41.その目的は隠されし神器
「え? 冒険者ギルドに指名依頼が入っているって?」
「それも王宮からの、ね」
シフィルが告げてきた言葉にデュオはげんなりする。
王宮からの指名依頼となれば、第三王子のカインからの冒険の依頼もしくはデュオのこれまでの冒険譚の語りを願うものだろう。
だが、シフィルから続けて聞かされる依頼内容はデュオが思っていたのとは違うものだった。
「今回の依頼は護衛ね。カイン殿下への謁見時の身辺警護になるわ」
「え? それって近衛騎士団の仕事じゃない。何であたしなんかにそんな依頼が来るのよ」
「理由が幾つかあるらしいけど、その内の一つとして過剰戦力でもいいから近衛騎士以外の実力者を集めたいみたい。デュオっちはその筆頭ね。何せカイン殿下と親交があるし」
その親交も偶然の産物なのだが、必要以上の王族との親交はデュオにとっては有難迷惑に過ぎない。
「少なくともデュオっちはこの依頼受けた方がいいと思うよ。
何せカイン殿下に謁見するのは巫女神フェンリルだからね」
シフィルの仕入れた情報によると、巫女神フェンリルがエレガント王国の王族へ謁見を希望したらしい。
だがエレガント王国国王であるカーディナルは急な謁見に対しスケジュールが合わず、また神を名乗るフェンリルに対し無下に扱う事が出来ないと言う事で、第一王子から第三王子へとお鉢が回ってきたのだ。
第一王子であるカルヴァンクル王太子は王都での九尾事件が一段落すると『災厄の使徒』対策の為、イースト平原のカルデナ砦へととんぼ返りしてしまった。
第二王子は元々他国へ留学している為、エレガント王国には居ない。
そうなると自ずと残った第三王子のカインが巫女神フェンリルと謁見することになったのだ。
巫女神フェンリルの方でも王族との謁見を希望していたので第三王子でも問題は無く、王国側としても真偽判定が出来る真実の目の祝福を持つカインに謁見させるのに都合が良かったのだ。
「なるほどね・・・それで近衛騎士団だけじゃ対応できるか分からないから冒険者にも依頼が来た、と。相手は仮にも神を名乗る大物だから戦力はいくらあってもいいわよね。
そうなるとあたし以外にも依頼が来てるクランとかもあるんじゃないの?」
「直接依頼しているのは限られた冒険者のみだね。デュオっちの他にも美刃っちやフウリンジっち、ソクラテスっちとかも呼ばれているね。
流石に王宮に無条件に大人数の冒険者を招くことは出来ないから限られた人数だけどね」
デュオはこの依頼のメリット・デメリットを考える。
確かに今噂の巫女神フェンリルが本物であれば、世界の秘密の手掛かりになるかもしれない。
だがシフィルも本物であると言う確証を未だ得られず、もし偽物であるとすればこの謁見は何か企みがあってのことだ。
そうなれば、王宮でのトラブルは必至。下手をすればカイン王子の護衛を果たせなかったと言う理由で王宮――前回の九尾事件ようにデュオに恨みを抱く貴族が暗躍しないとも限らない。
だがデュオの心は既に決まっていた。
カイン王子には色々と世話になった上、ここで討たれるようなことがあっては目覚めが悪い。そしてそれ以上に僅かな手掛かりが向こうから飛びこんできたのだ。これを逃す手は無い。
また、昼に会ったフェルからのアドバイスを思い出すと今回のこの依頼は受けておいた方がいいと思った。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ふ~ん、なるほどね。
デュオはそのクオって子を助ける方法や復讐相手を探しているって訳ね」
デュオからの相談を受け、一緒に喫茶店のカフェテラスで紅茶を飲んでいたフェルは思案気な表情をする。
フェルも大まかではあるがつい先日起きた九尾事件については知っていた。
デュオから九尾事件の真実を聞かされその想いを打ち明けられた。
「でも手掛かりが目の前にあるのにどうしても手が届かなくて・・・フェルさんなら何かセントラル遺跡とか知っているんじゃないかと思って」
「残念だけど、セントラル遺跡のその資料庫はわたしにはどうする事も出来ないわ。
あれは封印の鍵を持って入なきゃどうする事も出来ないのよ」
「はぁ・・・やっぱりそうですか・・・」
僅かな希望とは言え、流石にはっきりと不可能と断言されると落胆せざるを得ない。
