53.その世界の秘密はパンドラの箱
何時の間に放たれたのか、デュオの横を何かが通り過ぎた気配を感じる。
後方では何かが着弾した轟音が響き渡る。
おそらくだが、謎のジジイや美刃を襲った時のように不可視の攻撃を放ったんだろう。
そう判断したデュオだが、実際今のデュオにはそんな事を考察している余裕は無かった。
目の前には、何時現れたのかつい数日前に死闘を繰り広げた『正躰不明の使徒』の1人であり、デュオの兄であるソロが庇うように立っていたのだ。
「ソロお兄ちゃん・・・?」
「俺が来たからにはもう大丈夫だ。大船に乗ったつもりで見てな」
「え? でも、何で・・・?」
ソロは『正躰不明の使徒』であり魔人だ。王都を襲った時のように人類の敵でもある。
それが何故、デュオを助けるのか。
デュオは兄が助けに来てくれた事は凄く嬉しいのだが、素直に喜べなかったのだ。
「師匠からの命令でな。アルカディアから八天創造神の使いが来た時にそいつらから永遠の巫女を守るようにって言われていたんだよ。
まぁ、デュオがこの場に居るのは驚いたけどな。」
「師匠・・・?」
「ああ、あそこで無様に寝そべっている老害だよ」
「誰が老害じゃ! お主来るのが遅いぞ!? こやつの相手はお主じゃなければ対抗できないと言うのに、まさか遅刻するとは・・・」
「だったら通信手段の一つでも造っておけよ!? こっちが定期的に連絡を取らないと何時までたっても連絡を寄越さないくせに」
The Worldがソロに睨みを聞かせているにも拘らず、そんな状況もお構いなしに2人はお互い罵りあい合う。
「えええぇぇ!? お爺ちゃんがお兄ちゃんの師匠!? ちょっ!? どうなっているの、これ!?」
流石に聞き捨てならないセリフが聞こえ、驚愕するデュオ。
ただでさえ七王神の能力をつかるソロにS級冒険者の謎のジジイが師匠ともなれば驚かない方が無理と言うものだった。
だが、これ以上と言ってない程の救援者でもあった。
デュオは敵でありながらもソロの登場に安堵した。
「そうですか。これも貴方の仕込みですか。益々貴方が何者か知りたくなりましたよ。
まずは邪魔なその方から倒させていただきますよ!」
そしてThe Worldも自分を邪魔したソロが謎のジジイの仕業と分かり、どことなく納得していた。
だからと言って八天創造神より賜った使命を邪魔される理由にはならない。
The Worldは全力を以ってソロに当たることにする。
100年前は時空神の時空間への介入によりThe Worldの唯一の特性が生かしきれなかった。
それは同じ停止した時間を動く者が居なかった故のおごりから来るものだった。
だが今は違う。前回経験したことが生かされる場面だ。
さっきは動揺してしまったが、落ち着いてしまえば対応策は幾らでもあるのだ。
「デュオ、美刃さんを連れて下がれ。後、あいつらも出来れば回収しておいてくれ。
あ、老害は放っておいていいぞ。自分で何とかするだろうし」
「あ、うん。気を付けてね、ソロお兄ちゃん」
デュオは言われるがまま、治癒中の美刃を引き連れてルナムーン神殿の方へと下がる。
ウィル達の方を見れば、デュオにされた時と同時にThe Worldに何かされたのであろう。
爆発の後に巻き込まれたような惨事でありながらほぼ無傷状態で蹲っていた。
無傷なのはおそらくソロが何かをしたのだと判断しながらデュオは美刃を運んだあと、ウィル達を引きずるようにしてソロたちの戦場から離れた。
出来れば謎のジジイも引っ張ってきたかったが、ソロとThe Worldの戦闘圏内に居たのでどうすることも出来なかった。
まぁ、謎のジジイの事だからソロが言う通りに自分で何とかしそうではあったので、デュオは取り敢えずは放置しておいた。
「クロノスワールド!」
The Worldが特殊能力を使うと、次の瞬間には全く別の場所に現れていた。そして所々攻撃を受けた後が見え隠れする。
それはソロも同じで先ほどまで居た場所とは別の場所で剣を持つ肩を反対の手で押さえ治癒魔法を掛けている。
お互いの姿が見えたと思ったらまた消える。
それの繰り返しが何度か行われ、まるで瞬間移動のように2人の戦場が移り変わる。
「どうなってるの、これ?」
「こっちが聞きてえよ。気が付いたら攻撃を受けてるし、怪我もしてるようでしてないし」
デュオは戦闘状況を観察しようにもソロとThe Worldを目で追えないので状況を把握することが出来ず、何が起こっているのかすら分からないのだ。
それは不可視の攻撃を受けたウィルが一番聞きたい事でもあった。
攻撃を受けたような響きが体に行きわたっているのだが、何故か攻撃を受けた傷等は見当たらないのだ。
