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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
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21.お父様のお叱り・前編

 

 マジェステからのお願いの後、今後の授業方針を決めてその日の授業は終了した。校門でファーレと合流し、家に帰る。すると、家の前でお父様の従者が待っていた。


「坊ちゃま、ユグドラル様がお呼びです。」

「わかりました。すぐに向かいます。」


 横でファーレがワナワナしている。お父様から呼び出されるほどのことを僕がしたのではないかと疑っているらしい。メタンは壊したけれどお咎めなしだし、まぁ大丈夫っしょ。軽い気持ちでお父様の書斎に向かった。ノックをして許可をもらい室内に入る。ファーレは従者なのでドアの前で待機する。


「失礼します。アルチュールが参りました。」

「おぉ、アルチュール!よく来てくれた。そこに座れ。アリストはどうだ?」


 お父様に言われた通り目の前のソファに腰を下ろした。


「とても充実した学園生活が送れそうです。」

「そうか!それはよかった。今日呼び出したのはアリストでの話を聞きたかったからなのだ。まぁ、何を話してほしいかは聡明なアルならわかってくれるな?」

「はい。マジェステがアリストに来訪された話ですね?」

「そうだ。どうしてアリストが学園に向かったのか私は知らないのだ。その、行く前にマジェステの近衛騎士よりアルのことをいくつか聞かれてな。もしかしたらアルが関わっているではないかと思って。」

「実は昨日、メタンで魔力を測定している際に私の魔力量が測定しきれず、メタンを壊してしまったのです。」

「は?」


 お父様は口をぽかんとしている。偉い役職のお父様でもメタンが壊れたことを知らないとは驚きだ。エシェルトリアの反応からするとおそらく国家の一大事であろうに。


「それはどうして壊れたのだ?いや、そもそもメタンができてから壊れたことなど、今までどの国でも一度もなかったはずだぞ?」

「私にはよくわからないのですが、魔力量をためるところにためきれないほどの魔力を私が保有していたようです。」

「こ、これは喜ぶべきか、悩むべきなのか・・・。」


 頭ごなしに叱らず、喜ぶという選択肢が出てくるお父様は最高だ。


「わかった。これ以上の話はカミーユも交えて話そう。私一人では受け止めきれそうにはない。」


 そう言って部屋の外に向かう。外にいる従者にお母様を呼ばせて席に戻ってくる。しばらく部屋が静寂に包まれた。お父様は顎を触って何か考え込んでいる。しばらくしてお母様がやってきた。


「突然の呼び出しとはどうしましたの?難しい顔をなされていますし。」

「アルのことについて本人と話をしていたのだが、ちょっと理解が追い付かなくてな。できれば助けてほしいと思って呼んだのだ。」

「あら、ユグドラル様がそんなに悩むだなんて。一体どのようなことがあったのですか?」


 お父様にした話とまったく同じことをお母様にも話す。すると、口元に手を当ててはいるもののお父様と同様にぽかんとしていた。みんな同じ反応するということは相当やばいのだろうな。


「そ、それでどのような罰が降ることになったのだ?今無事ということは軽かったのか?」

「いえ、お咎めはありませんでした。ただ、私が新型の提案をしたから罰を逃れたのでしょうけど。」

「新型とはなんだ?どういう意味だ?」

「あぁ、メタンの改良案があったから口にしたのです。それを採用していただき、実際に作るだけでメタンを壊したことは不問にするそうです。」


 研究できるよ、やっほーいとは言わないでおく。家族に幻滅されたくはない。


「えー、そのー、まったくわからん。カミーユわかったか?」

「えーっと、代わりの物を作るってことよね?」

「そうです。」

「いや、そこはわかるのだ。違う。なぜ改良案が浮かんだのか、そして、それをマジェステに提案してみようという考えになるかが私にはわからないのだ。」

「そうですね、そればかりは私にもわかりません。」


 別にマジェステに直接言ったりはしていない。エシェルトリアが勝手に言ったのだ。目の前の両親は頭を抱えてしまっている。


両親は二人とも話を一つ聞くごとに顔が青ざめていきます。

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