デュオは明らかに肩を落とし気落ちしてフェルの「わたしのほうでも『彼ら』に用があるのよ」と言う呟きは聞いていなかった。
そんなデュオの様子を鑑みたフェルは別方向からのアプローチをしてはどうかとアドバイスをする。
「デュオ、貴女の目的は世界の秘密って訳じゃないでしょう」
「え? でも『彼ら』に辿り着くには世界の秘密を知る必要が・・・」
「違うでしょ。貴女の目的はクオちゃんをそんな目に合わせた『彼ら』への復讐。そしてクオちゃんを一日でも復活させるための方法。世界の秘密はその手段でしかないわ」
そう言われてデュオは気が付いた。手段が目的になっていると言う事に。
「何も『彼ら』に辿り着くのは世界の秘密だけがその手段じゃない。『彼ら』が関係しているのならその関係したところから探っていけばいいのよ。
今回の事件が起きた九尾の狐の分裂に関して何か知っていることは無い? そのお爺ちゃんの言う通りだと、分裂に関して『彼ら』が関わっているって事でしょ」
デュオは玉藻の前の再生水晶を管理をしている狐人の3人娘から少し前に冒険者が玉藻の前の寝所を荒らしに来たと言っていたことを思い出した。
(そうか、それが原因ね! そしてその冒険者に『彼ら』の息が掛かっているかも!
後でシフィルに調べてもらった方がいいわね)
「後、クオちゃんを救う方法は資料庫だけが全てじゃないわ。再生水晶に大量に魔力を注ぐ手段なら世界の秘密だけが方法じゃない。忘れたの? 資料庫には魔導の英知を収めた魔導技術大全があるわ。
そして魔導技術大全は全部で5つ。資料庫以外にもある可能性があるのよ」
言われてみればそうだとデュオは思った。
クオを助ける方法なら世界の秘密だけじゃない。魔導の英知を収めた魔導技術大全があると言う事を。
となれば、まずはプレミアム共和国にあると言う1冊を目指すことになるだろう。
「フェルさん、ありがとう! まだ僅かな望みが繋がったわ」
「大したことはしていないわ。デュオもそのうち気が付いたと思うし」
そう言いながら、フェルは先程より鋭い視線でデュオを見つめる。
デュオも真剣な表情のフェルに思わず黙り込んでしまう。
「それよりも聞いていいかしら。デュオはどうあっても復讐を望むの? その復讐をクオちゃんが望んでいないとしても?」
その言葉にデュオは言葉に詰まる。
そう、この復讐はデュオとって自己満足にしか過ぎないのだから。
再度封印される際にクオは復讐を望んでいないように見えた。寧ろ残されたデュオを気遣う様子すら窺えた。
おそらくだがデュオの心に陰が残り、それが復讐と言う名の刃にならないか心配し他のだろう。
さり気ない会話だったが謎のジジイとのやり取りに九尾事件の裏側に潜む者の存在をにおわせたのだから。
そして実際それは現実のものとなり、デュオの心は復讐に向いている。
「復讐なんて下らないことは忘れなさいなんて言わないけど、わたしとしてはデュオには優しい心のままで、クオちゃんと接した時の様な穏やかな心を持っていてほしいな。
デュオがそのままの気持ちでクオちゃんに魔力を注いでも逆効果じゃないかしら?」
「・・・っ!」
確かに、今の気持ちのままでクオに魔力を注いでも浄化の意味が無い。
そのことを指摘され、デュオは余程自分の気持ちが負の方向に向いているのかに気が付かされた。
「で、でも・・・クオをあんな目に合わせた『彼ら』をこのままになんて・・・」
「言ったでしょう? 忘れろだなんて言わないって。
ただ怨みを晴らす、同じ目にあわせてやるとか暗い陰を持った復讐は自分も返ってくるからね。
何のために復讐をするのか。それをもう一度よく考えてみるといいかもしれないわ」
「何のための復讐・・・」
「それを考えれるようになったら貴女は先へ進める。前へ進める。そしてそれはクオちゃんへ向かう道へ続いているわ」
デュオはもう一度フェルの言葉を噛みしめ改めて前を向く。
「ありがとう、フェルさん。あたしちょっと焦ってたのかもしれない。クオを助ける手段が魔力を注ぐだけの現状に無力さを感じて、その苛立ちを『彼ら』に向けていたんだと思う」
「ふふ、そこまで気が付けば大丈夫ね。
後はついでのアドバイス。巫女神フェンリルに気を付けた方がいいわね。もしかしたらこれも『彼ら』が裏で糸を引いている可能性もあるわ」
「巫女神フェンリルが・・・?
