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アブノーマルな奴ら

【前回のあらすじ】

 遥か遠方の山奥から進学のため東京に出てきた霧里穂波きりさとほなみは、下宿先に選んだボロアパートを訪れる。

 東京とは思えないほどひなびた田舎町の片隅に佇むその宿には、期待に反して飼い犬以外誰もいなかった。

 だが、その犬が突然人間の言葉を話し始め、穂波をここへ呼び寄せたのは自分だと言い放つ。


 元は人間だった彼は、このアパートで目覚めた時にはなぜだか一匹の『雌犬』になっており、全ての記憶を失っていた。

 ワケも解らぬ状況ながらも、犬の身体では何かと不都合が多いため、苦心して自分の世話をさせるための住人を募集し、唯一応募してきた穂波に白羽の矢を立てたのだった。

 紆余曲折あって管理人ならぬ『管理犬』と利害の一致をみた穂波は、『アケビ』と名付けた彼と共同生活を開始し、翌日からの念願の学び舎である『国立東京危機管理専門高等学校』に思いを馳せる。


 しかし、いざ登校してみれば、その学校はあらゆる危機管理能力を身に付けるべく、生徒と教師がガチで殺し合うイカレた場所だった!

 極悪非道の『囚人教員』・大型バイクで校庭を暴走する比戸曳太蔵ひとひきたいぞうと、妖刀の魅力に惑わされた人斬り侍の永眠狂三郎ながねきょうざぶろうに成す術なく惨殺されていく生徒たち。

 そこから避難して校門の塀の上に追い詰められた穂波たちだが、高所が苦手な犬のアケビは身動きができず大ピンチに陥る。


 そこへ容赦なく襲いかかる永眠…だが、すぐそばの植え込みの陰に隠れていた女生徒二人に気づくと、先にそちらを始末すべく矛先を変えた。

 彼女達を救うべく手立てを講じた穂波は、逃げ腰なアケビを鷲掴むなり、あろうことか永眠めがけて放り投げた!

 果たして、飼い主のせいで窮地に立たされた憐れな飼い犬アケビの命運やいかに?

 そして穂波と女生徒たちは生き延びることができるのか…?





「…成敗ッ!」


 永眠が構えた日本刀の切先が、ピタリとアケビめがけて振り下ろされた!


「ドッッッぎゃアあァ〜〜〜〜ッス!?

 動物虐待ハンターイッ!」


 泣き喚くアケビ。だが身体の制御が効かない空中ではなす術なく刀身に吸い寄せられるばかり。

 このままでは文字通り刀の錆と化す…!


「クッ…ソオォアァーーーーッ!」


 火事場の馬鹿力と獣の底力を駆使して身をひるがえしたアケビは、口を大きく開け放ち…ガキィイーンッ!

 なんと、獣の牙で真剣白羽取り!


「ぬをっ!?」


 さすがの永眠センセもこれにはおったまげ!

 慌ててアケビを振り落とそうともがくが、人間の数倍もの顎の力を誇る犬の牙はそう簡単には振り解けない。


「でかしたっスよアケビちゃん!」

「もがもごもがァーッ!(テメー後で覚えてろよ!)」


 アケビの尽力により、永眠の攻撃手段を封じることに成功。

 しかし敵は彼一人ではない。


「ぉぅぉぅおうおう何やってんだテメエらァーッ!?」


 苦戦する同僚に気づいた比戸曳が、大型バイクで突っ込んできた!


「ワシは良い、先に塀の上の女子おなごを頼み申す!」

「おうよーッ!」


 アケビに食らいつかれたままの永眠に促され、比戸曳はターゲットを穂波に絞った。

 この囚人教師たち、意外と連携が取れてる。

 もしかして…仲良しサンなのか!?


「ひぃっ、こっち来る…!?」「大丈夫、狙いは塀の上だから。あんな所に届くはずが…」


 植え込みの陰で怯える、体格良過ぎな割に気が小さそうなぽっちゃり女子を、同じ場所に隠れていたスリムな長身美少女がなだめている。

 元々は比戸曳のバイクから逃れるために高所や障害物の陰に隠れた訳だから、そう簡単に狙える訳が…と思いきや、


「ぅるぉラァーッ!!」


 穂波が陣取る塀めがけてウイリー走行で突進した比戸曳は、校庭のわずかな段差を利用して大ジャーンプッ!


『えぇえぇえッ!?』


 予想外の挙動に仰天する女子二人の頭上を軽々飛び越えて、呆然とする穂波にバイクごと体当たりを敢行!


「穂波ィーッ!?」


 思わず叫んでしまったせいで、アケビの口から離れた永眠の刀が自由を取り戻す。


「クッ、我が愛刀に歯形が…おのれぇ畜生ッ!」


 激昂した永眠が再びアケビに刀を振りかざす。

 しかし、その一瞬の油断が命取りだった。


「よっとっス!」


 すぐに気を取り直した穂波は、跳んできたバイクをあっさり塀から飛び降りてかわす。


「チィッ、外したか!?」


 大型バイクゆえオフロードバイクのように自由には操れなかった比戸曳は、舌打ちしながら塀を飛び越え校外へと消えていった。

 そして穂波が飛び降りた先には、執拗にアケビを付け狙うあまり注意が疎かになった永眠が…!


(買っといて良かったっス!)


 ニヤリとほくそ笑んだ穂波は、手にした何かを口元へと運ぶ。

 それは前回、登校中に立ち寄ったコンビニで、憧れの『買い食い』で入手した紙パックジュースだった。

 作者もすっかり存在を忘れていたソレとセットになっていたストローをベリッと剥がして口に咥えた穂波は、その先端をパックに突き刺して中身をじゅるるっ!と一気に吸い込み…


(背中がガラ空きっスよセンセ♩)


 空になった紙パックを永眠に叩きつけた!


「ぬうっ!?」


 驚いて振り返った永眠の横顔が、穂波の真正面を向いたところで…

 そこに飛びついた穂波は、咥えたストローの先端を永眠の耳の穴にズブリッと突き刺し…!

 ブシャアーーーーッ!!

 口いっぱいに頬張ったジュースを、ひと思いに大噴射! 当然だけど真似しちゃダメ絶対!


「をごっ…あぱぁッ!?」


 白目を剥いた永眠のもう一方の耳の穴から、脳漿と血飛沫が渾然一体となった脳汁が勢いよく噴き上がった!

 人並外れた穂波の肺活量が、彼の脳髄を一瞬で破壊したのだ!


