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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
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1.異世界転生

 僕は死んだのだろうか。光すら届かない。なにやら水中にいるのはわかる。体も動かないが、それよりも狭いところに押し込められているようだった。


 突然、バッと光が目を刺す。とは言えども目は開いていないからまぶたの上から明るいことが感じられる程度だ。よかった。どうやら生きていたらしい。


 周りからは声が聞こえる。低い声や高い声が嬉しそうに話しているが、なにを言っているかはまったくわからない。日本語ではないみたいだ。抱きかかえられているのがわかる。なんとなく今の状況がつかめてきた。


 どうやら生まれ変わったらしい。先ほどの暗い場所は母親のお腹の中であったようだ。分析しようと頭は回るがまぶたを開けられないものだから眠くなってきた。


 あぁ、仕方ないから寝てしまおう。



 ☆



 それからというもの寝て、食事をして、寝ての繰り返しを重ねた。やがて目は開き、話し声もしっかり聞こえるようになった。目はまだ幼児だからかぼやけてはいるが、耳ははっきり聞こえる。まずは言語習得に向けて周りの声を聞きまくる。


「・・・寝ている・・・・・・ぐっすり・・・。」


 まだまだわからないが少しずつ単語を覚え始めた。なぜだろうか、日本語とはまったく違う言語なのに単語の意味が少しずつわかってくる。なにか特殊能力でもあるのだろうか?


 死ぬ前の記憶があり、生まれ変わったのならば転生したのだろう。


 あぁ、また眠くなってきた。寝よう。



 ☆



 そこからどれほど時が経っただろうか、完全に話す言葉がわかるようになってきた。どうやら泣かない赤ちゃんの僕を周りの人は心配しているようである。


「泣かないから何か用意したほうがいいかしら。」

「うーん、魔術具でも見せたら喜ぶかしら。」


 魔術具!?なんだか非科学的な単語が聞こえた気がする。なんだ気になる!でも、目が見えない。これは新たな研究対象ができた。そう思うとぐぐぐっと生きる意欲が湧いてきた。魔術があるということは魔力もあるのだろうか。ファンタジックな感じではあるが、実在するならぜひとも扱ってみたいものだ。どうやら転生は転生でも、異世界転生らしい。まずは、自分の体内に魔力があるのかを確認しよう。いや、魔力ってどうやって確認するんだ?・・・これはダメか。未知なことを調べようにもまだ聴覚ぐらいしか使えるものがないんじゃ厳しい。


 あぁ、そういえば触覚もあるんだった。手をグーパーしてみる。右手がグーパーできない。できないというより右手がない?なぜか手の先にまで「動かせ」という命令がいかない。まさかの片腕で生まれてきた!?確証はないが、おそらくないのだろう。先ほど出てきたやる気はシュンとしてしまった。右手はないわ、魔力もわからんわ、魔術具も見れないわですっかりやる気がなくなった。


 もういいや。寝よう。不貞腐れて今日も寝ることにした。



彼は博士課程の大学院生だったらしいです。享年25歳。

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