金縛りの横断歩道(1)
皆様、お久しぶりです。
今後ものんびりですが更新を続けて行きます。
その日の放課後、晶と冬亜の2人は校門の前に向かうのだった。
「思ったより時間が掛っちまったな、とあちゃん」
「そうだね、晶ちゃん」
つい先ほどまで生徒会の手伝いをさせられていた2人は少し疲れた顔をしながらも、問題の横断歩道がある校門前に到着した。
「会長さん、俺たちのこと扱き使い過ぎだろ…」
「仕方ないと思うよ晶ちゃん?生徒会長さんには前回色々お世話になったんだから」
以前、2人が生徒会長の力を借りたことがきっかけで、今でも時々生徒会の雑用を手伝わされている2人であった。
「そういえば今思ったんだが、保健室にいる魔女なら今回の噂のことも何かしっているんじゃねえか?」
「えっとね…僕もそう思って休み時間に千代子先生の所にいったんだけどね?今日は大事な人に会う日らしくていなかったみたい」
「魔女先生休みかよ、というか魔女先生に大事な人なんているのか?」
「…あとね、千代子先生から晶ちゃんへの伝言で『うふふ…私にも大事な人位いるわよ?』って言ってたんだけど…」
「魔女先生、すみませんでした!!」
ナチュラルに会話が成立してしまう伝言を残した保健室の魔女に戦慄を覚える2人であった。
「お前たち、もう下校の時間じゃぞ?」
そんな2人が校門の近くで話していると突如後ろから年老いた男性の声がしたのだった。その声に2人は咄嗟に振り返ると、そこには50歳近くの警備員の服を着た男が立っていた。
「……オッサン、誰だ?」
「晶ちゃん!?この人は学校の警備員さんだよ!?」
「ああ、思い出した!朝、俺の目の前で校門を閉めたオッサンだ!」
「わし、そんなに影薄かったかの…?」
晶の容赦の無い言葉に若干落ち込む警備員だった。
この警備員は、私立櫂耀高校に長年警備員として勤めている五十嵐源吾郎という、高校内では有名な警備員である。
「それでオッサン、俺たちに何の用だ?」
「いや、さっき言った通りもう下校時間なのにいつまでも校門に留まっていないで家に帰るように注意しようとしたんじゃが…」
「警備員さん、ごめんなさい!僕たち、ちょっとこの近くで調べたいことがあるので、もう少し待ってください!実は…」
そして、冬亜は源吾郎に対して晶が今朝体験したこと出来事を説明するのだった。
「なるほどの…もしかしたらあの子のことなのかもしれないの…」
「オッサン、何か知ってるのか?」
源吾郎のつぶやきを聞き逃さなかった晶は、即座に聞き返すのだった。
「…まあいいじゃろう、あれはワシがお前たちと同じ高校生位の時だったんじゃが…」
こうして年老いた警備員は昔語りを話し始めた…。
~第日夜:金縛りの横断歩道…continue~