「嗚呼…美しイ…」


 恍惚の表情を浮かべる永眠の手から、刀がスルリと滑り落ちて大地に突き立つ。


「流れル…ようニ…畳ミかけル…技ノ極致…。

 お…ミご…ト…」


 呂律が回らない口調で賛辞を送った永眠は、グラリとよろけてその場に倒れ伏し…微動だにしなくなった。


「…最期までサムライを貫き通した、立派な散り際だったっスね」


 人としては最低だったが…そんなつかの間の恩師に哀悼の意を贈る穂波を、唖然とした様子で見つめるアケビと二人の女生徒。

 そして、そんな信じ難い光景を遠目に見守る、生き残った生徒達。

 そりゃそうだろ、この場では誰よりもか弱そうな似非えせ幼女が、手がつけられない荒くれ者揃いの『囚人教員』を見事に撃破したのだから。


「…穂波…お前、いったい…?」


 安堵や喜びよりも先に、頭の中が疑問符だらけのアケビが呼びかけようとするが…油断するのはまだ早い。


「…永眠…マジかよ…!?」


 校門の外に飛び出していった比戸曳が、戻ってくるなり愕然と呟く。

 ちょっと目を離した一瞬のうちに、同僚があっけなく殺られてしまったのだから無理もない。

 それもこんな、見たこともないクソチビに。


「…てぇんめぇ…よくも殺ってくれたなァーッ!?」


 暴走狂と惨殺狂…全然違うタイプながらも、比戸曳と永眠は不思議とウマが合った。

 人知も良識も超越した先にある、一線を踏み越えた者しか辿り着けない特異な美の境地を知る者同士、何か解り合えるものがあったのかもしれない。

 解り合えちゃっちゃ〜イケナイんだけどもホントは。

 そんな片割れの仇は…この俺が獲る。

 このクソチビの息の根は…永眠、お前の代わりに、この俺が止めてやる!


「クソッチビめがぁ…必ず死なすッ!!」


 ドッッッギャアーーーーンッ!!

 悲痛にも思えるエンジンの咆哮を上げて、比戸曳は穂波へとマシンごと向き直った。


「チビチビゆーなっス、霧里穂波っス!

 よぉーっく覚えておくっスよ、どーせすぐ死んじゃうけどっ!」


 対する穂波も大憤慨しつつ、あたかも格闘ゲームの忍者キャラのようなファイティングポーズを披露。

 …もうバレバレだろうから、ここいらでハッキリさせておくが…


 霧里穂波は『忍者』である!!





 とはいえ、俗に『忍者』だの『忍び』だのと呼称され、近年では正義の味方や特殊能力者のように扱われる彼女達は、自身をそんなものだとは微塵も認識していない。

 何故なら彼女達の本質はあくまでも『工作員』あるいは『殺し屋』であって、決して表沙汰にはならない裏稼業だからだ。


 そもそも前述のような呼称や活躍ぶりは、比較的最近の小説や漫画等で描かれた創作に過ぎず、実際の彼女達は断じてそんな華々しい存在ではない。

 仕事を依頼する側の時の権力者としても、いざという場面ではそこにいてもらっては困る連中であるため、日頃はいない者として邪険に扱い、また任務達成後は口封じのため速やかに始末するのが常であった。


 故に彼女達もその存在を他者には悟られぬよう細々と技能を伝承し続け、決してその流派を明かしたりはしない。

 ことに、創作物に当然のように出てくる手裏剣や撒きビシ・忍者刀などといった小道具は、『本物』は一切用いず、持ち歩かない。

 そんなモノを万一発見されればたちどころに存在がバレてしまうし、第一そんなモノに頼らねば仕事をこなせないようでは二流、三流もいいところだ。

 なので先程の穂波のように…たとえば何の変哲もない紙パックジュースなど…身の回りにある有り合わせのモノを創意工夫で臨機応変に使いこなし、確実に任務達成できるよう鍛錬を怠らない。

 殊に、アニメやゲームでよくあるような、術名や必殺技名を声高に叫ぶような演出は、自らの手の内をわざわざ敵に明かすような愚行でありもってのほか…


「究極奥義、『影走り』っス!」


 って言ってるそばからッ!?

 しかものっけからイキナリ奥の手出しちゃうのぉ〜っ!?

 比戸曳のバイクに向かって全速力で駆け出した穂波の身体が、不意に何人にも分裂した!


「ぅをををッ!?」


 唐突に見せつけられた幻術に面食らった比戸曳だが、


「っていや、こーゆーの昔の漫画で見たことあるぜ。要は『分身の術』だろ?」


 すぐに気を取り直すと、冷静に分析しだした。さすがは百戦錬磨の『囚人教師』である。

 にしても、彼が言うのはたぶんかなり大昔の作品になる『アレ』だろうが、作者も読んだコトないのに(アニメは再放送で観た)よく知ってたな?

 そしてアレには大昔ならではの『トラップ』があるのだが、よもや鵜呑みにしてたりは…


「たとえ何人にバラけようと、分身には実体が無いから『影』も無い!

 つまり、影がある奴が本物よォッ!!」


 …あっちゃ〜やっぱ盛大に引っかかってたわ。

 大見栄きってアクセルふかしつつ、周囲を取り囲んでグルグル回る穂波ーズを一人一人じっくり品定めする比戸曳センセだったが…


「…なん…だと? どいつもこいつも影がありやがる…いったいどーなってんだァッ!?」


 ホラ言わんこっちゃない。

 実はこの技、幻術なんてファンタジーな代物ではなく、単純に超高速で敵の周囲を走り回って、ストロボ効果で分裂しているように見せかけるだけの超絶技巧アクションに過ぎない。