「オ、オラじっちゃんに聞いた事あるだ。じっちゃんが唯一敵わない敵は時間を操る奴だって」
「・・・! そうか、あの不可視の攻撃は時間停止の攻撃なのね!」
「はぁ? 時間停止で何でダメージを受けるんだよ?」
アルベルトが思い出したように放った一言によりデュオはこの不可思議な現象を理解する。
ウィルの方は時間停止によって起こる効果をはっきり理解できていないので、時間停止を攻撃方法とは思えずにいた。
「バカね、時間停止中に自由に動ければ攻撃し放題じゃない。あたし達が時間停止で身動きが出来ないんだもの。
おまけに時間停止中はあたし達はそれを認識できない。だから瞬間移動したかのように見えるのよ」
「ちょ・・・、それって反則じゃねぇか。言ってみれば俺達は丁度いい剣や魔法を当て放題の的って事だろ?」
「もう・・・そう言ってるじゃない。理解するのが遅いわよ。
確かに時間停止能力を持つThe Worldが相手だとお爺ちゃんも分が悪いわね。
でも、そうか・・・だからソロお兄ちゃんがお爺ちゃんの言っていた切り札って訳か」
「そう言う事じゃ。あ奴は『最強の正躰不明の使徒』。七王神の能力、即ち時空神の時空魔法を使う事が出来る、天と地を支える世界で唯一The Worldに対抗できる相手じゃ」
気が付けば謎のジジイが自分の切り落とされた片腕を手にしながらデュオ達の元へ避難してきた。
「あ、お爺ちゃん大丈夫だった?」
「大丈夫なもんかい。分かってはいたがありゃあ反則じゃな。こっちの防御も何もあったもんじゃないわい。まさかいきなり両腕を切り落とされるとは。
まぁ、一撃で命を奪われなかっただけマシかの」
ついでに言えば、戦闘前に謎のジジイがThe Worldの正体を知っていた事を告げることによって、謎のジジイに秘密があると思い込ませて命を奪われないようにしたおかげでもある。
「美刃の方は容赦なくやられたが、死んではおらぬのじゃろ?」
「あ、うん。辛うじて治癒魔法が間に合ったから命は別状ないよ。ただあたしの治癒魔法じゃ完全とはいかないし、傷が深かったから気を失っちゃったみたいだけど」
「重畳じゃ。命があっただけでも儲けもんじゃよ」
「それで、爺さん。これからどうするんだ?」
ウィルもこの状況を理解はしたが、どう戦場に加わればいいか分からずに一番知ってそうな謎のジジイに聞いた。
「どうもしないな。儂等にはもうすることは何も無いからの。
時間操作能力者同士の戦いは一般人には手出しできんのじゃ。射程圏内に居れば防御も意味をなさないから、儂等には決着が付くのを待つだけしかないと言う事じゃ」
「そう、なるわね。ソロお兄ちゃん頼みになるわね。悔しい事に」
「うへぇ・・・他人任せかよ。何かしっくりこないな」
これまで自らの剣で窮地を乗り越えたウィルにとってはこの状況は不安が残るものでもあった。
しかも自分の運命を託す相手が、デュオの兄とは言え、一度は敵対した『正躰不明の使徒』なのだ。もやもや感が出てしまうのも仕方なかった。
それはデュオも同様だったが、状況を理解できているだけにこればかりはしょうがないと思っていた。
時間と言う概念は普通の人間には到底手を出せる領域ではないのだ。
だからこそ、現天と地を支える世界には時空魔法の使い手が1人も居らず、唯一七王神の時空神だけが使う事が許されていたのだ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
時間停止の中、The Worldは牽制用に火属性魔法のバーニングフレアを放つ。
魔法が発動した瞬間はソロへ向かって行くも、直ぐに時間停止の枠に捕らわれ空中で停止する。
ソロはThe Worldの目の前に放たれた巨大な火炎球を避けながら横側から剣を振るう。
The Worldも正面を塞ぐことによりソロの攻撃手段を限定させて迎撃する。
「む? 攻撃が――重い!?」
「モード剣聖の使徒・Arcsword。今の俺の剣は剣聖神と同じレベルだぜ、時間能力だよりのお前には防げるかな?」
ソロの猛攻によりThe Worldは防戦一方にならざるを得なかった。
しかもThe Worldは剣を謎のジジイに突き刺すのに使い、今は素手の状態なのだ。
素手で剣を捌く技術は驚嘆するものがあるが、流石に剣聖神の剣を捌くのには分が悪かった。
そんな攻防の中、時間停止の限界が来て時が動き出す。
それに合わせてソロとThe Worldが互いに間合いを取るが、ソロが引いた先には先程The Worldが放ったバーニングフレアが迫っていた。
防戦一方になりながらも巧みに間合いを調節しソロを誘導したのだ。
「ちぃ、モード大賢者の使徒・Magisage! グランマジックシールド!」
