2話 交差の始まり
遅くなりましたが、2話目が完成したので投稿します
何か気になる点などありましたらどんどん教えてください
2話 交差の始まり
「お、おい、今の爆発音って」
「第四校舎、学力総合科の校舎の方からでしたね」
颯斗は少しだけ焦っていた。何故ならありえないほどの爆発音に、第四校舎で爆発が起こったからだった。
学力総合科はその名の通り、学力を伸ばすための学科だ。そして、その勉強内容は映像や論文を書くと言った、とても地道な努力で学力を伸ばしていく学科。
「第四校舎で爆発が起こるなんてありえないぞ」
「そうですね。考えられるのは、犯罪者、テロ……ですかね」
梓は、冷静に事件を分析していく。
「ひとまず俺たちは第四校舎へ向かおう」
「あっと、その前にデータインストールしちゃってください。まだ途中なので」
「ああ、そうだな」
「拡散電子フィールドへの接続を確認。これからデータのインストールを始めます」
「データのインストール完了」
「それじゃあ、第四校舎に行きましょう」
「この学校に入れたってことから考えると、犯人はうちの生徒ですかね先輩」
「そうなるだろうな……ただ、一つだけわからないことがあるんたよな」
「わからないことってなんですか、先輩!」
梓は不思議そうな顔をしながら颯斗を見た。
「いや、この学校って普通の学校に比べて、警備は結構頑丈だろ! ここの生徒だったらそんなこと分かってて当然なのに、なんでわざわざこの学校で暴れようと思ったのかなって思ってさ」
「あっ!」
梓は急に声を上げた。
「確かにそれはそうですね! 完全に見落としてました」
「俺の嫌な予感だけは、当たらないで欲しいんだけどな」
そんなこんな話しているうちに、二人は第四校舎へと到着した。
「こ、これは……どうなってるの」
目の前には悲惨な光景が映った。
校舎は半壊状態になり、そこら中が火の海になっていた。校庭には、警備員が何人もよこたわっている。
「最悪だ……よりにもよって最悪の予想が当たるなんて」
「先輩! あそこに誰か居ますよ!」
屋上を見上げると、二つの人影が映る。二人は慌てて、屋上へと向かう。
「先輩、どうしますか? 校庭の有り様から考えても、犯人は相当な手練れですよ」
「一応考えはあるけど、確かお前、武術得意だったよな」
「はい、得意ですけどなんでですか?」
梓は不思議そうな顔をしながら聞く。
「それじゃあ作戦はこうだ」
「まず屋上に上がってから俺が犯人の元へ向かって拘束魔法を使うから、移動魔法使って犯人のこと気絶させて欲しい」
「わかりました」
「何か予想外の事が起こった時の判断は、お前に任せる」
「りょーかいです」
校舎の中は所々壊れていて、椅子や机が散らばっていた。
二人が屋上に着くと、興奮した男の声が聞こえてきた。
「なんで、頑張って努力したやつは報われないで、何もしないのにできる奴が褒められるんだよ」
颯斗が屋上を覗くと、そこには気狂ったように怒鳴る男子生徒と、怯える女子生徒が見えた。
「君もそう思うよね?」
女子生徒は恐怖のあまり固まってしまっている。
「そこまでにしろお前」
颯斗の問いかけに、男子生徒は笑いながら言う。
「なんだよ、君も僕に我慢しろって言うのか?」
「ああ、そうだな。我慢しろとしか言えないな! だって、才能があるからって一番になれる訳じゃないだろ。才能ある奴だって努力してるんだから」
「だけど、そ、そんなの不公平じゃないか!」
男子生徒は興奮のあまり怒鳴る。
「それはしょうがないさ。この世界には、生き物がいる世界には、公平や平等なんてないんだから」
颯斗の発した言葉を聞いて、男子生徒は黙り込んだ。唖然としたまま。
「だからこそ平等や公平を望んで、実現しようとするんだけどな」
「僕はそんな世界許さない。世界が変わろうとしないなら、僕が変えてやる!」
「そうだよ! 僕が変えればいいんだ! 力だって僕は持っているんだから」
そう言って、男子生徒は右腕を伸ばした。
「すべてを燃やし尽くす炎よ、僕の力となり、すべてを燃やせ!」
