006
「二人共、事件だ」
署長のアンドリューが、いつもの様にジョセフとカレンに話しかけた。
「分かりました。現場はどちらでしょうか?」
「ウエスト・ハーレムだ」
短く言う。
「またか。冗談抜きでモンスターハーレムじゃないですか!」
ジョセフはゲンナリとした様子である。
「実際に出るのだから仕方ない。文句は怪物共に言ってくれ」
「そんなの無理ッス」
意気消沈のカレンだった。だが、食欲はある。嘆きながらも、今回はハンバーガーにシロップをかけて食べているのだ。
「今回のイカレた怪物はモスマンだ。全身を黒く染めて蛾のような見てくれのおぞましい怪物。通報者によると、歩行者の生き血を吸っているそうだ」
「よっぽど喉が渇いてるのでしょうね」
「そうだな。後、モスマンは空を飛べるらしい。くれぐれも気を付けるように」
「了解です」
「それで、今回は逮捕しますか?」
「いいや、人間に命を脅かす化け物は射殺してもいいだろう。私から上に言っておく」
「ありがとうございます」
二人は署長に敬礼をした後、パトカーに乗ってウエスト・ハーレムに向かった。
「確か、この辺りだったな」
車通りが多い場所が今回の事件発生現場だ。バス停が近くにあり、生き血を吸われた歩行者が救急車で搬送されているため、すぐに分かった。
「よし、降りるぞ」
「待ってくれ。今回の武器は何だ?」
「虫を落とす武器といったらこれだろ!」
ジョセフはパトカーのトランクからロケットランチャーを取り出した。
「こいつは最高にサイコだな」
「ああ、サイコ野郎にぶっ放してやろうぜ」
その時。モスマンが現れた。モスマンは報告通りの外見で、翼を羽ばたかせながら空を飛んでいる。
「一発で仕留めてやりな」
「勿論だぜ」
ジョセフがロケットランチャーを発射させると、弾は見事に直撃してモスマンを爆発四散させた。死骸は散り散りになって、黒焦げた羽根が地面に降り注ぐ。
「イヤッハー!!」
ジョセフは命中させた事を過激に喜ぶ
「虫が調子に乗ると、ロケランを担いだお巡りさんが殺しにくるぜ」
死骸の破片に蹴りを入れる。
「お、新しいことわざが出来たな!」
事件は無事に解決し、二人は笑いながら本部に帰って行った。