 発動にMPを必要としないが、スタミナがガンガン減るため長時間は使えない上に攻撃力皆無なオモシロ自爆技のようなものだろうか。

 従って各々にはもちろん実体があり影もある、ただの目眩めくらましだ。

 が、狙いを絞れないだけでも敵の戦意を削ぐには充分だし、この大型バイクのように小回りが利かない相手には特に有効である。

 ただでさえ小柄ですばしっこい穂波が本気で走り回れば、目視で捉えるのは困難だし。


「チィッちょこまかと…そんなら一匹残らす轢き殺しゃあイイだけだろがァッ!」


 早々に分析を諦めた脳筋教師は、バイクを闇雲に走らせて、並み居る穂波の残像を手当たり次第に追いかけ始めた。


「ス、スゲェことはスゲェが…これじゃあ、いずれ捕まるのは時間の問題だな…」


 歯噛みするアケビのそばで、


「…つまり、そろそろボクの出番ってことだね…!」

「あ、あたしもお手伝いします…っ!」


 名乗りをあげたのは、先程まで成す術なく傍観しているだけに見えた二人の女生徒。


「え、お前らもなんか技とか使えんの?」


 と尋ねるワンコをいまだ奇異な目で見つめつつも、ボクっ子キャラだったのが少々意外な長身スレンダー美少女はバツが悪そうに、


「技ってほどのモノじゃないけど、いつまでもあの子にばかり闘わせるのは気が引けるからね」

「あ、あたしのは技っていうより『体質』ですけど、それでお役に立てるなら…」


 おおらか過ぎる体格な割には気が小さそうなぽっちゃり女子も、勇気を振り絞って負けじと手を挙げた。


「聞きしに勝る学校の酷さに、思わず臆してしまったけど…彼女のおかげで目が覚めた」


 どこぞの正義ヒーローのような凛々しい顔を上げて、悪漢バイクと果敢に闘う穂波を見つめるスリム女子。


「ここでは自分自身で立ち上がらないと…

 誰も助けてはくれないんだ!」

「…そうですね!」


 まるで主人公のような決めゼリフを吐くスレンダー女子に見惚れつつ、ぽっちゃり女子も気合いを入れ直す。

 なんか知らんけど、なんか目覚めたっぽいから、なんか大丈夫っぽい。


「…よし、じゃあ任せたぜ。オレは腰が引けてまだ無理だガクブル…」


 そりゃあ今しがたまで永眠とガチで殺り合ってたからな…なアケビの背中を優しく撫でて、


「生きて帰れたら、不思議なキミの身の上話もじっくり聞かせてもらうよ♩」


 そう囁きかけると、スレンダー女子は気を引き締めて死地へと向かった。

 …最後の言葉が若干死亡フラグな気がしなくもないが。


「あ、あたしもワンちゃん大好きですから…後でゆっくりお話ししましょうね」


 続け様に、やはり死亡フラグ的なコメントとともにアケビを撫でたぽっちゃり女子の手つきは、酷く震えてぎこちなかった。


「…本当に大丈夫かよアンタ、無理しないほうがいいぜ?」


 思わず心配するアケビに、ぽっちゃり女子は苦笑して、


「こ、怖いは怖いですけど…あたしはあの程度では死ねませんから。」


 怯え切った態度とは裏腹に確固たる自信で言い切ると…

 ぽっちゃり女子は何を思ったか、いきなりバイクの前に飛び出す!


「おいおい正気かよっ!?」

「何てことをっ!?」

「せっかく敵の注意をこっちに引きつけたのにっス!?」


 アケビ、スレンダー女子、穂波が口々に叫ぶが、時すでに遅し。


「ふえぇっ、脚がもつれて…っ。

 ちょっと頑張りすぎたっスかね…?」


 そして穂波は大技を繰り出したせいで疲労困憊、すぐには救出に向かえない!


「クケケッこいつぁバカでけぇ的じゃねーかよオイ。お望み通りミンチにしてやんよクソ豚ァーッ!!」


 わざわざ目の前に出てきた標的を見逃す手はない。モロモラハラ発言を放った比戸曳は、アクセル全開でぽっちゃり女子へと突進!

 だが、その言葉に顔を真っ赤にした彼女は、


「あたしだって…好きでこんな身体になった訳じゃなぁーーーーいッ!!」


 絶叫とともに手足を大きく広げると、豊満すぎる腹を突き出して立ちはだかった。

 そこに暴走バイクが真正面から激突!


(ああっダメだ…っ!)


 直後に訪れるだろう大惨事から、誰もが目を逸らす。





 …が。


 ギュるんっ♩「…ぉえ!?」


 なんと、バイクが腹の肉に絡め取られて…止まった!?

 あれだけの速度で突っ込んだクソ重たい金属の塊が、いくら重そうでもソレよりは軽いだろう人肉に押し負けるなど、あり得ないはずなのに…?

 しかも、轢かれた女生徒は、


「ぅっうぅっ…ブタって言ったぁ…気にしてるのにぃ〜!」


 体型をバカにされたことにはダメージを受けて泣いてはいるが、さほど痛がる様子もなく…全くの無傷だ!


「んなっおいっ…何なんだよコレぁ〜ッ!?」


 驚愕しつつも慌ててバイクを肉塊から引っこ抜こうとする比戸曳だが、マシンはますますスライムのようにズブズブうずもれる一方で、まったく身動きがとれない!

 暴れる後輪がギュルギュル空回りして、地面に擦り付けられたタイヤから煙と焦げ臭い匂いが立ちのぼる。


「スゴイ…! やったねカワイコちゃん! 後はボクに任せて!」


 そこへ急接近するスレンダー女子が、ぽっちゃり女子を気遣いつつも満遍なく粉を振りかける軟派キャラ的合図とともに懐に手を入れ…ジャラジャラ擦れ合う金属音を立てて、何かを引っ張り出した。

 それは『手錠』。しかも一本だけではなく何本も!


「ハイッ!」


 それらを一斉に輪投げのように比戸曳に投げつけると…ガチャガチャガチコーンッ!

 手錠は一つも狙いを外すことなく、囚人教師の身体とバイクをガッチリと繋ぎ止めた。

 これでマシンを乗り捨てて逃げることも叶わなくなったところに、


「ワンちゃんっ、ソレをこっちへ!」


 スレンダー女子に促されたアケビが辺りを見渡せば…先に絶命して倒れ伏した永眠のそばに、彼の手から離れた日本刀が突き立っていた。


「…なるほど、そういうことか!」


 すぐに状況を理解したアケビはその刀に飛びつき、柄の部分を咥えて引っこ抜こうとするが…


(ぬぉっ、重ッ!?)


 鋼の塊である日本刀は一振り一キロ以上はあるため、人間より身体サイズが小さい犬にとってはかなり扱い辛い。

 難儀しているアケビを見かねたスリム女子が駆け寄ろうとするが、それよりも早く、


「こっちっスよアケビちゃん!」


 『影走り』の疲労から回復した穂波も駆け寄ってきた。位置的にはそっちの方が近い。


(…よしっ、頼んだぜ穂波!)


 アケビは渾身の力を込めて刀を引っこ抜くや、その反動を活かして穂波へと放った!

 穂波はスライディングしながらその刀をしっかりキャッチし、


「任されたっスよ!…っととぉ!?」


 しかし小柄な彼女にもやはり扱いづらいようで、刀身の重さに身体を持っていかれる。

 やはり長身美少女のほうに任せるべきだったか…とアケビは軽く後悔したが、


「…なんのぉこれしきっスッ!」


 穂波は刀の柄を両手で逆手に握ると、切先を地面に斬りつけながらバイクめがけて全力疾走!

 校庭の小石を巻き上げ、火花を散らして敵に迫る様は、あたかもネズミ花火の如し!


「くっそぉ…っ!?」


 対する比戸曳は、二百キロ以上もあるクソ重たい愛車と何本もの手錠でガッチリ繋ぎ止められているせいで逃げようがない。


「ナメんなよ…ガキんちょごときにっ…殺られてたまっかよォーッ!!」


 なんとっ!? 火事場の馬鹿力を発揮した比戸曳は、大型バイクを頭上高々と担ぎ上げた!

 そしてハンドルに繋がれた右手を捻り、アクセル全開で後輪を回転ノコギリのようにギュラギュラ唸らせた!


「死ィねェやぁァーックソガキャアァーーーーッ!!」


 重量二百キロ超の鉄の塊を、駆け寄る穂波めがけて一気に叩きつけるッ!


「きたきたキタァーッ! ソレを待ってたんスよぉーッ!!」


 穂波の眼がギラリと邪悪な光を放つ。

 蝶や木の葉のようにヒラリとバイクをかわしつつ、


「即席創作奥義…『八つ裂き大車輪』ッス!!」


 即席なのに奥義? 若干疑問に感じなくもないが、穂波は手にした日本刀をバイクの後輪に深々と突き立てた!

 ジャララララッ…高速回転するやいばが、比戸曳とバイクを繋ぐ手錠の鎖を巻き込んで…!


