表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/7

プロローグ2 転生先は魔族でした

「……う、ん……?」


 あれから、どれくらいの時間が経ったのか。

 気がつくと俺は、硬いベッドの上に仰向けになっていた。


「どこだここ……」


 瞼を擦りながら体を起こし、周囲に視線を巡らせる。

 人の気配や話し声は聞こえてこない。

 おそらくは、どこかの部屋の中なのだろう。


「転生は成功した、ってことか。とりあえず電気っと……」


 部屋が暗くては詳しい状況がわからないので、俺は電気をつけようと右手をかざす。

 すると次の瞬間、かざした手のひらから微弱な熱が抜けていく感覚と共に、紫色に光り輝く何かが放出された。

 その何かは、天井に向かって吸い寄せられていき、そこにあった電球らしき物に光を灯し……。


「うおっ、なんだこれ!?」


 さも当然のようにその行動をやってみせた自分に、思わず素で驚く。

 この体に染み付いた、ルーティンの一つなのだろうか。

 どうやらこの体の持ち主は、自分の魔力を使って部屋の電気をつけていたらしい。


「マジで魔法がある世界なのか。スッゲェな……」


 ファンタジーの定番に軽く感動を覚える。

 本来ならこの流れでどんな魔法が使えるか詳しく確認するところだが、今の俺にはそれよりも最優先で確認したいことがあった。


 それは、容姿確認である。

 俺が転生したのは無双したいからではなく、モテたいからだ。能力確認など二の次でいい。


「おっ、ちょうどいいのがあるじゃねぇか」


 都合のいいことに、部屋の隅に大きめの姿鏡が置いてあるのを確認できた。

 俺はベッドから降りると、ほんの少しの期待と緊張を胸に、鏡の前へと歩み寄る。


「どれどれ……」


 まずは全体のシルエット。

 身長は百七十センチ台前半で、無駄のないスマートな体型だ。そこにニンジャを彷彿とさせる、黒装束の衣装を着用している。

 モテる土台としては、かなりいい線いってるのではないかと俺は思う。


 続いて、肝心の顔面。

 前の体と大差ない日本人風の顔立ちで、あえて自己採点をつけるなら……まあ、60点といったところ。可もなく不可もないフツメンだ。

 一つ明確に変わった点をあげるのなら、瞳が赤く鮮やかに光っていることくらいか。


「まっ、身長とスタイルは当たり寄りだし充分か! こうなるとあとは、俺のヒロインを見つけるだけ……だな……?」


 そこそこ当たりの部類だと満足しかけていた俺だったが、とある違和感に気づき、言葉がだんだんと尻すぼみになる。

 その違和感とは……。


「……なんでツノが生えてんだ?」


 黒髪に混じって、二本の立派なツノが生えていることだ。

 ぐるりと渦巻きを描くようにして丸くなっている、羊に生えているような立派なツノ。別名、悪魔の象徴ともされているアモン角が。


「…………」


 恐る恐る手を伸ばし、指先で触れてみる。

 ガリッ、と硬質な感触が伝わってきた。試しに引っ張ってみても、ピクリとも動かない。

 ファッションアイテムでもなければ、硬質化した髪の毛でもない。

 完全に、頭蓋骨からダイレクトに生えている。


「…………」


 無言のまま、俺は再度、自分の容姿を客観的に見つめ直した。

 鏡の中の男は黒い衣服を身に纏い、怪しく光る赤い瞳をしていて、頭には悪魔のツノがある。


 一つ一つの面だけ見れば、そこそこイケてる素材だったかもしれない。

 だが、魔王軍が人類を襲っている世界において、一般市民がこのビジュアルを見たときにどう反応するか。

 そんなの、考えるまでもない。


 俺は湧き上がる感情に身を任せ、転生させた女神に聞こえるような大声で叫んだ。

「おい駄女神ぃぃぃぃ! なんで魔族に転生させてんだよぉぉぉぉぉーーーーーっ‼︎」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