ。父と母と兄がいるらしいが、未だ母しか来ていないらしい。この頃は、目も見えるようになってきたので、母の姿を確認している。母は、キレイな長い金髪で、日本人離れした顔つきをしていた。北欧にいそうな顔立ちだ。美人である。まぁ、異世界転生したのだから、日本とか北欧とかそういったことはだれにも通じないのであろうけれど。


 母からは乳をもらわない。どうやら乳母がくれるらしい。「私は母乳の出が悪いからごめんね。」と母が言っていた。乳母もなかなかきれいな人である。一度成人した男性であったから、初めは乳を吸うのは抵抗があった。が、栄養がないと死ぬので、羞恥心を捨て去り吸った。前回は女っ気もなく、童の貞なまま死んだのだから、まぁラッキーなのかもしれない。


 そういえば、母から呼ばれて自分の名前が分かった。アルチュールというらしい。母からは愛称としてアルと呼ばれているようだ。母の名前はカミーユというらしい。僕の世話役らしき人にそう呼ばれていた。


 母は2回寝ると私の部屋にやってくる。もう体感では1カ月は経っているのに父も兄も来ない。


「アル、もう少しでお父様が戻ってきてあなたのことを抱き上げてくれるからね。」


 母がある日そう言った。どうやら父は今遠くにいるらしい。父に愛がないのかと思ったが、そうではないらしい。別に父からの愛がほしかったわけではないが。こんな美人な母を置いてどこに行っているのだと不審なだけだ。そんなことを思っていたら、何度か寝た後、父親が来た。


「ほ~らアル、お父様だぞ~。うりうり。やわらかいなぁ。ユース、お前の時もこうしてたくさん頬ずりしていたんだぞぉ。」


 ハイテンションな父に頬ずりされ、こちらの柔い頬が痛む。ちょっとキモイ。父に連れられているのは兄らしい。目をキラキラさせながら僕のことを見ていた。父も兄も金髪であった。この感じだと僕もおそらく金髪だ。父は、渋いイケメンである。が、まぁ息子を溺愛している感じは残念である。兄は5歳くらいだろうか。しかし、すでにイケメンの風格をまとっている。


「お父様、私にも抱っこさせてください。」


 目を瞬かせながら兄のユースが言う。


「ダメだ。お父様タイムだ。ユースはこれからいっぱい会えるだろう。私は束の間しか会えぬのだ。今日を楽しませておくれ。」


 父の言葉に兄はショボンとする。そんな姿を見かねた母が兄に声をかける。


「ユース、明日はお兄様タイムにしましょう。午後の剣術の時間を早めに切り上げて、アルの面倒を見てくれないかしら。」


 ユースは途端に先ほどのキラキラを取り戻し、元気よく返事をした。どうやら家族に恵まれているらしい。前世では研究ばかりで小さいころから家族をないがしろにしてきた。今世では、こう愛情を注がれて、なんとなくもう少し前世でも親孝行や妹思いな行動をすべきだったと反省した。今世では研究も家族も大事にしようと思った。



前世で彼は友達は少なかったそうです。恋人いない歴=年齢でしたが、そんなことを気にするような人間でもなかったようです。ただ、俗的な欲はなかなか持っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