大切なもの
「え?」
彼女は倒れた少女に慌てて駆け寄り声をかける
「ね、ねぇ、どういうことなのよ、ねぇねぇってばっ、」
彼女が激しく揺すっても少女は起きない
その時彼女の頭の中に映像が流れた。それは酷く悲しい記憶さんざん虐げられてきた彼女の記憶だった。
(どうしてこんなに痛いの?)
(ジッケン嫌だよ)
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い誰か助けてよ!!)
それは残酷だった何かを身体に打ち込まれ泣き叫べば闇の魔法で声を封じさらには動けなくしてから狂わないようにまた魔法かけられる。少女の口からは声のかわりに空気と血が出ていた
「こ、んなっ、」
風景はかわりに薄暗い牢屋のような場所で
(うわぁ!外はこんな風になってるんだ!じゃあ将来の夢はここからでて外を見てみたいなぁ!できれば誰かと一緒に楽しく過ごしたい
何でもないようなことをしゃべって食事をしたいなぁ!)
少女は目を輝かせて絵本を読んでいた。だがそれが見張りにばれると少女は動かなくなるまで鞭で打たれていた・・・
「あ、ああああ!」
気がつけば彼女は泣きながら少女を抱き締めていた。
「ご、めんな、さい、ごめん、なざぃぃ」
彼女は泣きながらずっとそう繰り返していた
思えば雇ってくださいと言ったあの時の嬉しそうな顔、冗談で言ったお金とか根こそぎ持っていきますよと言った時のいいよって言った時の笑顔、お嬢様と言えばなに?と嬉しそうに振り向く少女笑顔。
冷静になれば自分の持ち物から私がどういう人間なのかきずくはずだ、いつも通りであればきずくはずの私の寝言を言ってしまうくせ
それにもきずいたはずだ。この少女は何もかも知ってた上で私を大切な人と言ってくれた。自分自身がもっと辛い経験をしているのにだ。私が殺してしまった。私がきずけば。そう、後悔したとたんに私は私を押さえきれなくなった。
「あ"あ"ぁぁぁぁぁッッ~~!!!!」
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主のいない屋敷の寝室にベッド横たわった少女とそれをいと愛しそうに見る彼女がいた。少女の胸からは血が流れていない魔法で止めたのだこれ以上美しさを失わないように、
「お嬢様、申し訳ありません私はあなたがくれようとしていた居場所を私が壊してしまいました。私はッッ~~」
それ以上は言えなかった。たった一週間だけでもお嬢様のことに苛立っていても確かに一緒にいた時間は心が落ち着いたのだ、まるで 家族から与えられる無限の愛のように少女といた時間だけは安心出来たのである。
「せめ、てあなた様の死を弔わせていただきたいです。」
泣きそうなのを堪えてそう告げた。この屋敷ごと燃やしたら私も一緒に、そう考えて部屋の片付けをしていたら書斎から古びた本が落ちてきた。
「あら?これは?」
手にとって見てみると吸血鬼蘇生術・・・
鼓動が早くなるのがわかった。この本に書いてあるのが本当なら・・・
いや、本当どうかなんていい、お嬢様が蘇生するかもしれないなら試す!
そう思った私は本に書いてある素材を取りに行った。
クルギルの根
ライフピース
不死鳥の尾
・・・
手に入れる素材は消して楽にとれるものではない。だがもとより彼女は人間からかけ離れた力を持っていたためにすぐに集まった、そして、
屋敷二階寝室
今まさに準備が完了しようとしていた。
「よし、後は」
・処女の血
「後は私の血だけ」