大賢神の能力により、詠唱破棄した対魔法防御盾を即時展開し巨大火炎球を弾き飛ばす。
「油断も隙もないな。流石は『世界を総べる王』・・・いや、神秘界の騎士・The Worldって事か」
「そう言うそちらこそ不可解な点が多すぎますよ。
何故時間停止能力を行使しながらも他の七王神の力が使えるのですか。貴方の『正躰不明の使徒』の能力は確かに脅威ですが、幾らなんでも七王神の力を同時使用できるわけがありません。出来るのなら最初から全能力を同時使用しているはずです」
ソロは本当に油断も隙もないと感心する。
確かにソロは七王神の能力を全て使えるが、同時に使うような真似は出来ない。
使徒の能力を同時使用できるのは、同じ『正躰不明の使徒』の1人である『合成の正躰不明の使徒』だけだ。
尤も、『合成の正躰不明の使徒』は2つの能力を掛け合わせて新しい能力を生み出すので厳密には同時使用と言う訳ではないが。
「別に同時使用していたわけじゃないさ。魔法は放った後までコントロールしなければならないわけじゃない。
時間停止は時空神の時空魔法で動くようにし、その効果を維持しながら切り替えれば別の七王神の能力を使う事も可能さ」
「そんな都合のいい話がありますか!
そうですか、貴方もそこの老人と同じように答えるつもりはないのですね」
「一緒にされるのはちょっと心外だが、まぁ師弟だから似るのは必然かな?」
師も師なら弟子も弟子だ。
ソロは誤魔化した訳でもおちょくった訳でもないのだが、The Worldには謎のジジイのように自分を挑発しているように聞こえた。
「もういいです。秘密も何も聞く必要はありません。ここで全てを飲み込んで貴方方を消し去ります」
The Worldは胸の前で何かを挟み込むかのように両の掌を押し合わせる。
それに合わせてソロとThe Worldの間の空間が軋み始めた。
「大地を砕き、空を裂き、空間を歪ませ、時間を飲み込め。
――クロノスカオスディストーション」
ガラスが砕け散ったような音共に、空間が割れた。
そしてブラックホールのように周囲の物を飲み込み始める。
それを見たソロは素早く時空神のモードへ移行し、呪文を唱え時間停止魔法を放つ。
――が、それは時間停止中にも止まることは無く、容赦なくソロを飲み込もうとする。
「無駄ですよ。これは時間も空間も関係なく全てを飲み込む原初であり終焉でもある無です」
これは『世界を総べる王』の時とは違い、神秘界の騎士になったことにより八天創造神より授かった力だ。
これには七王神の時空神とは言え対抗できる術は無い。
The Worldは勝利を確信しながら絶望に包まれた顔を拝もうとソロを見る。
命乞いをして彼らの秘密を語るのならこの力を止めてやるのもいいだろう。とそう思っていたのだが、ソロの顔には絶望どころか挑戦的な笑みを浮かべていた。
「確かにこれは無ではあるが、原初にして終焉とは言い過ぎだな。これはただのデータのデリートだろ?
褒めたくはないが、流石は師匠だな。これに対抗できる手段もちゃんと教えてくれている。
モード勇王神の使徒・Brave! ゴルディオンクラッシャー!!」
何だそれは。
今のThe Worldの心情を表せばその一言に尽きた。
このクロノスカオスディストーションの真の姿を知っているのも驚きだが、今ソロが発動している七王神にはそんな神は居なかったはず。
八人目の七王神など聞いた事も無い。・・・いや、そう言えばとThe Worldは100年前の『世界を総べる王』の時の記憶が蘇る。
魔王を倒すほどの唯一無二の能力を持った冒険者は本来なら八人居たのだと。
そして悟る。ソロはその八人目の七王神の能力を使っているのだと。
ソロの手にしていた剣は黄金の光を纏い、光は謎のジジイが使っていたよりも超巨大なハンマーをかたどる。
そしてそのハンマーを空間の割れ目に向かって振り降ろす。
「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!!」
文字通り超巨大なハンマーの攻撃を受けた空間の割れ目は光の粒子となって消え去る。
その余波に巻き込まれThe Worldも体半分が光りの粒子となり散っていく。
もうここまで来るとThe Worldは色々考えるのがバカバカしくなってしまった。
八天創造神より賜った使命や自分をコケにした謎のジジイやソロ、それに怒り狂っていた自分。全てが薙ぎ払われたことにより清々しい気分になっていた。
ああ、そう言えば。と思いだす。
100年前の『世界を総べる王』の時は永く生きる事に疲れ眠りにつきたかったのだと。
そうして数人の七王神に倒されることによりその願いは叶ったはず。