そっか、この場合巫女神フェンリルが本物であろうが偽物であろうが関係ないんだ・・・ 『彼ら』が裏で糸を引いているとしたなら。
上手くいけば玉藻の前を襲った冒険者とは別口で『彼ら』の手掛かりを得られるのかもしれないわ」
「そう言う事。気を付けてね、『彼ら』は常にこの世界を監視しているわ」
そう言いながらフェルは「紅茶ご馳走様」と言いながらその場を立ち去る。
そしてデュオは気が付く。フェルの思わせぶりの言葉に。
「え? ちょっ・・・! フェルさんももしかして『彼ら』の事を知っているんじゃ・・・!?」
その時には既にフェルの姿は無く、デュオは彼女の姿を見失っていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
フェルと一緒に居た時のことを思いだし、デュオは確かにこれはチャンスだと思った。
「そうね、これはあたしにとっても都合がいいわ。図らずとも向こうから手掛かりが舞い込んでくるんだもの」
シフィルはデュオが昼にフェルと会った時のことを聞いていたので、噂のフェンリルが何であれ利益になると思い今回の王宮からの依頼を勧めたのだ。
「例え偽物でもデュオっちにとっては『彼ら』に繋がる手掛かりになるからね。もし本物なら尚更逃す手は無いし。
ただ問題なのはデュオっちが大勢いる護衛の1人にしか過ぎないって事なんだよね~」
「まぁ、その辺りは上手くやるわよ。何ならカイン殿下に協力してもらってもいいし。今まで無理難題を聞いてきたんだし少しくらい協力してくれてもいいと思うの」
「・・・デュオっち、随分と黒くなったね。まさか王族に強請りを掛けるとか」
「・・・強請りだなんて人聞きの悪い事言わないでよ。あくまで協力要請よ」
シフィルの言い方に思わず反論してしまったが、よくよく考えれば意味的には同じなのかもしれない。
切っ掛けは偶然ではあったが、1か月半前のカイン王子の誘拐事件に関わっており、その裏の事情を色々と知っているのだ。
つまりあの時の真実をばらされたくなければ協力城と言っているようなものだ。
まぁ、王宮――カイン王子はデュオがそんなことを望む人物ではないと見抜いているのでそんな心配はしていないが。
デュオはシフィルから今日までのフェンリルの情報を貰い、王宮からの依頼を受けるべく冒険者ギルドへと向かった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「何? ユーリが大怪我をしただと?」
夕方、お互い情報を集め『踊る舞姫亭』の一室に集合したジークフリードは盗賊ギルドで情報を集めていたラルナからユーリがブルブレイヴ神殿で盗難騒動に巻き込まれ大怪我をしたと聞かされた。
何でもブルブレイヴ神殿の神器である力の御剣を盗もうと賊が押し入り、丁度情報収集に訪れていたユーリが巻き込まれとばっちりを受けて大怪我をしたと言うのだ。
正確にはユーリも状況から判断し、ブルブレイヴ神殿へ協力して賊の侵入を防いだのだ。
大怪我を負ったユーリはそのままブルブレイヴ神殿で治療をしてもらっていると言う事らしい。
「あのユーリが大怪我とか、侵入した賊はかなりの腕前だったのか?」
「そうみたい。何でも警備の人を庇ってってらしいけど。それとユーリだけじゃなく、他の人もかなりの怪我をしているみたい」
ユーリは防御力が高い騎士――この場合は国に仕える騎士ではなく、冒険者的職業の自由騎士になる――なため基本的に大怪我をすることが少ない。
その騎士に大怪我を負わせるとなるとそれなりの実力者と言う事になるのだ。
「・・・もしかして当りではないか?」
ブリュンヒルデは自分たちが追ってきた犯人がエレガント王国へ逃亡してきたのは間違いないかと判断した。