『フレイムアームズ!』
男子生徒の右腕は、真っ赤な炎に包まれ、近くにあったフェンスを、熱気だけで溶かし始めた。
「おいおい、裏技使うなよ」
颯斗は苦笑いしながら言う。
「まずは君からだよ!」
男子生徒は近くにいた、女子生徒の方を見ながら言う。
女子生徒は、恐怖のあまり何も言えず固まってしまっていた。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。一瞬のことだから」
「止まれ!」
颯斗の言葉とともに、男子生徒はその場を動けなくなった。
「な、なんだこれ! 体が動かない」
「生憎こっちも魔法使えるんだよ」
ドアが突然開いたと思うと、颯斗の目の前には、男子生徒の鳩尾を殴る梓がいた。
あまりの衝撃に、男子生徒は倒れこみ気絶してしまった。
「お、お前今の、移動加速魔法か?」
颯斗はきょとんとした顔で梓に聞く。
「そうですよ。あんな速くなれるとは思ってなかったですけど」
「てか、先輩かっこつけすぎですよ」
「プフフフフ」
「キメ顔で、この世界には、生き物がいる世界には、公平や平等なんてないんだから!」
「やばい……笑っちゃう……プフフフフ」
颯斗をからかう梓に真っ赤な顔をしながら颯斗は言う。
「おい、お前笑うなよ! けっこーいいこと言ったつもりなんだぞ!」
「でも先輩が言ったら、プフッ……笑っちゃいますよ」
「あ、あのー私はかっこいいと思いましたよ!」
さっきまで固まっていた女子生徒が、指をモジモジさせながら言った。
「本当か⁉︎ 慰めでも嬉しいよ!」
颯斗は目をうるうるさせながら、女子生徒の手を握って言う。
女子生徒の頬はだんだんと赤くなり、頭の上から煙が出てきた。
「そんなことより、体は大丈夫ですか?」
急な言葉に女子生徒は少し動揺したが、言葉を返した。
「は、はい。腰が抜けちゃってまだ立てないんですけど、それ以外は何ともありません」
「一応お名前を伺ってもよろしいですか?」
「わかりました。高等部1年、綾風美梨です」
「高等部1年ってことは俺と同じ学年か。俺は武術・武力上方学科、高等部1年の神先 颯斗、よろしくな!」
颯斗が伸ばした手を、美梨は頬を真っ赤にしながら握った。
「私は先輩と同じ学科の中等部3年、春風 梓です。不本意ながら、私は先輩に弱みを握られて、先輩のメイド奴隷にさせられてしまったのです」
涙ながらに梓は語る。
「メイド奴隷⁉︎」
美梨はそう言うと、颯斗の方を真っ赤な顔で見る。
「お、お前何言ってんだよ! 綾風が引いてるじゃねぇーかよ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい。先輩をからかうのは本当に楽しいので、ついっ。てへ」
「一応保健室に行っといた方がいいだろ」
「そうですね。私が保健室までお送りします」
梓は美梨を連れて保健室へと向かっていった。
「俺もそろそろ」
颯斗が戻ろうとした瞬間、背後に何かの気配を感じた。
「いやー、流石はずる賢く生きてきた種族だけはある。魔法までもを完成させていたのはね」
「誰だ!」
「初めまして、先代。と言っても覚えているはずもないか」
颯斗の背後には青年が立っていた。
「どうゆうことだよ、先代って。それに、どうやって屋上まで登ってきた!」
青年は微笑みながら言う。
「それは、時が来れば思い出すさ」
「どうやって屋上まで来たんだ! 階段は梓たちが使っていただろ!」
訳のわからない話や、現状に颯斗の頭の中は訳が分からなくなっていた。
「屋上までのきかたなんて、簡単じゃないか君たちも知っている、魔法だよ! 君たちの魔法と僕たちの魔法は少し違うんだけどね」
「まあ今はしょうがないよ。君には失われてしまった事なのだから。だから少しだけヒントをあげよう。そこから答えを出すのは君だけどね」
突然、颯斗の様子がおかしくなり、頭を押さえてその場に倒れこんでしまった。
青年は、倒れ込む颯斗を背にして、微笑みながら指を鳴らすとともに、その場から消えた。