それなのに自分は何をしていたのだろうと。
「かふ・・・貴方の、勝ちです。『最強の正躰不明の使徒』ソロよ」
「負けた割には随分とすっきりした顔しているじゃないか」
「・・・ええ、忘れていたことを思い出したんですよ」
あの時は眠りにつきたかったのだが、持っていた物を託すに値するか全力で七王神の力を試した。
その結果、時空神を筆頭に見事『世界を総べる王』を倒したことを今更ながら鮮明に思い出す。
そしてふと疑問に思った。
100年前の時空神は時空魔法の呪文詠唱により時間停止された空間を動いていた。
そう、呪文詠唱をしてだ。
時間停止能力同士の対決は、0.1秒でも先に時間停止空間に入った方が勝ちなのだ。
時空神は時間停止中の認識を持つことが出来たが、呪文詠唱をしない限り動くことは出来なかったはず。
それが何故、ソロはThe Worldと同じ時間停止空間を動いてたのか。
「貴方の使っていた力は時空神の力じゃ・・・ない?」
「いいや、時空神の力じゃ。その秘密はこれじゃな」
決着がついたと判断した謎のジジイ達がソロとThe Worldの側へと寄ってくる。
その謎のジジイが手にしていた物を見たThe Worldはあり得ないものを見たかのように目を開いて驚いていた。
「それは、Wの王の証・・・!!」
「そうじゃ、世界を作りかえることの出来るお前さんが持っていた王の証じゃ。
100年前、世界改変の時にこの王の証に干渉して時空魔法の機能を拡張しておいたんじゃよ」
The Worldは信じられない面持ちで謎のジジイを見た。
その言葉の通りなら、謎のジジイは100年も前から今日のこの事を予言していたと居ても過言ではないのだ。
「まさか・・・貴方は100年も前から私がここに来ると分かっていたのですか?」
「それこそまさかじゃな。あくまで対抗手段の1つとしていろいろ手を打ってただけじゃ。
因みに時空神だけじゃなく、巫女神の神降しや闘鬼神の鬼獣化などの七王神のそれぞれの能力をも拡張しておるよ。
あ奴らが八天創造神を黙って見過ごすものか。関わりを拒否したとしても何れあ奴らはこの世界に関わってくる。そういう運命なのじゃよ。今の儂のようにな。
そう思ったうえでの能力拡張じゃ。何もお前さんにピンポイントでWの王の証に干渉した訳じゃない」
謎のジジイはこうは言うが、The Worldにはまるで用意周到に我々――八天創造神と戦うための準備をしていたのだと理解した。
それも100年も前から。
因みに26の使徒の中に七王神の力を使う事が出来る『最強の正躰不明の使徒』が現れたのは嬉しい誤算だった。
謎のジジイはもし『世界を総べる王』がルーナを攫いに来たのなら、チャージアイテムに封じた時空魔法で対抗するつもりだったのだ。
「私は・・・戦う前から既に負けていたのですね・・・」
「そうじゃな、お前さんの戦いは既に100年前に終わっておったのじゃよ。それを無理やり起こされて戦わされた。自分の意思で戦っていないのじゃ。勝てるもんも勝てんよ」
「ふ、確かに。あの時の事を思い出した今となっては戦う事すら間違っていたと思いますよ。
・・・少々別れ際にしては時間を取りすぎたようですね。私は再び眠りにつきます。
願わくば、私に安らかな眠りを・・・」
「ああ、こんなことが二度と起こらないよう、儂等が八天創造神に引導を渡してやる。じゃから安らかに眠れ」
謎のジジイの言葉に安心したような表情を見せたThe Worldはそのまま光の粒子となって消え去る。
後に残されたのは、謎の銀のプレートだけだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「終わりましたか?」
「取り敢えず、一応はな」
戦闘が終了したのを感じたのか、ルーナがルナムーン神殿から出てきてこちらの様子を伺っていた。
謎のジジイが一応と言ったのは、根本的な解決に至っていないからだ。
The Worldを送り込んだ八天創造神、その内の1人がルーナを捉えようとした。
その1人をどうにかしない事にはルーナの身の安全は保障されない。
「仕方ないの。どれ、アルカディアで『奴ら』との決着を付けるか」
その言葉に驚いたのはデュオやウィルだった。アルベルトは何の事だかよく分かっておらず、首を傾げていた。
ただ美刃だけは驚きもせず黙って謎のジジイを見つめる。
・・・無表情だから驚いた顔を見せてないだけなのかもしれないが。
「ちょっと待ってよ、お爺ちゃん。アルカディアって・・・今から全部のエンジェルクエストを目指すって事?」
「幾らなんでもそりゃ無茶だぜ。俺らも数個クリアはしているけど、全部となると軽く1年以上は掛かるぜ?
