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第13話 仲良しガールズ

 お姉さん達がセクシーな衣装に身を包んで棒術の如く自撮り棒を操り、洋画キャラクターをモチーフに派手な色合いの仮装した男女問わず様々な人達が闊歩する。この通り予想通り駅前通り~、ハロウィン当日は混沌の場と化していた。人がたくさーん。

 俺と久奈は二時間カラオケを楽しんで一時間ダーツをした後、賑やかさを通り越して騒々しく暴れる人混みを抜けてコンビニに寄る。


「肉まん食べよーっと」

「晩ご飯が食べられなくなるよ?」

「どうせ晩飯は残りものだから期待しておらぬわ」


 学校を出て三時間以上経ち、時刻は十九時を越えている。母さんは俺の帰りが遅いと勝手にメインのおかずを食い散らかすのだ。この前なんて白米と味噌汁とエビフライの尻尾のみだった。育ち盛りへのアンチテーゼを感じたね。


「久奈も買えば?」

「なお君の半分ちょうだい」

「えー」


 などと会話して会計してコンビニを出ると、知り合いにバッタリ遭遇。

 モデルのように足が長くスレンダーで、キラキラとギラギラを兼ね備えた派手な栗色の前髪は左右に撫でられてセンター分け、おっとりとしたタレ目は水色に澄んで小麦色の肌と相まってギャル度が高い。そう、金城だ。


「久奈ちゃんと久土どもども~。どしたの、デート中?」

「帰宅中&肉まん中だ」

「あ、肉まん。ねぇ久土ぉ~、半分ちょーだいっ」


 俺が手に持つ肉まんを見た瞬間態度が一変。なんすかそのゆったりとした甘ったるい声。あざといんだよ。


「なお君、私も半分」

「俺の分がなくなっちゃうんだが!?」


 結局俺の買った肉まんは女子二人に奪われた。ヤベェよヤベェよ、肉まんが食べられなかった俺には残飯晩飯しかない。残飯晩飯って何かの必殺技みたいに聞こえない? うん全然聞こえないばーかじゃねぇの。

 移動していると携帯が震えた。画面には『麺太:時オカ難しい!』のメッセージ。返信はめんどいのでスルーする。


「え~、久奈ちゃんカラオケ行ったの? いいなぁ」

「楽しかった。また舞花ちゃんと一緒に歌いたい」

「あたしも。今度行こうねっ」

「ん」


 肉まんを食べた女子二人はお喋りがしたいらしく駅前のコーヒーチェーン店に来た。スタバなうってやーつだ。俺も同伴している。

 久奈と金城が注文したのはフルリーフチャイなんとかラテなんとかミルク。何それふっかつのじゅもん? ちなみに俺はブレンドコーヒー。シンプルが一番。


「舞花ちゃん、その袋はうぃーごだよね」

「お、久奈ちゃんお目が高い。前から欲しかったハット買っちゃったのだっ」

「可愛い」

「でしょ~。久奈ちゃんかぶってみる?」


 前々から思っていたが久奈と金城は仲が良いんだよね。正直意外ではある。

 久奈は落ち着いたクールな佇まいの清楚系、片や金城は派手な外見と快活明朗な性格のギャル系。相反するタイプ同士と思いきや二人は仲良し。俺がいないところでよく遊びに行っているそうな。べ、別に呼ばれなくて寂しいわけじゃないんだからねっ。あ、ハットをかぶった久奈可愛い。


「さっきから久土はなんで神妙な顔してるの?」

「お前らってキャラ違うのに仲良いなぁと。女子ってもっと喧々しているイメージだった」


 教室では親しげに話しているけど実際は仲悪いってみたいな。女子は体裁と所属グループを気にする生き物って少女漫画で読んだよ。女の意地悪さを知れるので結構読みます。芋けんぴ付いてたよ☆


「仲良いよ~。いつも久土の話で盛り上がってる」

「ん」


 おいおい君達は俺がいないところで俺の話をしてんのかよ。ぜってー愚痴だろ、ぜってー笑い話だろ!

 とりあえず久奈を訝しげに睨む。こいつは俺の過去の醜態を知り尽くしている。何か言ってないだろうな?


「大丈夫だよ。なお君が小学校の遠足の時、おにぎりを落として拾おうと走ってそのまま池に落ちた話しかしてない」

「結構なこと暴露してるじゃねぇか」

「中学校の水泳で潜水五十メートル泳げると豪語して挑戦したら酸欠になって倒れた話しかしてないよ」

「だからしてるだろ! つーか俺って水系の醜態が多い!?」


 あのね久奈、君は俺の恥ずかしいエピソードをたくさん知っているんだよ。いくら金城と仲が良いからってなんでもかんでも暴露しちゃあかんのやで! 金城にバレる=女子グループに知れ渡る=俺はクラスの笑い者になるから。


「心配しなくても久土は既にクラスの笑い者だよ」


 俺の頭をナデナデする金城が楽しげに笑う。出たな読心術、それチートだろ。

 それに、あぁん? 俺が笑い者だと? 高校では真面目に過ごして……いないよね。ここ最近だけでも『朝昼ゲロ男』『廊下這いずり野郎』『ゾンビのち飛び蹴り』と事件起こしていた。笑い者だわ。


「今後ともあたしと久奈ちゃんを笑わせてね~」

「久奈は笑ってねーんだけどな……」


 げんなりしてコーヒーを啜る。そんな俺を余所に久奈と金城はキャピキャピと雑談に花咲かす。何度も俺の名前が登場し、決まって顔覆いたくなる恥ずかしいエピソードばかり。イジメかな?

 ……まっ、君らが楽しいなら別にいいけどさ。男子人気トップ2の二人が喋る姿は見ていて微笑ましい。金城、今後も久奈と仲良くしてあげてね。


「む? なんで久土はニコニコしてんの」

「ああ、お前らの飲んでるやつカロリー高そうだなと。太りそう」

「久土サイテー」

「なお君最低」


 女子二人に睨まれました。ひいぃ!?

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