暗闇の中の光
「ザシュ!!」
「ぐっ!!」
彼女の手にはナイフが深々と刺さっている
(くっ、こんなのお嬢様が受けていた痛みに比べればっ、)
「ズシュ、」
「うぐぅぅぅ!」
(耐えろ!私がお嬢様に与えた痛みはこんなものではない!!)
口には布が噛まれていてギシギシと音がなっている。
「ふぅぅぅっぐっ!!」
ドポドポドポと勢いよく受け皿に血が流れる。
「ふぅぅぅ!」
受け皿に血が並々まで入ったところで魔法で血を止める。
「うっ」
貧血で倒れそうになりながらも蘇生術をスタートさせる。
汝の御霊は、・・・・・・
呪文を唱えながらこの本に書かれていた警告文を思い出す。
・ヴァンパイアの死体は死後1日いないの血が残ってるものでなければ無理
・術者は誰でもいいが使う処女の血は混血させてはならない
などなど、そして文末のほうに
・使った処女の血を持つ生命体は例外なくヴァンパイアとなる
そうこの術を使えば私はヴァンパイアになるだが、それがどうしたというのだ。むしろ私は喜ばしいお嬢様と同じになれるのだから。
逆に言えば失敗の方が恐ろしい使用者もろとも安らぎの楽園にはいけなくなるのだから。
(考えてもダメ。今は集中!)
そして、
誓いを此処に、我が血をそそぎ此処に印す、我は汝の従者なり。魂の従者なり。その誓いを胸に我示さん・・・
計13条の契約を此処に今一度降臨せよ汝の御霊を此処に。
呪文唱え終った瞬間に私の身体に激痛が走る。身体が吸血鬼へと変わっているのだ。それだけではない、
魂の同調
今回の術において私の魔力では足りないことがわかったのだ、だからそれを補うための魂の同調。簡単に言えば片方が死ねばもう片方も死ぬ、ある意味みちずれにみたいなものだ。だがこうすることで足りない部分を魂で補える。そしてお嬢様とずっと一緒にいられるのだ。
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身体の痛みが止まった、どうやら終わったらしい。
「お嬢様・・・
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暗闇の中、何故か私は光のようなものを感じていた。それはとても暖かく、何故だか穏やかな気持ちになれた。
「吸血鬼よ」
声がした。だが辺りを見回しても誰もいない。あるのは無限に広がる暗い闇だけだった。
「吸血鬼よ」
また、声がした。
「最後の吸血鬼よ」
目の前にあった。光が点滅していた、どうやらこの光から声が聞こえるらしい。意を決して話しかけてみた。
「貴方は?」
「我は1つであって1つに有らず。我が同胞よ、汝は呼ばれている。魂の契約をしてでも呼び戻そうとする心優しき者に。」
「呼ばれる?誰に?」
「それはー…」
「あーもうっ、長いぞ爺!」
光が弾けたと思ったらそこには、銀色の髪をし髭を生やした老人と、これまた銀色の髪をした青年がたっていた。
「ッッ!」
「馬鹿者!警戒されてしもうたではないか!!」
「爺が長ぇんだよ!」
「・・・貴方たちは?」
私は警戒度を高めながら聞いた。
「あー、や、まぁ、警戒すんなって、な?」
「・・・」
「わかったよ、わかったって!そんな眼で俺を見るな!」
「ホッホッホッ、良いぞお嬢さんもっとしてやるんじゃ」
「余計だ!爺!…… んんっ!それじゃあ、初めてだなチビ助、俺は第36代目ヴァンパイア王国の王、リリィ・サック・ブラッド、吸血鬼だ。」
「えっ!」
驚いた。吸血鬼はもう誰もいないと言われてたからだ。
「ふふっ、驚いてるとこ悪いがここの嬉々爺も紹介するぞ。」
「嬉々は余計じゃ!」
「この爺は第33代目の王様で、俺の爺だ。」
「全くこのアホ助は・・・宜しくのうお嬢さんや、」
・・・うん、よく分からないどうして王族の人が此処にいるのだろう。
「ぬ?よく分からんという顔しておるな?」
「確かに」
「えーっと、何で王族の人が此処にいるんでしょうか?」
そう言ったとたんに二人は苦い顔をした。
「あーなんだ、その、気を確かに受け止めてくれ。・・・お前は死んだんだ。」
リリィ・サック・ブラッドのサックとブラッドはsuck blood血を吸うからつけてます。本当は血を吸う者ってつけたかったんですが呼びずらくなるのでやめました。
あれ?suck bloodで血を吸う者になるのかの?んー英語はわかりませんね(* ̄ー ̄)