その間にも八天創造神はルーナを狙ってくるんだろ。守りきれるのかよ」
デュオはついこの間再会した友――鈴鹿達の事を思い出す。
彼らは驚異的な速度でエンジェルクエストを攻略していったが、あれは全てをエンジェルクエスト攻略の為に費やしていたからだ。ついでに言えば移動手段に騎竜――スノウが居たのも大きい。
謎のジジイが持つ黄金騎竜が居ればスノウと同じように移動時間の短縮は可能だろうが、それでも軽く1ヶ月以上は掛かる。
そしてエンジェルクエストによっては『闘争の使徒』のように期間が限定されているのもあるのだ。
その間、ウィルの言ったようにルーナを守りきれるのかと言えば怪しい。
The Worldの失敗を察した八天創造神がそれ以上の刺客を送ってこないとも限らない。
だがそんなデュオ達の心配をよそに、謎のジジイは心配いらんと言ってくる。
「何、アルカディアに行くのは直ぐじゃ。儂だけが使える直通ゲートがあるんじゃよ」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」
流石にこれにはデュオ達は謎のジジイの言葉の意味を理解するのに時間を要し呆然とする。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
「ほっほっほっ、そこまで驚いてくれるとは驚かし甲斐があったのう」
「いやいやいや! お爺ちゃんそれ、今世界中でエンジェルクエストを攻略している人たちに喧嘩売っているよ!」
「うわぁ・・・もしかして聞いてはいけない事を聞いてしまったのか? 俺」
「そこはお主らが黙っておればいいじゃろう。
さて、ルーナ。約束通りお主を外の世界に連れて行ってやろう。まぁ、行き先はいきなりアルカディアじゃがのう」
これから直にアルカディアに言って八天創造神と決着を付けるのはいいのだが、それまでルーナをここに置いておく訳にはいかない。
アルベルトがいるとは言え、何時また次なる刺客が来るとも限らないのだ。
それならばいっそのこと手元に置いておいて身近で守れる方がいいからだ。
それに先の約束もあった。ルーナを外の世界に連れ出すと言う。
「いえ、外の世界を見せて頂けるのでしたら何処でも」
「お、オラもついて行くだ! オラはルーナ様の巫女騎士だべ!」
「そうじゃの。儂1人でと言うのも手が回らん時もある。アルベルトにはルーナの護衛として来てもらうか。
後は『奴ら』と戦う手数として・・・ソロ、お主にも来てもらうぞ」
「師匠の無茶ぶりは相変わらずだな。いきなりアルカディアかよ。
まぁ良いぜ。アルカディアに行けば天地人の魂を生み出す秘密が探れるのかの知れないんだろ? だったらこの機を逃す手は無いさ」
「その手法は『奴ら』の手によって9割方確立しておるみたいじゃ。『奴ら』を倒せば手に入るじゃろうて。
美刃は言われずともじゃな」
無論、美刃の方でも付いて行かない理由は無い。
寧ろエンジェルクエスト以外でアルカディアに行けるのなら願ったり叶ったりだ。
「・・・ん、まさか置いていくなんて言わないでしょうね? 私の方でもアルカディアに捕らわれている姪が居るし、助けに行くのに好都合よ。
それに・・・手数なら私たち以外にも彼らが居るわ。時期的には一緒になるのかしら?」
「ほう? お主がそこまで言う者じゃと? 何やら心当りがあるみたいじゃが誰じゃ? 儂が知っている者か?」
「・・・ん、それは会ってからのお楽しみ。でも間違いなく戦力として当てにできるわ」
「ふむ・・・まぁ良い。戦力が増えるに越したことは無いが、お主が居れば戦力不足になることはあるまい。のう・・・七王神の1人、剣聖神・月牙美刃さんよ」
「・・・ん、今の私はただの美刃よ。その名は23年前に置いてきたわ」
無表情の美刃には珍しく、不満をあらわにした顔を見せて謎のジジイから顔を背ける。
そして謎のジジイの言葉に最早今日何度目か分からない驚きがデュオとウィルを襲う。
「え? ちょっと待って、美刃さんが・・・七王神・・・? は、はは・・・そりゃあ、強いわけだ」
ウィルは流石にショックを受けていたが、デュオは別の意味で衝撃を受けていた。
デュオが予想していた七王神の中に異世界人が居たと言う事が証明されたのだ。
だとすれば100年前にも異世界人がこの世界を訪れていることになり、異世界人との関わりは3年前の比ではない。実は100年も前から異世界人が関わっていたことになる。
また、先ほどの命が尽きようとしていたThe Worldと謎のジジイとの会話の中にWの王の証による世界改変と言うのがあった。
世界改変と言うのは世界が破滅しそうになった言う大災害の事ではないのか?
