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美しい化け物
爆発が起こった研究所では、いや、もう研究所とは言えないものだった。爆発の熱で鉄の柱や機材などが融解し溶けた赤いドロドロのものが地面にボトリと落ちていた。まさに生命が存在しない地獄のような光景、だが生命は確かに存在した。
「ガタッ」
瓦礫の山が落ちる音がした、その方向には薄汚れ、身体の節々から血を流している少女がいた。
銀色の髪に見惚れるような容姿、間違いない吸血鬼の少女だった。
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少女が生きていたのは奇跡だった、人間の肉体ではまず生きていないだろう。だが少女は吸血鬼だ、その種族特性の超回復の能力が少女を助けたのだ。
少女は音もなく立ち上がるとかつての残骸を見て呟いた。
「化け物、か・・・」