「ひぃッ!?…ぎゃあァア〜〜〜〜ッ!?」


 これぞまさしく人間ミキサーかシュレッダーか。

 断末魔の悲鳴を上げつつ、切り刻まれた比戸曳は大量の細切れ肉と化した。


「う〜わグロッ…!?」


 青ざめるアケビや女生徒達の視線の先で、


「ふぅ…やっと片付いたっス…」


 日頃から地元で仕留めた野生動物の解体作業に慣れていた穂波は、安堵しつつ血溜まりの中に倒れ込んだ。

 その様子を遠目に眺めていた他の生徒達は…


「…やった…のか?」「…ああ、やったんだ…!」「勝った…私達、勝ったのね!?」「間違いない…俺達は勝ったぞぉーっ!」


 ゥオオオオオオーーーーッ!!

 地鳴りのような大歓声が巻き起こる中、ある者は仲間達と抱き合って互いの健闘を讃え合い、またある者は今朝も生き残れた感謝を神に捧げ、はたまたある者は地べたに転がる囚人教師たちの死体を腹立たしげに足蹴にしている。

 気持ちは解る、解りすぎるほどに。

 だが、懸命な読者諸氏はお気づきだろうが…彼らは誰一人として勝利に貢献していない☆





「ケッ、いい気なもんだせ…」

「まあまあ、みんなの気持ちは解りますし…」


 舌打ちするアケビをぽっちゃり女子がなだめる向こうで、


「お疲れ様。スゴイねキミ?」

「…どーいたしましてっス♩」


 スレンダー女子が差し伸べた右手に掴まり、起き上がった穂波はやっとニッコリ微笑んだ。

 かと思いきや、返り血を浴びて真っ赤に染まった自身の姿を改めて確認すると、


「ううっ、せっかくのおニューの一張羅がぁ…っス」

「大丈夫、万一に備えて全生徒分の着替えが用意されてるはずだよ。後で事務局に受け取りに行こう?」


 涙をちょちょ切らせた穂波を慰める、心優しきスレンダー女子。

 同じ新入生らしいのに、やけに学校に詳しい気がしなくもないが…。


「ついでに自己紹介させてもらうよ。入学式の後でまた詳しくやるだろうから、名前だけね。

 …ボクは武蔵野むさしの。武蔵野…タケ子。この姿の時はネ♩」


 パチっと可愛くウインクをキメてくれたは良いものの…『タケ子』!?

 なんか、なんか…可憐で凛々しいそのお姿からすれば、あまりにもあんまり過ぎない?

 しかも妙に持って回った言い方だし…。


「ご丁寧にどうもっス。穂波は霧里穂波っス。今後ともヨロシクっス♩」


 しかし、今まで他人と触れ合う機会自体に恵まれなかった穂波にとって、タケ子の名前はさほど違和感が無かった。


「あ、あのっ…天羽聖良あもうせいらですっ、よろしくお願いしますっ!」


 穂波たちのやり取りを見ていたぽっちゃり女子が慌てて自己紹介したが…ご多分に漏れずコイツの名前も大概だなオイ。

 モラハラ覚悟で指摘すれば、そのルックスからは完全に名前負けじゃねーか!?

 …だが確かに、よくよく見ればかなーりカワイイ顔立ちではある。体型に合わせてかなーり引き伸ばされがちなのが残念無念だが。


「…アケビだ。よろしく。」


 そして最後に犬畜生がそっけなく挨拶。

 にもかかわらず、タケ子と聖良は興味津々に目を輝かす。


「いや〜まさか、ワンちゃん自身に自己紹介してもらえる日が来るなんて夢にも思わなかったよ♩」

「あのあのっ、もっとお話ししていいですかっ?」


 だが、そうするだけの余裕は無いようだった。

 お馴染みのキーンコーンカーンコーン♩という予鈴とともに、正面玄関からいかにも体育会系の筋骨隆々な教師がノッシノッシとのし歩いて来たのだ。

 ザワワッ!?…また新手の囚人教師かと身構える生徒達に、


「…安心しろ、俺は『一般教員』でただの門番だ。攻撃の意思はない」


 という割には地鳴りのように低いバリトンボイスで筋肉ダルマは警告する。


「もうすぐ本鈴だ。速やかに校舎に入れ。

 …遅刻者は厳罰に処す。」


 有無を言わさぬその迫力に、


「…お名残惜しいっスけど、あとは中で!」


 と目配せし合う穂波たちを含め、生徒達は大慌てで校内へと駆け込んでいく。

 それらと入れ替わりにノッシノッシと校門に近づいた教師は、重厚な金属製ゲートに手を掛けた。

 開校後まだそれほど経っていない割には錆だらけな赤茶けたゲートが、ガラゴロと重量級な軋音あつおんを立ててゆっくり閉じ始める。


「待って待って! まだ閉めないでぇーッ!」


 そこへ駆け込んでくる数名の生徒。ギリギリ遅刻ではない…にもかかわらず、ドガッシャアーンッ!!


