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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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運命のワルツを貴男と…。

作者: XYZ
掲載日:2026/03/03

これは、とある少女の物語。なんてことのない日常を過ごしてきた伯爵令嬢。しかし、それは大きな運命の始まりに過ぎず、青年の死で幕を降りる悲しい魂航路である。

少女にとって待ちに待った舞踏会の日が訪れた。「アリエッティ、お母様から頂いたダイヤのペンダントに合わせた衣装をお願いね。」少女は恋をしていて、今が一番幸せな時期であった。それなりに王位に近い貴族の娘である彼女には親から宛てがわれた婚約者がいて、彼女の想い人はその婚約者ではなかった。


彼との出会いはやはり舞踏会。王家主催のアットホームなものである。年若く騎士団長の衣装に身を包む彼の素晴らしさに惹かれ、父親に彼の素性を問うた。


【・・・真面目な男だよ。派手な交友もせず、ひたすら自主稽古を続ける実に好青年だ。・・・が、彼の素性は王族のみが握る最重要機密。故に、私も知らぬのだ。】


過去を思い出して呆れた顔でため息をついた。首飾りを持って来たアリエッティは首を傾げる。「どうしたのですか?【ルナリアナ】お嬢様。」ルナリアナは溜息と同時に言葉を発した。「……貴族の秘匿性とお父様の力の無さに呆れていたのよ!」ツンと斜上を向けばアリエッティが苦笑する。


「…まぁ、アクア卿も力のない方ではありませんが王族が絡む決まり事に口を挟めないお立場ですから。」ぷりぷり怒るルナリアナの髪を整えつつ首に要望されたネックレスを着ける。「……何をお聞きになりたいかは存じ上げませんが、聞きたいことは今日、直接彼に質問されては如何ですか?」侍女の言葉にルナリアナは鏡を見据えて写り込むアリエッティに視線を向けつつ頷いた。


ーーー「…そうね、私もそれしかないと思っていたわ。…けど…」尻すぼむルナリアナの言葉にアリエッティはこれ以上は侍女の領分ではないと思うが疑問を示すように首を傾げる。それを観たルナリアナは苦い顔を浮かべた。「………深く関われば私は私のままでいられなくなるような……そんな気さえするのよ……」臆病風という名の一抹の不安が小さな胸中を締め付けるのだった。ーーー


❖❖❖


参加したダンスパーティーは騎士団長不在のまま進み、ルナリアナは半ば肩透かしの様にバルコニーに移動する。建物の構造のせいかテラスで話し込む貴婦人たちの会話が風に乗って届く。会話を盗み聞きする訳では無いが、女性とはやはり話好きなのだなと思わず笑ってしまう。


「……あ~あ…私も来年にはこの恋心を捨てられないまま、許婚のガルフ伯爵に嫁がねばならないのかしら・・・?」顔の作りは決して悪くはないが二回り以上歳の離れた父親と同年代の男性が結婚相手だと思うと、心の底から夢と希望を打ち砕かれていく。


だがしかし、伯爵家との婚姻は家同士の権力がより強固になるので、両親はかなり乗り気である。沈み掛けたルナリアナの心境に畳み掛ける様に階下から声がまた聞こえてきた。どうやら例の婚約者のガルフと騎士団長の声である。ルナリアナは走らなくもバルコニーの手すりから少し身を乗り出して下を覗く。


【貴公、ルナリアナ嬢の心痛は知っておるかね?】そんな言葉から始まったのでさらに気になって聞き耳を立てる。労せずに騎士団長の心根を確かめられるからだ。誰か好いた存在がいるとか居るとかの会話が聞けたならば、諦めもつくし家の繁栄の為に婚約者との縁談に集中できる。


心の傷はさておき、ガルフ伯爵も武功を優先してきた実直な男である。……少し暗い噂話もあるが嫁げばそれなりの幸せは約束されている。【……ええ、まぁ。】【では、何故彼女に何も言ってやらなんだ?…貴公の趣向違いからかね・・・?】伯爵の言葉に暫し間を開けると、風に乗って彼の声が届く。


ーーー【・・・俺は彼女に憎まれる存在であって、恋愛対象にはなり得ない。】そう断言されてしまい、伯爵は体を硬直させた。剣を握っていない素人の私にも分かるのだから、伯爵が体を硬直させるのも理解に易かった。彼から迸るその鋭く鋭利な刃の様な気迫は、おおよそ、人間が持ち得る事のない複雑な感情から後押しされるものだったからである。ーーー

この少女の名は現在手掛けているもう一つの連載中にも出てきます。


この話を別にしたのは物語の構造上組み込みづらかったのもあります。恋愛で構築する小話的であり、一次創作全体の媒体の一部である少女だけの物語として終わらせたかったのもあります。ご了承頂いて並行して読んで頂けるとありがたいです。


この話は悲恋からの別の恋語りへ橋を掛ける始まりです。

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