表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/150

第18話 ストーカーは何処へ

「何してんの久土! どうして見失うのよ!」


 翌朝、俺は金城に怒られていた。昨日の追跡に失敗したからだ。ひいぃ。


「わ、悪かったって。麺太に邪魔されたんだよ」

「向日葵君かー。ホント向日葵君ってウザイね」

「金城さん!? 直弥の隣が僕の席だからね? クリアに聞き取れるからね!?」


 まあ実際は麺太のせいではなく俺が久奈とお喋りしていたせいなんですけどね。これ言うと金城の怒りが増すので絶対に言わない。

 あはは、と渇いた笑みで場を濁しておこう。そんな俺の肩をちょんちょんと突いてきたのは麺太。


「ね、ねえ、何かあったの?」

「お前には言ってもいいかな。内緒だぞ、実は金城がストーカー被害に遭っているらしい」

「ちょっと久土っ、秘密にしてよ」


 そうカリカリするなよ。麺太程度の人間には言っても問題ないでしょ。もしかするとこんなアホでも何かしら情報を持っているかもしれない。


「てことで不審な人がいたら報告しろよ」

「別に向日葵君には期待してないよー」

「き、金城さん酷いなぁ! あはは!」


 麺太うるさい。やっぱ言わなきゃ良かったわ。











 それから三日間調査したがストーカーらしき人物を発見するに至らなかった。

 寧ろ三日連続で尾行している俺がストーカーなのでは?と支離滅裂な思考に陥りそうだった。そうならなかったのは、隣に久奈がいてくれたおかげである。一人と二人では気の持ち方が全く違う。


「今日も現れず、か」


 調査開始から四日目の金曜日。今日も俺と久奈は金城の後方十メートルの距離を保って移動中。慣れたものだ。けれども俺ら以外に金城の後を追っている人は見当たらない。

 やっぱりストーカーってのは、


「なお君」

「分かってるよ」


 被害妄想ではない。金城は間違いなくストーキングされたのだ。そしてあいつは怖い思いをしている。

 俺らが信じてあげなくてどうするんだ。金城と約束しただろ、なんとかしてやるって。じゃあなんとかしてやろうぜっ。


「とか言っているうちに今日も金城の家に着いたのでした!」


 結局今日も収穫はなし。金城が家の中に入っていくのを見届けると携帯のロックを解除して『今日も不審者はおらず(笑)』と送信。

 これで四日連続だ。日曜と月曜にストーキングされて、火曜から金曜までストーカー野郎の姿は発見出来ず。見つからないのだから手の打ちようがない。


「とりあえず土日は様子見だな」

「ん」


 久奈がコクリと頷き、金城にもその旨を伝える為『土日は追跡しない(笑) 何かあったらすぐ連絡してね(笑)』と送信。俺のかっこ笑の使用頻度が高い。ウザイタイプのやつだ。

 にしても、どうしてストーカー野郎は現れなくなったのだろうか。一度ストーキングして満足した? 金城の住所を特定するのが目的だった? 一体なぜ?

 ……駄目だ、ストーカーする奴の動機が見当つかない。アブノーマルな性癖はないので俺には分かりませぬ&解せぬ。


「なお君帰ろ」


 久奈が制服をくいくいと引っ張ってくる。そうだな、考えても分からんし、しばらくは放っておくべ。月曜日にまた調査しよう。

 来た道を戻り、駅へ戻る。


「そういや今日は金曜じゃん。明日から休みだぜふぉう!」


 土日と聞いて喜ばない高校生はいない。うーわーテンション上がってきたわマジでぇ。


「なお君上機嫌だね」

「ったり前だろ~。待望の土日だぜ? のんびり三度寝してグータラ過ごすわ」


 明日は何しよっかな。水の神殿を攻略したい! そろそろ小さなカギ見つけたいよ。


「ん。私は夕方頃に行くね」

「なんだ遊びに来るのか」

「泊まりに行く」


 軽快に歩んでいた俺の足がピタリと止まる。止まる、とまる……泊まる?

 久奈は何を言っているんだとツッコミを入れようとした時、思い出した。

 ……そういやウチの両親と久奈の両親が旅行に行くんだった。で、久奈がウチに泊まると。


「なお君は夕方から暇? 晩ご飯の材料を買うの一緒に行こうね」


 歩みを止めた俺の服をくいくい引っ張る久奈はいつも通り無表情。動かない俺を見てきょとんとしている。

 久奈と二人きりでお泊まり……うーん、大丈夫なの、か……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