もしかしたらそれにすら異世界人が関わっている・・・?
ここまで来ると全ての一連の出来事が繋がっているのではないかと、デュオにはそう思えてならなかった。
「それで、お主らはどうするつもりじゃ?」
驚きと考え事で上の空だったデュオに、謎のジジイが声を掛ける。
お主らはアルカディアに行くのか? そう訪ねているのだ。
「勿論行くに決まっているわ。クオをあんな目に遭わせた『彼ら』――いいえ、八天創造神に一発入れないと気が済まないもの」
「おいおい、まさか俺を置いていくつもりじゃないだろうな。勿論俺も行くさ。デュオだけ行かせてはいそうですかって言うと思っているのかよ。
色々驚くことがあり過ぎて頭が回ってないが、それだけは違えないぜ」
「お主らが思っている以上にこの先厳しい戦いが待っておるぞ。それでも良いのか?」
「くどいわよ。お爺ちゃん」
「だな。これ以上戦士の覚悟を貶すなよ」
「一著前の口を利きおってからに・・・そこまで言うのなら連れてってやろう。後で後悔してもしらんからの」
こうは言うものの、ルーナを守るためにルナムーン神殿に連れて来た時点でデュオの覚悟は決まっていたのだろうと謎のジジイは諦めにも似た頼もしい気持ちでもいた。
出来るなら普通の冒険者としての生を送ってほしかったのだが、自分と関わった時点で今さらかと思う。
「さて、お爺ちゃん。アルカディアに付いて行くと決まった以上、お爺ちゃんにはいろいろ聞きたいことがあるわ。色々とね」
「・・・まぁ良いじゃろう。相手が八天創造神じゃ。お主も知っておいた方が良いのかもしれん。
後で話してやろう。今はアルカディアに向かうのが先じゃ」
デュオの鋭い視線を受け、謎のジジイは本当に関わりを持つべきじゃなかったかもと本当に後悔していた。
デュオが真実を知って正常でいられるのか。それが心配だった。
「パンドラの箱には希望が残っておったが、さて、この世界の真実には希望が残されておるのか・・・」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
デュオ達はそれぞれの思惑を抱え、アルカディアを目指すことになった。
謎のジジイのみが使えると言うゲートによりエンジェルクエストをクリアする必要なくアルカディアに向かえると言うのだ。
そうして訪れたのはセントラル遺跡だった。
黄金騎竜のガジェットに乗っての移動だが、流石に6人を運ぶのには乗るスペースが無く、無理やり乗り込んで落ちないようにゆっくりの飛翔となった。
そんなわけで思ったよりも時間が掛かったが何とか目的地のセントラル遺跡に辿り着く。
そして謎のジジイが先頭になって目的の場所へと歩を進める。
「まさか、セントラル遺跡にアルカディアに通じるゲートがあるなんて・・・」
「爺さんしか使えないんじゃ、どれだけ探索し尽くしても誰にも見つけれないって事か」
「この地は特別じゃ。始まりにして終わりの地。許されざる者しか通る事の出来ない道。更にその中で宿命を刻まれた者――この場合は儂じゃがな。その者のみが使える門。
そう言った数奇な出来事が集う言わば聖地じゃな」
謎のジジイは振り返らずに前を進みながらデュオ達にセントラル遺跡にまつわる出来事があることを説明する。
デュオも何度も遺跡に探索しており、ある程度は地図を頭に入れている。
その地図によれば謎のジジイは遺跡の中心よりやや南へと向かっているように見えた。
確かそこには瓦礫が散乱しているが大きな広場しかなかったはず。
と、そこで謎のジジイが何やら気配を感じ歩を止める。
「ふむ、何かおるの。見たところ魔物のようじゃが、それにしては魔物特有の荒々しさが無いな」
デュオも魔力探知を使いこの先を探ってみると、謎のジジイが言うように随分と大人しめの何やら大きな魔物の魔力を感じた。
だがどこかで感じたことがあるような・・・
「警戒しながら進むぞ。必要あらばその魔物の排除をする」
慎重に歩を進め広場の端に辿り着き中央に佇む魔物を覗いてみると、そこに居たのは見覚えのある魔物――いや、騎竜だった。
「スノウ!」
デュオは思わず広場中央で忙しなく首を回し周囲を探っている銀色の騎竜――スノウに駆け寄った。
「どうしたの? 鈴鹿達は? もしかして何かあった?」
「グルゥゥ・・・」
デュオの姿を見つけたスノウは何かを訴えるかのように首を下げ頬をデュオに擦りつける。
他の者もスノウの姿を確認すると警戒を解きスノウの側に集まる。
謎のジジイもスノウの姿に驚きつつも周囲の警戒を怠らないようにしていた。
