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放課後怪談  作者: RAIN
~第日夜:日常の怪談~
11/31

真夜中の用務員(1)

久しぶりの投稿再開です~。(=゜ω゜)ノ

 時刻は間もなく夜の11時を過ぎようとしていた頃、相変わらず台風の影響のため、晶たちの住む町は強烈な風雨に襲われていた。


 そんな環境の中、櫂耀高校に近づく2つの人影がいた。


「学校に着いたぜ、とあちゃん!!」

「うぅ…頑張ったけど晶ちゃんを止められなかったよ…」

 片方はハイテンションだが、もう片方の人物はかなり落ち込んでいる様子だった。その2人は、当然ながら晶と冬亜だった。


 冬亜の必死の説得も虚しく、晶は冬亜を道連れに校内探索のために、台風が猛威を振るう中夜の櫂耀高校を訪れるのだった。


 また、学校に訪れた2人の服装は、当然ながら制服ではなく私服であった。

 晶の方は、自転車レース用の選手が着ているような機能性とファッション性を兼ね備えたようなジャージの上に、防寒対策のためなのか膝まで届きそうな長さのコートを着ていた。

 冬亜の方も厚手の服を着込んでいるが、こちらは容姿に相まって、まるで寒空の雨の日に、初めてのデートに喜びを隠せない様子の少女が頑張ってコーディネートをしたような服装そのものだった。


「さてと、早速校内に侵入しようぜ、とあちゃん?」

「うぅ…だから晶ちゃん、勝手に学校に入るのはダメなんだよ…?」

 学校に向かう途中、何度も繰り返している言葉を冬亜は晶に言うのだったが、やはり晶にはその言葉が届く様子はないのだった。


 夜の学校というものは、普段昼間に自分達が通っている学校と雰囲気が違うように思えた。晶たちは、以前にも廃校になった高校に入ったことがあるが、それとはまた違う雰囲気だった。

 例えるならば、以前に行った廃校が常識から生態まで全く異世界だとしたら、目の前の自分達の通う夜の高校は日常から大事な何かが欠落してしまっているパラレルワールドのようなものだ。


 何はともあれ、このままでは校内に無断で侵入しなければならない事実に冬亜は悲壮な覚悟を決めようとするそのときだった。


「手前ら…まさか本当にここまで来たのかよ…」

 地獄の底から響くような声が、鍵の掛かった校門にこれから入ろうとする2人の背後から掛けられたのだった。


 その声を聞いて振り返る2人の前には般若がいた。


 いや、正確言えば般若のような恐ろしい形相で2人を見下ろす副生徒会長の逆馬刀真だった。この大雨の中、まるで2人を待っていたかのように生徒会室で別れたときのままの制服姿であり、台風が猛威を振るう真っ只中、大きな傘をさしているのだった。


「何で副生徒会長さんが…?」

 冬亜は至極真っ当な質問を刀真に投げかけるのだった。


「それは、コイツに聞いてくれよ…」

 依然として怖い形相のままの刀真は、そう言って右手で自分の背後を指差すのだった。


「…くぅ…すぅ……むにゃ?」

 今まで刀真の背後に背負われながら寝ていたのだろうか、生徒会長の清水千紅が刀真の肩越しに顔を出すのだった。


「会長さんじゃねえか」

 刀真の背中に背負われている生徒会長の姿を見つけた晶は、真っ先に声を上げるのだった。

 千紅の服装も刀真と同様、櫂耀高校の制服を着ており、その上に大きなレインコートを被っていた。その様子から、大きなレインコートは刀真の持ち物であり彼女が雨に濡れないように被せていたことが想像できた。


「…ふぁ…あなたたち学校に無断侵入しようとしていたわね…?」

 千紅は眠たげな表情ながらも威圧感のある声で、晶と冬亜の2人に問いかけるのだった。


「あぅ…生徒会長さん…ごめんなさい」

「えっと…会長さん…スマン」

 千紅の説教(?)が効いたのか、2人は正直に自分のしようとしていたことを謝るのだった。


「そう…ちゃんと反省しているならいいわ…それに無断(・・)で(・)なければ(・・・・)いい(・・)のよ(・・)」

 そう言って千紅は、自分の制服のポケットからジャラジャラと音を立てる鍵の束を取り出すのだった。


「私たちの通う学校の生徒会権限…校内の戸締りも含まれているし…何より既に警備会社や学校の方にも手を回して校内探索の許可も貰っているわ…」

「「本当にこの学校、大丈夫か(なの)!?」」

 改めて生徒会の異常さに対して、2人の叫び声が上がるのだった。


「あと…校内探索には私もついていくわ…」

 こうして、生徒会長の清水千紅を加えた3人での真夜中の校内探索が始まるのだった。

…………

………

……





「あっ?ちょっと待てよ!手前ら3人だけで行くなら俺はどうするんだよ!?」

「私たちが戻るまで校門前で待ってて…ふぁ…」

「おい待て手前……マジかよ…ふざけんなーーー!!?」

 先ほどの2人よりもさらに大きな絶叫が校門前に響き渡るのだった……。


~第日夜:真夜中の用務員…continue~

~晶たちが来るまで:30分前の出来事~

千「眠い…」

逆「手前の眠気よりも、手前に付き合わされる俺の身にもなって欲しいんだが」

千「あの子たちがもうすぐ来るだろうからそれまで…寝かせて…」

逆「なっ…!?俺の背中にしがみつくな!?」

千「おやすみ……ZZZ…」

逆「(おぃぃ!?千紅ーー!!?色々当たってんぞーー!!?)」

千「ZZZ…ZZZ…」

逆「(ちくしょーー!?あいつら早く来いーー!!)」

※刀真が怖い顔をしていたのはずっと自制心を働かせていたから

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