否、更なる犯罪を重ねる為にエレガント王国へ入国してきたのだと。
「その可能性が高いな。詳しい事はブルブレイヴ神殿とユーリに聞かなければ何とも言えないが、サンフレア神殿に続いてブルブレイヴ神殿に侵入したとなると奴らの本当の目的は3つの神器全て、って事か?」
「まさかとは思ったけど、狙いは全て神器とはね・・・これって結構マジヤバな事件だね。何で本殿はあたし1人しか送り込まなかったんだろ。危機感薄すぎ」
ジーク達が追っていた犯人の目的が三種の神器ではないかと当りを付けるとラルナはサンフレア神殿の対応に思わずため息がこぼれる。
神器とは太陽神サンフレア・月神ルナムーン・勇猛神ブルブレイヴの三柱神を象徴する神器で通称三種の神器と呼ばれており、この世界を創りあげた神々の神器だけあって3つ揃えば世界を支配することが出来ると言われている神話級のアイテムだ。
「それは仕方ない。ただでさえサンフレア神殿から神器を盗み出すだけでも大事なのに、誰も神器全てを狙うなんて大それたことを考えるとは思わないからな。
それに神器を手に入れるにしてもそれなりの警備を突破しなければならない。
実際、ブルブレイヴ神殿では神器は盗まれなかったのだろう?」
ブリュンヒルデがさり気なく全ての神器が狙いだと気付くのは不可能であるとフォローする。
「うん、そうだね。流石武を司る神を祀る神殿だけあって一騎当千な武官が居るからね。
賊も何も取らないで逃げ出したみたい」
「サンフレア神殿はあっさり盗まれたけどね」
「うぐっ、実際そうだから言い訳できない・・・」
ぼそりと呟いたアーヤの言葉にサンフレア神殿所属であるラルナはバツが悪そうに言葉を詰まらせる。
「冒険者ギルドでは大した情報は集めれなかったな。
ここ最近の事件でプレミアム共和国に絡んできそうなのは第二都市シクレットの議員パドロックの死亡くらいだ。何でもエレガント王国での政務が終わって帰国の途中で魔物に襲われて死んだって話だな」
「噂じゃカイン王子の誘拐を計画して失敗したって聞が、どこまで本当か」
結局冒険者ギルドではジーク達が追っている犯人に迫る手掛かりが得られなかったと報告する。
尤もそう易々と冒険者ギルドで手に入る情報でもない事は承知していたのでジーク達はそんなには落胆していなかった。
「私の方もクランでは大した情報は得られなかったわ。
神器とは関係ないけど、アルカディアから巫女神フェンリルが降臨していると言う噂を聞いたわ」
「巫女神フェンリルって・・・確か魔王を打倒し神になった100年前の冒険者だよな。
・・・何で今頃地上に戻って来たんだ?」
「さぁ?」
アーヤの報告にジークフリードは首を傾げるも、噂を聞いただけであってアーヤも詳細までは知っているわけでは無い。
「まぁいいか。俺達の目的はサンフレア神殿の神器・光の宝玉を取り戻すことだ。
そして犯人の次の狙いはブルブレイヴ神殿の神器・力の御剣だと思われる。ここは事情を話してブルブレイヴ神殿にも協力を要請したいが・・・どうだ?」
ジークフリードはラルナにブルブレイヴ神殿に事情を話、協力を要請できないかと尋ねる。
それはすなわちサンフレア神殿の神器を奪われると言う不祥事をブルブレイヴ神殿に晒すことにもなる。
その存在があやふやになっているルナムーン神殿は兎も角、サンフレア神殿とブルブレイヴ神殿はお互い協力体制を取っており、不仲と言うのは聞いた事が無い。
その辺りの判断はラルナでなければ分からないのだ。
一応、ラルナはジークフリード達に依頼をお願いしたサンフレア神殿の代表としてこの場に居るのでその判断を確認したのだ。
「う~~~ん・・・」
「下手に隠し事をして更なる神器を奪われるのを防いだ方がいいと思うが?
