幻の転校生(2)
今回の投稿は短いです。(=゜ω゜)ノ
次回でこの怪談はひとまず終わります。
突然、晶と冬亜の背後から声を掛けて来たのは、この保健室の魔女である現世だった。
「急に声を掛けてビックリしたぜ、魔女先生!それで、先生は怪談の子の正体を知っているってどういうことだ?」
「ふふっ、晶ちゃん。私はずっとこの保健室にいたのよ?皆の大きな声が、凄く迷惑に思うくらいねぇ…?」
「おっ…おう、魔女先生すみませんでした!」
「「すみませんでした!!」」
桂木を含めた3人は、現世のあまりの気迫にすぐさま謝るのだった…。
「ふふっ、まあ許すわ。それで、皆が言っている怪談のモデルになった子だけどね?以前、私が保健室で各教科の勉強を教えていた子のことよ?」
「えっ!?千代子先生は、本当に何時からこの学校にいたのですか!?」
冬亜は驚きの声を上げるのだった。
「いやね、流石に私だって異動は何度も経験しているわよ?」
「あれ、現世先生?勉強を教えていたって…各教科の免許状って持っていましたっけ?」
「うふふ…」
「その事実をぼかすと尚更怖がられると思いますよ、現世先生…」
「うふふ、桂木先生何か言いましたかぁぁ…?」
「…いえ!何でもありません!!」
こうして高校教師としての実態を生徒よりも知っている、桂木の意見は黙殺された。
「やっぱり、魔女先生はスゲー人だな!」
「その言葉で片付けちゃう晶ちゃんも、僕は凄いと思うよ…」
呑気な発言をする晶に苦笑いを向ける冬亜だった。
「話が逸れたわね。その子は当時、重い病気を患っていたの…。でも、その子は学校で同級生たちと一緒に過ごしたいと願っていたそうよ?」
「だから、教室に通学は出来ないまでも養護教諭の監視の下でなら学校に通っても良いって特別に許可を貰って、特別に保健室で私が勉強を教えていたのよ…」
「結局、あの子は一度も教室に通うことなく亡くなってしまったのだけどね…」
そう語る現世の顔は、愁いを帯びていた。
「何だか悲しい話だな…」
「でもね?それでもあの子は精一杯生きようとしていたのよ?窓際の近くから見える場所に花壇があるのが分かる?」
「花壇?」
その言葉を聞いた晶は、保健室から外に出る扉をおもむろに開けるのだった。
そこにあった花壇は、花壇の端を煉瓦で組み立てられて作られた、見るからに年季の入ったものだった。昔は丁寧に手入れをされていたのだろうが、今では見る影もない程に雑草が生い茂っていた。今では、その花壇の一部に僅かばかりの花が咲いているだけだった。
「あの花壇は、その子と先生たちが一緒に保健室の前を通る人たちのために手入れをしていたのだけどね。今では、私くらいしか手入れをする人がいないの…」
「……」
「昔は季節ごとに、黄色いマリーゴールドや赤いコスモス、白いガーベラなんかの花が花壇を綺麗に彩っていたのだけれどね…」
現世は昔を懐かしむように呟くのだった…。
~第日夜:幻の転校生…continue~
オマケ:
ワイワイガヤガヤ…。
千(早く書類仕事を終わらせたいんだけど、ちょっと3人共うるさいわね…)
千(ストレスを貯め込むのも良くないし、ちょっとだけ怒らないとね…?)
※この後、3人は人生で最も怖い体験をしました。