『げハァギャアーッ!?』


 一人では開閉困難な錆びついたゲートが無情にも一気に叩き閉じられ、生徒達は断末魔の悲鳴を上げて轢き潰された。


「ぅあぁ…なんで…?」


 唯一、頭が門柱とゲートの頭に挟まれてかろうじて生き残ったものの、身体の大半を潰されて虫の息な生徒のそばにしゃがみ込んだ筋肉ダルマは、


「…今まで何処にいた?」


 生徒の容態を気にかけることもなく、顔色一つ変えず冷酷に問うた。


「この時間帯まで校外に居れば、副会長に射殺されて当然…。

 にもかかわらず、お前は何故まだここにいる?」

「ぅぅっ…そ、それは…っ」

「…隠れていたな?」


 ダルマの目つきが険しくなる。


「他の生徒が必死に闘っている間、お前は狙撃の死角に隠れて、コソコソ様子を窺っていたのだろう?…腰抜けめ。」

「だ、だって、あんなの無理ゲーに決まって…!?」


 ののしられた生徒はこんな状況下でも果敢に言い返すが、


「これはゲームではなく、現実の死闘だ。

 全員参加が条件であり、不参加は認めん。

 にもかかわらずそんな口がきけるのであれば…いつもこんな事を繰り返していたのだろう?」


 図星を指されてたじろぐ生徒に、ダルマはなおも、


「闘う前から諦めたお前の命運は、そこで尽きていた。

 言い返せるだけの余力があるなら、最初から全力を出せ」


 もはや反抗するだけの気力も失せ、絶望的な顔色を浮かべた生徒をめ付けながら、筋肉教師は静かに立ち上がる。

 そして再びゲートに手を掛けると、


「よく反省しろ。…あの世でな。」


 ガゴォンッ!! くちゃっ。

 最期は悲鳴さえ許されず、生徒は新たな鉄錆と化した。


《今朝の見逃しは三名ですか…。まだまだ精進が足りないようです》


 屋上にいる副会長から申し訳なさげな通信が届く。


「小利口な連中が増えただけだ。お前の責任じゃない」


 筋肉ダルマは教師らしくねぎらう一方で、最後に圧死した生徒を足で蹴り捌き、


「首謀者は二年の小津だ。同様な遅刻の常習犯だな。

 他の教師には見逃されてきたようだが、俺に小細工は通じん。」


 危機が我が身に振りかからぬよう回避するのも、確かに立派な危機管理ではある。

 だが、命懸けで闘っている他の者に対処を丸投げしてばかりでは何の成長も見られず、いずれはこうした宿命さだめが待っている。

 たしかにこの学校は理不尽の塊だろう。だからといって逃げ続けても、何の解決にもならないのだ。


「…もうすぐ本鈴だ。脱落者の確認はこちらで済ませておこう。お前も遅れないようにな」

《…恐縮です》


 通信機越しに頭を下げる空気が伝わり、副会長からの通信は途切れた。

 狙撃手は総じて同じだろうが、ずいぶん生真面目な性格らしい。


 キーンコーンカーンコーン♩


 高らかに鳴り響く本鈴とともに、筋肉ダルマは静かに校舎内へと消えていく。

 背後に転がる虫ケラの死骸には目もくれず。

 『一般教師』だからとて油断は禁物…それがこの学校のルールだ。





 場面は変わって、こちらは職員室。

 普通の学校なら入学式の準備で大わらわなところだろうが…

 この学校の教師陣は、朝っぱらだというにカーテンを締め切った薄暗い室内にて、壁際に設置された巨大モニターにガン首揃えて見入っていた。

 画面に大映しになっているのは、今しがた『囚人教員』二人を見事に屠った穂波たちの姿。


「…ほう、永眠先生と比戸曳先生が殺られたか…」


 誰かが冷淡に呟く。

 が、目の前に光源であるモニターがあるにもかかわらず、揃いも揃って真っ黒に塗りつぶされた『名探偵コ◯ン』の真犯人のようなシルエット仕様となっているため、発言者は判然としない。


「新入生が初日から、それも複数同時撃破とは…我が校始まって以来の快挙ですかな?」

「少しは見どころのある子が入ってきたようね…お姉さん嬉しいわ♩」

「だが、所詮あの二人は我ら教員中では最弱…」

「新入生ばかりと舐めてかかるからだよ…クッククッ」


 ずいぶん個性的なテンプレゼリフのオンパレードではあるが…

 前述の通り、ここの教師や生徒は入れ替わりが激しいため、この場の発言者が後々まで生き延びているかどうかは不明なので悪しからず。


「だが、それ以外の生徒は実に嘆かわしいな」

「左様。あのザマでは一クラス分も生き残っているかどうか…」

「あの小柄な女生徒の周辺以外は、ほとんど防戦一辺倒でしたからなぁ」


 場内の方々から落胆の声が漏れる。

 通常、入学式までには決定しているはずの新入生のクラス分けが、当日になっても未定だったことには、こうしたこの学校特有の不確定要素の影響が大きい。


「…して、今回の新入生クラスは誰が受け持ちますかな?」

『…………』


 あれだけ威勢の良い発言を繰り広げておきながら、いざとなれば誰一人として挙手しない。

 だってあんなにTUEE〜新入生がいるんだモン、命がいくつあっても足りないじゃん!


「…では、この場はワシが任命させて頂こう」


 シルエット中でも一際デカい、格闘漫画に一人は出てくる遠近感狂いがちな巨漢がのっそり立ち上がる。

 顔が判らなくとも威圧感ハンパねーこのお方こそ、この学校の校長センセである。

 故に当然のごとく誰からも異論が出ないことをみて、巨漢は居並ぶ教師陣をグルリと見渡し…


「…贄野羊子にえのようこ先生、お願いできますかな?」

「ヒェイッ!? あ、あああたしですかぁ!?」


 校長とは真逆にシルエット中でも一際小柄な、眼鏡に三つ編みの女性教師があからさまに飛び跳ねる。

 いかにもヤバさげな『囚人教員』の群れから離れて、独り遠巻きにモニターを眺めていたことからもお解りのように、彼女は理由わけあってこの学校に嫌々放り込まれた、極々フツーの『一般教諭』である。

 そして、名指しされた教師は途端にシルエットが晴れて素顔が露わになる謎演出。

 見ようによっては本校の生徒と大差ないほどあどけない、いっそ可愛くて純朴で、どー考えても『未経験』と思しき…

 しかしよくよく見ればボンッキュッボンッでスタイル抜群な、立派に成人女性な彼女が、何故にこげな鬼畜の巣窟に?


「むむむ無理ですっ、あたしみたいな若輩者にこんな子達の担任なんて…っ」

「フフフ、そうご謙遜なさらず…。

 たしか貴女はいまだ担任経験が無いのでしたな。ここらでそろそろ…」

「ややや、だからって何もこのタイミングで…っ!?」

「教え子を導くことこそ教師の本分。早いも遅いもありますまい」


 穏やかな口調ながらも有無をいわさぬ強要に、


「…わかり…ました。」


 羊子は泣き崩れるように頷かざるを得なかった。


「…大丈夫。俺も協力する」

鎧塚よろいづか先生…!」


 校門から職員室に戻ってきた、先程の筋肉ダルマの頼もしい言葉を得て、羊子はようやく安堵の表情を浮かべる。


「…よろしい。それでは鎧塚先生には学年主任をお願いしましょう」

「承知しました。」


 羊子のときのような依頼ではなく、半ば一方的な決定にもかかわらず、鎧塚は快諾した。

 このことからも彼が『一般教員』の身ながら、『囚人教員』側からも一定の信頼を得ている内部事情が窺える。


「…では、そろそろ式に臨むとしよう」


 校長の号令一下、すべての教員が一挙手一投足乱さず一斉に席を立つ。

 そして、極々フツーの引き戸にもかかわらず、ゴウンゴウン…と重苦しく開け放たれた出入口から、ゾロゾロと職員室を出て行く。

 最後に取り残された羊子だけが独りモニターを振り返り、いまだドアップになった穂波の笑顔をしばし見つめて、


「…こうして見てると、とってもカワイイんだけどなー♩」


 だが相手は本校初の『囚人教員』同時連破を成し遂げた未曾有の猛者、一縷の油断も許されない。

 露骨に不安気な顔色のまま、羊子は丁寧に引き戸を閉じて職員室を後にするのだった。





 入学式が始まるまでのわずかな間に事務局で代えの制服を受け取った穂波と聖良(バイクに思くそ轢かれてたからね。無傷だったけど)は急いで着替えを済ませ、式場である体育館・兼・講堂へと…


「…なんか…ジロジロ見られてんスけど?」

「主にキミがね」


 道すがら出会う生徒達が驚嘆の…あるいは羨望の眼差しで穂波を凝視してくる。

 職員室では最弱呼ばわりされていた比戸曳と永眠だが、それ故に全教諭中もっとも荒々しいことで生徒達に恐れられていた。

 その二人をたった一人で倒したことは既に全校中の話題となっているのだから無理もない。

 また、一緒にいるタケ子・聖良・アケビらの並外れた戦闘能力にも注目が集まっており、初日にして既に期待の超新星と目されていた。


「ぅぅっ…今まで注目されたことなんて一度も無かったのに…」


 居心地悪そうな聖良の後ろでアケビも、


「オレも街中で注目されるときは、決まって誰かに捕まえられそうなときだったからな…」


 と小声でこぼしつつ青ざめている。


「それもあと少しの辛抱だよ。

 …ホラ、もう式場だから!」


 タケ子に勇気づけられて式場へと到着した一行は、用意されていた新入生用のパイプ椅子に並んで着席した。

 …どうやら彼女達で全員揃ったようだが、ずいぶん空席が目立つ。ということは、それだけ盛大に殺られたということか…。


「おい…」「アレがそうか?」「予想してたより小さいな…」


 先に入室していた在校生が、やはり穂波にチラチラ視線を向けてくる。

 他の学校の入学式とは違い、拍手での出迎えも花輪や紅白幕もなく、新入生を歓迎するムードは微塵も感じられないのが独特だ。

 それよりは何というか…新入りの囚人を迎える刑務所に近い。あまり来てもらっても困るっちう…。


 ザワッ…ドヨドヨ!?