「・・・ん、もしかして鈴鹿達に置いて行かれたんじゃ?」
何故スノウがセントラル遺跡に居るのかデュオが疑問に思っていると、美刃がスノウがここに居るのかを思い当たったようだ。
「あ」
エンジェルクエストをクリアすれば女神アリスによりアルカディアに招かれる。
それは攻略した者だけであり、騎獣はそこには含まれない。
つまりスノウはアルカディアに行く事が出来ないのだ。
その事に思い当たったデュオはスノウの気持ちが理解できた。
これまで苦楽を共にした仲間に置いて行かれたことに寂しさを感じた――訳じゃなく、他の方法で仲間を助けることが出来ないか、それを探っていたのだと。
スノウがセントラル遺跡のこの場所に居るのも偶然ではない。
知っていたのか野生の勘かは分からないが、スノウはこの場所にアルカディアに行く手掛かりがあると感じたのだろう。
「ねぇ、お爺ちゃん。スノウも連れて行っていいかな?」
「あ、ああ・・・それは構わんが・・・
もしかしてこいつは巫女神フェンリルが乗っていたスノウ・・・か?」
「うん、そうみたいだね。トリニティの仲間・・・鈴鹿って言うんだけど、セントラル遺跡でスノウを見つけ懐いたので騎竜にしたんだって」
「・・・あの時の小僧か! 確かに小さくなった銀色の竜が居たな」
どうやら謎のジジイも鈴鹿のエンジェルクエストを巡る旅の途中で出会っていたらしい。
その事を思い出したのか、大いに驚いていた。
「・・・ん、ついでに言えば鈴鹿は彼の息子、ううん、貴方の場合は彼女と言った方が分かるかな? 貴方に引導を渡した彼女よ。
そして私の姪を助けるためにアルカディアに向かった彼がその鈴鹿」
「・・・ぬ? 彼・・・彼女・・・? あ、あ奴か! あ奴の息子か!
わははははっ! あ奴に息子が居たのか! そりゃあ100年、いやそっちじゃ23年か。それだけ年を取れば子供の1人や2人は居るか!
なるほどの。スノウが懐くわけじゃ」
美刃の言う彼女とやらに思い当たったのか、謎のジジイは大きな声を上げて笑い出す。
その顔は本当に楽しそうだった。
「ぶー、まぁたお爺ちゃんと美刃さんの2人だけで通じる話をしてるー」
「ああ、すまんすまん。これほど愉快な話は久方ぶりでの。
さて、スノウを連れていくとなるとこの大きさじゃちとキツイの。前は騎獣縮小リングを付けていたみたいじゃが今は無いみたいじゃな」
そう言って謎のジジイは闇属性魔法を唱え、シャドウゲージから2つの騎獣縮小リングを取り出す。
1つはスノウの分で、もう1つは後ろに付いて来ているガジェットの分だ。
スノウはデュオの頭に、ガジェットは謎のジジイの命令でルーナの肩に止まる。そうして全ての準備が整い、謎のジジイが何やら石碑が立ってたと思われる残骸に手を翳す。
するとそこに人が1人通れるくらいの光の渦が生じた。
「さて、この中に入るのじゃ。この先にアルカディアに行くゲートが存在する」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
光の渦を抜けた先は廃墟と化していないセントラル遺跡――否、旧セントラル王国王都セントラルだった。
但し空は赤く染まっていて、先ほどまで居た空間と別空間だと言うのが分かる。
謎のジジイが驚くデュオ達を連れて王都セントラルの中心地、セントラル城へと向かう。
「懐かしいんじゃないのか?」
「・・・ん、そんなことない」
どうやら美刃はこの場所を知っているみたいだった。謎のジジイが美刃にその事を尋ねると返ってきた答えはそっけないものだった。
謎のジジイもそれ以上は何も言わなかった。
セントラル城の謁見の間、玉座があったと思しき場所から伸びる光の階段が天に向かって伸びている。
言われるがまま、デュオ達は光の階段をただひたすら登っていく。
「長い・・・わね」
「一体どこまで行くんだよ・・・これ」
「ルーナ様、大丈夫だべか?」
「はい、大丈夫ですよ、アルベルトさん」
「流石にここは俺も初めてだな。師匠の秘密は今に始まった事じゃないが、これは流石に凄いな」
あまりの長さにぼやきが入るものの、そうしてようやく着いた先には巨大な両開きの扉があった。
描かれているのは複数の円が線で繋がれた模様のようなものだった。
知る人にはそれがセフィロトの樹と呼ばれるものだと分かっただろう。
この場でそれを知っているのは謎のジジイと美刃のみだった。
そうしてセフィロトの樹の扉を開く。
中に入ったデュオ達は中の景色に最早何度目になるか分からない驚きを通り越して呆然とする。