事の重要性を問うのにこちらの神器を奪われたことを明確に伝えた方がいい」
判断に迷っているラルナにブリュンヒルデがそう告げる。
その言葉を聞いてラルナはブルブレイヴ神殿にも協力を要請することを決めた。
「そうだね。醜聞を気にしてブルブレイヴ神殿の神器まで奪われたら何にもならないもんね。
よし! 早速ブルブレイヴ神殿に行って協力をお願いしよう!」
「少なくともこっちにはユーリが神器を奪われるのを防いだと言う功績もあるし、その為に怪我をしたと言う負い目もあるだろう。交渉はこっちに有利に働くと思うぞ」
方針をまとめたジークフリード達は1階の食堂で軽く夕食を食べ、ユーリの治療の様子を見つつ協力を依頼すると言う事でブルブレイヴ神殿へと向かった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ジークフリード達は直ぐにユーリの居る部屋へと案内された。
そこには大怪我をしたと聞いていたが、酷い傷だけを魔法で治療し包帯に巻かれたユーリがベッドに横になっていた。
大怪我をしていた時は気を失っていたが、今はある程度回復しており目が覚めていた。
ユーリはジークフリード達が来るとブルブレイヴ神殿を襲った奴らについて自分の見解を伝えた。
それはジークフリード達と同じ結論だった。
「ユーリも同じ答えに辿り着いたわけか」
「まぁね。流石に続けて神殿が狙われればおつむの弱いうちでも勘づくよ。侵入しようとした場所もこの神殿の神器を祀っている秘宝庫やったしね」
「神器は無事だったのよね? ユーリが身を挺して守ったから」
「うちだけが守った訳じゃないよ。ちゃんと神殿の警備も居たし。
ただ・・・ちょっと気になったのが、侵入者はうちらの必死の守りを突破して秘宝庫に辿り着いたと思うんやけど何も盗っていかなかったらしいんや」
ラルナはサンフレア神殿のように醜聞を隠す為にブルブレイヴ神殿も神器を盗まれていないか確認する。
その質問にユーリから出た答えにジークフリード達は少しばかり訝しげに思った。
「何も取っていかなかっただと? どういう事だ? 奴らの狙いは三種の神器じゃなかったのか?」
「ううん、神殿に・・・秘宝庫に押し入ったことから狙いが三種の神器であることには間違いないはず・・・」
「それとも秘宝庫には特殊な警備が敷かれ侵入者は手出しが出来なかったかもしれないな」
「・・・侵入者の実力も気になるところ。ユーリを始め神殿の警備の武官を切り抜けた腕は脅威」
思いがけない事実にジークフリード、ラルナは奴らの狙いが神器にあるのか判断が付かなくなり、ブリュンヒルデは狙いは間違ってないが奴らが引き上げた理由が秘宝庫にあるのではと。
アーヤはそれとは別に侵入者の実力を気にしていた。
「その辺りの詳細をブルブレイヴ神殿の方からも聞いた方がいいな。ここで俺達だけで話していても埒が明かない」
「そうやね。奴らの狙いが神器だとしたら結構ヤバいかもしれないし」
ジークフリード達はブルブレイヴ神殿に詳細を聞くべくラルナから上層部へ駆けあおうとしたところへ1人の巫女が現れた。
「何がヤバいのでしょうか? ブルブレイヴ神殿の力の御剣の神器が盗まれることでしょうか? サンフレア神殿の光りの宝玉が盗まれたことでしょうか? それとも三種の神器が揃い世界を支配されることでしょうか?」
医療室と言う事で開かれた部屋でジークフリード達は会話をしていた。
密室で会話をしていたわけでは無いので聞き耳を立てようと思えば聞く事は出来るのだが、思わぬ闖入者にジークフリード達の会話を聞かれていた事やその問いに何も言えずにいた。
それがブルブレイヴ神殿最高責任者である勇猛神の巫女・ブリジットであればなおさらだった。
次回更新は2/28になります。