 そこでにわかに場内の空気が変わり、背後の出入口から教師達のご登場だ。

 なんなら新入生よりも目立ちまくって、さながら悪役レスラーの入場シーンである。

 どよめく生徒達をものともせずに壁際の職員席に続々着席したのを待って、一際デカい教諭が我が物顔でステージ上に登壇する。

 紋付袴もんつきはかまに杖を突いた、いかにもその筋のヒトらしき初老の厳つい紳士だ。

 同時に国歌『君が代』が場内に流れるが、ほとんどこの男の入場テーマと化していて、有識者から怒られそうな演出ですらある。

 …そして開口一番。


「ワシが『危管校』校長・毒島権蔵ぶすじまごんぞうであーるッ!!」


 はいキタコレ! ある意味では予想通りの丸パク…見た目からオマージュし倒しな第一声。

 御入学おめでたう、などという定番の挨拶をガン無視し、イキナリ自己紹介ときたもんだ。

 マイクも使わないのに怒鳴り声が式場全体に凛と轟き、建物はいうに及ばす、その場に集う人々をビリビリ震わせる。


「今日は晴れの入学式!…だというに、なんたる体たらく!

 初日に生き残った新入生がたった一クラスとは…気合いが足りんッ!!」


 殺人犯相手に気合いで何とかできれば誰も苦労はしないが。


「後ほどすぐに追加募集をかけるが、それまでこれ以上死ぬことは許さんッ! 死んだ奴はワシが叩っ殺ォースッッ!!…以上であるッ!」


 無茶苦茶な理屈の挨拶が終わるや、校長は速やかにステージを降りた。

 理不尽の極みな熱弁にいまだ全員が怯える中…代わって登壇したのは対照的に、ずいぶんスマートな優男。


「新入生の皆さん、御入学おめでとう☆」


 やっとマトモな挨拶が聞かれたことに安堵する新入生ににこやかに笑いかけ、優男は自己紹介に移る。


「僕は生徒会長をやらせてもらってる、三年の東道明生とうどうあきお。後ろにいるのは副会長の狩納かのうマチルダくん、二年生ね♩」


 ザワッ!?…いつの間にか会長の背後に控えていた金髪美少女に誰もが驚く。

 紹介されても何も喋らず微動だにしないから、あたかもビスクドールを見ているように現実味がない。

 名前からしてハーフらしいが、これだけ目を惹く存在だというのに、たった今まで全く気配を感じなかった…。

 そして新入生は知る由もなかろうが、先程まで屋上にいた狙撃手は紛れもなく彼女である。

 もっとも、あの時は全身をスナイパーマントでスッポリ覆い隠していたので判別のしようもないが。

 そして、それよりも会場をざわつかせたのは…


「東道って言ったら…」「まさか!?」「いや、確かに息子がここに通ってるって聞いたことあるぞ」「だから誰なんだよ東道て?」「バカお前、日本の首相くらい覚えとけよ!」


 てな次第で、会長・東道明生もまた紛れもなく現首相閣下の御子息である。

 なんでまたそげなやんごとなき方がこんなトンデモネーとこにあーた!?


「皆さんは既に充分堪能できたことだろうけど、この学校は他では絶対味わえない最先端の教育が受けられる桃源郷だよ♩」


 あ、そゆことね。モノは言い様っちうか…

 …ダメだコイツ、完璧にオツム沸いとるわ。

 最先端ちうかチックチクにとんがりまくりで誰もよじ登れない前人未到の剱岳ぢゃんココ!


「でもココの先生方は教育熱心なあまり、生徒の福利厚生には無関心な人ばかりでね。

 だから代わって僕らが皆さんのお世話をしよっかなーってワケ♩」


 いや学校としてその状況はどーなんだ?

 そして会長とはいえ一生徒に過ぎない身分で、そんなにヅケヅケ言っちゃって大丈夫?


「とはいえ、現状の生徒会には僕たち二人しかいなくてね…。

 他にも何人かいたけど、油断してたら殺られちゃったテヘッ♩」


 そんな大それたコトをそんなに軽い口調でこともなげに…。

 こんな地獄にも等しい場所で三年も過ごせば、誰でもこうなってしまうのだろうか?


「そんな訳だから、余裕がなくてなかなか手が回らない部分も多いけど…なるだけ皆さんの要望に添えるよう精鋭努力してるから、気になることがあったら何でも相談してみて。

 メンバーも常時募集中だから、我こそはって人は是非♩」


 是非♩って言われましても…。

 おそらく全校中でも屈指の猛者が集うにもかかわらず、二人しか生き残ってないってことは…集中的に狙われてることが明白なのに、一体誰が死に急ぐというのか?


「あと…コレは!?ってめぼしい人がいたら、こっちからスカウトしに行くから、そん時はヨロシク☆」


 終始ライト感覚な弁舌に徹しつつも、最後のあたりは確実に穂波たちに目を向けていたような気がした。

 そんな、校長の御言葉よりも生徒会のデモンストレーションの方が長いという全国的にはあり得ない壇上の挨拶が終了すると…

 続いて通常は新入生代表の挨拶とかありそうなものだが、本校の場所それはナシ。だって代表者が式まで生き残ってる保証がないモン♩

 引き続き、御来賓…は一人も来ていないため、その祝辞が電報で届いたものが粛々と読み上げられた。鳴物入りで設立された『国立』の学び舎だというのに…。

 そして最後に校歌斉唱。


 ♩愛せよ祖国 愛せよ母校

  我が身を盾に 貫け正義♩


 たったこれだけ。国歌以上の短さなので、初めて歌詞を知った新入生でも否応なしに唄える。

 要約すれば「お国とこの学校のために死んでこい♩」といったところか。

 …こうして何から何まで異様にして異例尽くしな入学式は、トータルわずか二、三十分であっという間に終了した。





 入学式の後は速やかに教室棟に戻り、一階の現状たった一クラスのみの新入生教室へ。


「え、えとえとっ…担任の贄野ですっ、これからよろしくお願いしまっす!」


 新入生以上に初々しいにわか担任の挨拶に、やっと緊張の糸が解けた生徒達は途端に和やかムードに。

 穂波たち同様、朝イチの死闘を通じて知り合った彼らの結束は他の学校以上で、ここだけは評価に値するだろうか。


「じゃあえっと、とりあえず自己紹介とゆーコトで…出席簿順にお願いしまっす」


 出席簿上の生徒名はシンプルにあいうえお順に並んでいる。

 とゆー訳でイキナリ【あ】天羽聖良の順番が回ってきた。


「あの…天羽聖良で…。よ、よろしくお願いしま…」


 自席で控えめに起立した彼女は、どうやら人前に立つのが苦手な様子で、消え入りそうなか細い声で…というより実際語尾がかすれてよく聞き取れない。

 それはまだいいが、問題は…


「え…誰っスかアンタ!?」


 穂波が仰天するのは無理もない。

 あれだけボリューミーだった彼女の体型までもが、この短時間でやたらめったら控えめに豹変していたのだから!