「何・・・ここ。見たことも無い部屋ね」
「何だこの壁。石・・・じゃないな。机も鉄?で出来ているし、机の上に乗っているこの四角いのは何だ?」
「わ、わ! ガラスの向こうにでっかい箱がいっぱい立っているだ!」
「凄いですね。ガラスの外を見ればこの部屋が途轍もない高さにあるのが分かりますね」
「へぇ・・・これが師匠の隠してた秘密の一端か」
物珍しさで部屋を動き回るデュオ達。
そんなデュオ達を尻目に謎のジジイはある扉の前に行く。
扉のプレートには『社長室』と書かれていた。
謎のジジイは扉の取っ手に何やら鍵のようなものを差し込み呪文を唱えた。
すると取っ手部分を囲うように幾つもの魔法陣が現れ鍵を開けようとする。
「さて、この扉の開錠にはちょっと時間が掛かる。その間にデュオ、お主の聞きたいことに答えるぞ」
部屋を興味深そうに探っていたデュオは、これには佇まいを直し謎のジジイへ向き直る。
「うん、じゃあお爺ちゃんの隠している秘密を教えて。
お爺ちゃんの目的――この場合は裏切りの神の神勅の内容かな? 後は美刃さんとの関係。七王神との関係。100年前の本当の真実なんかも」
「そうじゃの、何から話したらいいのか―――」
「そんな・・・それじゃあソロお兄ちゃんが王都を襲ったのも、あたし達を助ける為・・・?」
「そうなるな。助けるために襲うなんて矛盾しているが、生き延びるために必要な事だったんだ。
与えられたものだけで満足していたら俺達は生存権を『奴ら』に握られっぱなしだ。それを回避するためには『奴ら』の策に乗りつつ出し抜く方法を捜さなければならない。
師匠には師匠の思惑があって俺を弟子にしたんだが、俺も俺達の思惑があって師匠に師事している。主に『奴ら』を出し抜く方法を捜すためにな。
どうやら今回はその方法に辿り着けそうだ」
真実を知ったデュオに今日最大の衝撃が襲う。
確かにこれを知れば平穏に等暮らしてはいられない。何もかもが全て『彼ら』――八天創造神の掌の上なのだから。
謎のジジイが真実を語っている間にどうやら『社長室』の扉のカギが開かれた。
「っと、言いたいことがまだあるじゃろうが、それはアルカディアに行ってからじゃな」
謎のジジイに促され『社長室』に入るデュオたちの目には床に書かれた部屋いっぱいの魔法陣が飛び込んできた。
デュオはその魔法陣を解析しようにもあまりにも複雑怪奇で全てを理解することが出来なかった。
「これが・・・アルカディアに行く為のゲート?」
「そうじゃ。この魔法陣でアルカディアに行ける。無論エンジェルクエストを経由しないで行くのでそれなりのリスクが伴うがの。
あ、因みに安全性はバッチリじゃ。何せ儂が何度も行き来しておるから」
リスクが伴うのに安全性が確実とは矛盾してはいるが、謎のジジイの後半の発言がそれをかき消していた。
「・・・もう、お爺ちゃんには驚くどころか呆れるわね」
「・・・だな。いちいち驚いていたらキリがないな」
「オラ、良く分からねえだが、じっちゃんが非常識だと言うのが皆を見て良く分かっただ」
「クルゥ・・・」
「グラァ・・・」
デュオ、ウィル、アルベルトの3人からは謎のジジイに対する態度は最早呆れに変わっていた。
心なしかスノウやガジェットまでもが呆れていたように見えるのは気のせいではないだろう。
年長者や付き合いの長いソロ、美刃、ルーナは今更と言う態度を示していたが、こうもあっけらかんとアルカディアに行き来している事を告げられるとデュオ達と同様に驚くと言うより呆れかえっていた。
「何じゃ、面白くない反応ばかりじゃのう・・・もっと、こう、「えええっ!」だの「なんだってー!」だの言って欲しかったんじゃが」
「はいはい、もうちゃっちゃとアルカディアに行きましょう。向こうに行ってからもやることが山ほどあるんでしょ?」
「う、うむ」
デュオに促されて謎のジジイがアルカディア行の魔法陣を起動させる。
淡い光から次第に発光が強くなり、最終的には光全体が部屋を包み込む。
いざ魔法陣が発動と言う時に、それは起こった。
――見つけた――
――見つけたわ――
――見つけましたわ――
その謎の声と共に、美刃の足下だけに別の魔法陣が現れた。
そしてその魔法陣が輝き美刃を光につつみこむ。
それと同時にアルカディア行の魔法陣が最大光力を放ち、デュオ達をアルカディアに転送する。
エンジェリン編 -終-
次章より
アルカディア編 -始-
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