20.マジェステの来訪
次の日はクラス分けがされていた。すべてが1組の僕は覚えやすいのでメモする必要がなかった。体術の教室以外は基本移動しないらしい。クラスメイトは、魔術クラスが5人、体術クラスが7人、学術クラスは12人であった。ファーレは学術クラスでのみ一緒だ。まさか体術クラスまで1組になるとは。今日は魔術クラスで顔合わせらしい。
「みなさん、おはようございます。」
「「「おほようございます。」」」
割と元気な人がいるようで、つられてあいさつの声が大きくなってしまった。この魔術クラスの先生はエシェルトリアなようだ。昨日倒れたからか、少し顔色が悪い。すまんね、先生。
「まず、みなさんは学術で優秀な成績を得られる賢さと豊富な魔力量を持ち合わせている人たちです。イェソドの未来を切り開いていけるようにたくさんのことを学んでください。」
ほう、魔力量だけでなく頭の良さも必要なのか。少数で学べるので学習効率が良くなりそうだ。
「ただ、昨日前代未聞のメタン破壊事件が起こりました。それを受けてマジェステが直々にこのクラスにお話をなさるようです。」
えっ、事件扱いされてるの?ん?というかマジェステ?マジェステってこの国の、イェソドの王様じゃないか!?やばい、やらかしすぎたのか・・・。頭の中はパニックである。しかし、誰も考える時間を与えてはくれない。マジェステが数名の騎士を連れて入ってきた。マジェステは先生のよこに立って話し始める。
「おはよう。私がこの国のマジェステである。今回は皆にお願いがあってきたのだ。」
マジェステは優しそうなおじいさんだった。目元はしわがれており、年を感じさせる。にこやかな表情をしているが明らかに疲れていることがわかる。どうやらお咎めではなくお願いらしい。ほっと息をつく。
「このメタンはそこのまれに見る優秀な少年によって壊された。しかし、ミトロファン様がこれを作ったのはもう200年も昔のことだ。だから、君たちにはこれを改良してほしいのだ。」
「発言してもよろしいですか?」
綺麗な銀髪の男の子が手を挙げて許しを請うた。
「許そう。」
「スタンツ家のオルフェヴルです。なぜ私たちが改良するのでしょう?エシェルトリア先生の方が私たちより詳しいはずです。」
「ふむ。オルフェヴル、君の考えは正しい。しかし、エシェルトリアが言うには壊した彼、アルチュールならばもっといいものができるかもしれないとのことだそうだ。だから、壊した罪を不問にする代わりに作ってもらおうと考えたのだ。その上で、君たちを巻き込めば質の良い学習ができるそうだ。」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます。」
やっほーい!!研究じゃあああああ!王命研究できるぞおおおおお!エシェルトリア様々です!
「ただし、来年測定することができないのでは困ってしまう。そのため、期限は1年である。皆頼むぞ。」
「従来の魔術の勉強はすぐに終わらせなければならないから、今年だけ特別に優秀な人だけを選びこのクラスを作らせてもらったのよ。頑張ってね!」
満面の笑みでエシェルトリアがマジェステの言葉に付け加える。締切が来年の入学式までとかきっつ・・・。知識ゼロでスタートするのに・・・。まぁ、念願の研究だからいいか!!
アルは研究できると知って荒ぶります。ちなみに、オルフェヴルくんも全クラス1組の天才です。