「あ、あの、あたしは特異体質で…お腹が空くとこうなっちゃうんです…スミマセン」


 申し訳なさげに泣きべそを掻く彼女の可憐さは、思わず守ってあげたくなるほど繊細で…。

 元々かなりの可愛さだった面影が、劇的にスリム化されたことでより強調され…

 さらには名前からして文句無しな美少女ぶりに、教室のあちこちから野郎どもの溜息が漏れる。

 でも…え? まだまだ朝方なのに、もうお腹すいたって…燃費スゲくね?


 …その後に何人かが同様に挨拶を終えると、いよいよ我らが【き】霧里穂波の出番☆


「霧里穂波っス! みんな仲良くしてほしいっス!」


 しぃーーーーーーん…。


「あっるぅえ〜〜〜〜っス!?」


 だってアータ、そりゃ現状トップランキング独走状態じゃねぇ…そうおいそれとお友達に立候補できないっしょ?


「しくしくぅ…あ、こっちは相棒のアケビちゃんっス」

「ワフンッ」


 涙汲む穂波に紹介されて、アケビも務めて犬らしくペコリとお辞儀。これだけでも生徒間からは、


「をを〜?」「なんてお利口さん♩」「ただでさえ最強なのに、生物兵器まで使うとは…」


 などと感嘆が漏れるので、迂闊に喋ってしまった日にはどうなることやら…。

 先にも触れたが、この学校がペットの持ち込みOKなのは、馬や牛・犬や猫・蛇に毒虫なども攻撃手段として認められているからだ。

 ただし授業中教室に持ち込めるのは、キチンと躾けられた嵩張らない生物限定だが。


 その後も何人かの自己紹介が進み、三人組中では最後のスレンダー美女・【む】武蔵野タケ子の番が巡ってきた。


武蔵野武尊むさしのたけるです。よろしくお願いします♩」


 アレッ名前が違う…?

 振り向いた穂波たちの視線の先には…しかし確かにこちらに親しげに手を振るタケ子の姿。

 困惑する級友達を鑑みて、羊子センセがぼそりと捕捉。


「あの…武蔵野"クン"は男子生徒…デス。」


 ◯△⬜︎◎¥$!!??

 当然のごとく全員大パニックに。

 多様性が叫ばれる時代、こうした事態も決して珍しいことではないが…

 だがしかし、下手すりゃそこいらの女子よりも完璧メイクをキメた『彼』の存在は驚愕して然るべきだった。


「…ステキ…♩」


 故に、教室の片隅でポツリと呟いた聖良の声は、他の誰にも届かなかった。


 幾らかの騒動はあったものの、全員の自己紹介が滞りなく終了すると、お次は恒例のクラス委員の選出。

 しかしこれは事前に話し合いが済んでいたようで、現時点での成績順に男女二名が担任から指名されただけ。

 委員長は男子で、いかにも全てにおいて万能な出木杉くんタイプの鳥間秀雄とりまひでお

 とくれば副委員長は女子で、当然のようにしずかちゃんタイプの小座奈理央おざなりお

 本家『ド◯えもん』では出木杉くん側はともかく、そんな彼にまるっきし脈が無さげなしずかちゃんだが…

 こちらの理央タンは秀雄を見る目があきらかにハート型で、秀雄もまんざらでもないご様子。ハイハイ勝手にやっておくんなまし。

 特に異論も出なかったため、そのまま決定となった。

 というか一部で実力トップの穂波を推す声も上がったが、小中学校に通った経験がない彼女には過去の成績を裏付ける資料が皆無なため、やむなく却下された。


 担任に代わってさっそく登壇した委員長と副委員長からパンフが配られ、今後のカリキュラムや学校行事など雑多な説明がなされた。

 本校では一般的な授業は普通の学校同様に行われるが、問題の『囚人教員』が担当する各科目は選択式となっており、期間内に一定の単位を獲得すれば進級できる仕組みである。

 その内容については事前にきちんと説明がなされ、登下校時のように唐突に襲われる危険性は少ないのだとか。


 本日の予定はこれですべて終わり。

 明日からは再び地獄の日々が訪れるが…


「あの…とっても大変な学校に来ちゃったなって、このあたしもいまだに思ってます…。

 でもでも、努力次第で天国にも地獄にもなるのは、何処でも同じだと思うから…。

 みんな、頑張ってネ…☆」


 地獄に仏…にもならないかもしれないが、少なくとも生徒と同じ目線に立ってくれる良き理解者がそばにいるのは、とてもありがたい。

 しかもよく見りゃスタイル抜群。コレ重要!

 本校では希少な癒し系教師である羊子先生は、この瞬間に新入生たちのアイドルとなった。





 早めの下校時間となり、新入生たちが教室からゾロゾロ出てきたところで、


「…みんな、ちょっといいかな?」


 思いついたように後を追って廊下に出た委員長の鳥間が皆を呼び止めた。その後ろから、いまだお目々がハートマークなままの副委員長もヒョコヒョコついてくる。

 なんだなんだと皆が戻ってきたところで、鳥間は言う。


「今のうちに、明日からのことについて話し合っておいたほうが良いと思うんだ」


 なるほど、言いたいことはよく解る。

 このまま明日になれば、また朝っぱらから脱落者が続出するだけだろう…と。

 確かに一見正論っぽい。

 だがそれは、明日待ち構えているだろう『囚人教師』の動向が判った上でやるべきことだ。

 何の情報もなしに仲間内でただくっちゃべってばかりでは、闇雲に時間を浪費するだけだろう。

 「会議室で生まれるアイデア:0%」なんて古いCMがあったけど、まさにソレだ。

 それも新顔ばかりで馴染みがないこの時点で、いったい何をどう話し合うというのか?


 実社会においても、たいしたネタも無いのに、ただ定期的に無意味な会議を開催し、回覧すれば良いだけの資料をわざわざ人数分コピーしてバラ撒き、部下の失態を上司がひたすら非難しまくる…

 なんていうコスト削減とは真逆なコンプラガン無視の愚行を、いまだに日本人はそれが仕事だと思い込んで一所懸命やっているのだ。

 しかも、本日一番の功労者である穂波を差し置いて、当時どこで何をしていたのかも不明な優男が…。

 誰もが「お前が言うな!」と言いたげな微妙な顔色を浮かべていることに、鳥間は気づいているだろうか?


