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魔道体系学の祖  作者: 五反田鐡ノ進
第1章 幼少期の思い出
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16.ワルーイやつ

 

 入学式の次の日、学校生活1日目が始まった。アリストへは黒~赤の6日間登校して銀、白の日の2日間は休みとなる。今日は週初めの黒の日である。クラス分けを行うために今日は体力測定、魔力測定があるらしい。学ぶことは、学術、魔術、体術の3つで、それぞれ1から順にレベル別にクラス分けされる。ちなみに学術のクラスは最高の1組である。当たり前か。ファーレと共にアリストの校門をくぐると奴に話しかけられた。


「おい、トレゾール。お前、昨日は調子に乗ってたな。」


 無視である。そう、めんどくさいワルーイなぞ無視して通り過ぎるに限る。加えて、蔑称で呼ぶのだから無視するに決まっているではないか。無視して通り過ぎるのに腹を立てたのか、横をついてきながらワルーイが語気を強めてワーワー言ってくる。


「おい、聞いているのか。無視するとは無礼な。私の父はフュルストだぞ。お前の父はフュルストでも母はグラーフだったらしいじゃないか。そんなお前が主席なぞ、ズルをし・・・。」


 ファーレが行く手を阻んだワルーイの顔を殴った。言葉の途中で不意に殴られたワルーイは唖然としている。ナイスファーレ!お母様の悪口を言うものだからファーレが殴っていなかったら僕が殴っていた。フンと軽蔑視線を一度向けてワルーイの横を通り過ぎる。


「バロンの息子ごときがこの俺に手をあげるだと!!」


 ワナワナしながら後ろで怒りに打ち震えている。ワルーイの側近の子はワルーイを心配しているが、おろおろしている。使えなさそう。ファーレはやっぱり素晴らしい。


 中庭で体力測定が行われるのでそちらに向かう。長距離、短距離、体術の三項目らしい。実はこれでも元陸上部である。中距離の選手だったので両方とも走り慣れてはいる。走る準備をしていると、突然ひらめいた。体に魔力を巡らせて走ったらどうなるのだろう。そう考えた時にはゆっくりと水のように魔力を巡らせていた。


「さぁ、みな、あの木まで走るのだ。」


 体育の先生らしき人がスタート地点についた生徒たちに声をかける。木までは目測だと100m程度である。位置についてクラウチングスタートの姿勢をとる。足元には固めた土を作り、蹴り出しやすいようにしてある。横にいるファーレは僕を不思議そうに見ている。


「はじめっ!」


 生徒が一斉に飛び出す。僕はスタートからゴールまでぶっちぎりであった。魔力を巡らせると身体強化できるようだ。先生がストップウォッチのようなものを見てポカーンとしている。あらまたやっちゃった。


「じゅ、10秒?」


 おぉう。この年でそれは世界記録目指せそうだ。魔力様々である。同様に長距離もぶっちぎり1位であった。先生そんなに口を開けていたら顎が外れますよ。


「アルチュール様、やりすぎかもしれません。」


 ファーレに咎められた。しかし、もう遅いのである。僕の周りには同級生が集まりだした。男女関係なく、「すごーい。」だの「どうやってやったの?」だの「あのポ-ズは何?」だの言ってくる。取り巻きの中には先生までいる。


「体術の教員であるカーデンだ。ぜひ後で話を聞かせてもらいたいものだ。」


 あ、先生はムキムキで体育会系だけど、研究者の気質もあるらしい。僕はまた研究者のあの好奇の目を向けられている。やばい人に目をつけられたかも。カーデンが「次は体術だ。」というと取り巻きは少しずつ準備をし始めた。どうやら体術は木剣によるチャンバラらしい。ただ、ちょいちょい剣ではない武器を持っている子もいる。


「よーし、2人ずつ決闘形式で試験していくぞ。怪我したら直すから私が止めるまで心置きなく戦ってくれ。」


 5歳児たちに言う話ではないが・・・。この世界の5歳児は前世のの5歳児とはだいぶ成長具合が違うようだ。あー、そういえば、短い木剣では不利かもしれない。いやー、また魔力アシストしておくか。今度は水のイメージではなく、風のようにふわりと魔力を纏う。


「さて、ペアを組め。既知のものでは手加減してしまうかもしれない。知らぬもの、あるいは実力が見合いそうなものを選べ。」


 みんなが僕から離れていく中、一人だけ前に進んできたやつがいた。


 ワルーイだ。


研究ばかりの主人公を心配した前世の母が半ば無理やり陸上部に入れさせたそうです。凝り性なので案外はまっていました。前世の体育の成績は中高ともに5段階で4です。

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