 要は、彼はクラスの代表らしく、自分がイニシアティブを取って、皆に自身の存在感を知らしめたいだけなのだ。

 実社会においても、しょっちゅう会議だの飲み会だのと周りに人をはべらせて自己顕示欲を満たしたがる古狸どものなんと多いことか。

 それで断ると、やれ最近の若者は自分勝手すぎる、やれもっと社会交流を…などと年配者ぶったお門違いな批判ばかり。

 違うよ、やっとみんな素直になれて、お前らの不必要性に気づいただけなんだよ。

 お前ら不純物のいないところで、ちゃ〜んと交流してるんだよ。酒の力なんぞ借りずにな。

 合理的すぎて寂しい…とか抜かす輩は、そうした無益な愚行を重ねた末に、現在の日本が世界中から置いてきぼりを食らっている現実を直視すべきだ。

 そして張本人の老害どもはいい加減、自分が周り中から煙たがられてることに気づくべきである。

 …などと、ついつい実社会の愚痴が飛び出したところで。


「イイっスね、やるっスやるっス♩」


 よりにもよって頼みの綱の穂波が同意してしまったことで、皆もなし崩し的に参加せざるを得なくなる。

 実力ナンバーワンがそういうなら、きっと何らかのメリットがあるに違いない…と。

 実は穂波は、そうして皆と話し合えれば、もっとお友達が増やせるかもしれない…と切実に目論んでいただけなのだが。


「んで、何かいいアイデアがあるっスか?」

「うぐっ…!?」


 ハイ早速ボロが出ちゃいましたー♩

 自分自身ではな〜んの意見も用意せずに、ただ単に皆を寄せ集めただけだったことがモロバレな無責任委員長に、皆のジト目が集中する。


「…だ、だからソレを今から話し合うんだよ、みんなで!

 三人寄れば文殊もんじゅの知恵ってゆーじゃないか!?」

「文殊…って文殊菩薩っスか? そんな大昔の架空の人物の知恵がいまさら、こんなトコで役立つっスかねぇ?

 しかも三人だけで済むなら、他のみんなは一緒に何してるっスか?」

「た、たた例えだよ例え! 重要なのはソコじゃないっ!」


 空気が読めない穂波のド天然にしてごもっともなご意見に、早くもたじたじの委員長。

 ギャラリーからも思わずププッと失笑が漏れる。

 たいした意見を持たない奴に限ってそうした話し合いの場を盛んに持ちたがり、しかし現場では他人の揚げ足を取ってばかりで一向に話を前進させたがらない。

 いたずらに貴重な時間を浪費してばかりの、まさに愚行以外の何物でもない。

 そうして他人の注目が良かれ悪かれ自分に注がれることで悦に浸り、自分こそが皆の代表者だと勘違いし、ますます増長していく。

 それでもなんとか捻り出された他人のナイスアイデアを、公の場であたかも自分の手柄のように誇示し…

 だが、それでうまくいかなかった場合には、一転して発案者のせいだと非難囂々(ひなんごうごう)。

 誰にもメリットがないばかりか、ますます他人を妨げてばかり…。

 最終的にはイエスマンばかりを残し、完全に周囲が見えなくなった成れの果てが現在の独裁者どもだ。

 そうした愚行でしか自我を保てない糞虫が、世の中にはゴマンと寄生しているから要注意だ。


「鳥間くん…」

「ゔ…だ、だから皆で考えることにこそ意味があるんだっ!

 昨日より今日、今日より明日! そうやって人は進歩していくんだ!」


 副委員長の哀しげな失望の眼差しに突き動かされ、委員長はますます中身のない持論を振りかざす。

 だからどれだけ寄せ集まろうとも、大半の参加者は何も考えないし、だとしても全員もれなく明日はやって来るっちうに。

 他力本願や付和雷同に陥らず、まずは自分自身でアレコレ創意工夫してみてこそが人間の成長に繋がるんじゃあないですかね、鳥間クン?


「明日の自分を生き抜くために!

 さあっみんなで考えようッ!!

 グチャボゴブシュウッ!?」


 …そして鳥間は死んだ。

 死なないように話し合おうなどと抜かした張本人が真っ先に。

 背後から突然滅多打ちにされた頭を、水風船のように辺り一面に飛び散らして。


「ヒッ…ヒィアァーッ!?」


 一瞬で物言わぬ藻屑と化した彼の血飛沫と肉片をモロに引っ被った副委員長が、代わりに断末魔の悲鳴を上げた。

 こんな学校で放課後に不注意にもチンタラ熱弁を振るっていた委員長も悪いが、


「クケキャハハァーッ、一丁上がりィッ!」


 これは明らかに相手が悪すぎた。

 フラフラ揺れる身体で奇声をたなびきつつ、振り抜いた凶器のバールのようなもの…というかバールから滴る鮮血と脳漿とあと何かを舌舐めずりしながら勝ち誇るのは、せむし男のように歪んだ体躯のいかにもジャンキーな小男。


「クケケッ、頭デッカチなガキンチョのドタマも、中身は他とあんま変わんねーなぁ…!」


 かろうじて下顎から下だけが残ったまま、直立不動で立ち尽くす委員長の死体の傷口から手を突っ込み、グッチャグッチャ掻き回す地獄の餓鬼。

 そりゃそうだ。かつて世紀の大天才アインシュタインが死去したときも、それだけ非凡な存在ならさぞかし立派な頭脳をお持ちに違いないと、実際に死体から脳みそを引っ張りだして切り刻んで調べたという。

 だが、これといって特異な点はついに発見できず、不世出の偉人を単に冒涜しただけに終わった。

 金の卵を産むガチョウを捌いても、体内のどこにも黄金など無かったというお伽話のようなオチである。

 つまり、天才は頭脳だけから生じるものではないことが証明された次第だが…

 そんな理論的な検証は、このせむし男には期待するべくもない。

 唖然騒然すぎる現場に誰もが絶句する中、


「あ、あは…アハハハハハハーーーーッ!!」


 阿鼻叫喚の地獄絵図を目の当たりにした副委員長が、ついに正気を失った。

 へたり込んだ廊下に大きな失禁の水溜りを作り、目の焦点が左右バラバラ。誰がどう見てもある意味では御陀仏だ。


「や、薬師やくし先生…!?

 今日は入学式だけの半日終業だから、放課後の襲撃は禁止って通達があったはずです!」


 まだいたの!?と驚きたくなるような担任・羊子も溜まりかねて抗議。

 こんな学校にしばらく居れば、いたいけな仔羊にも母ヤギ程度の度胸と殺戮への耐性はつくようだが、


「るっせぇよこの乳デカ眼鏡ッ!」


 乳デカ眼鏡!?


「知ったことかよンなモンぁよぉッ!!

 ただでさえシャブ切れでイラついてんだ、ウダウダ言うならテメエの乳も破裂さすぞこんボケェアッ!!」


 薬師葛流やくしくずる。本校の『囚人教員』に比較的最近採用された正真正銘のクズであり、自身でバラしたようにもはや矯正の余地ナシな薬漬け野郎だ。

 過去に幾度となく薬物所持で検挙されるも、親がそこそこな有力者だったばかりに巧く逃げ回り、親の金で買い漁ったイケナイおクスリでどんどん脳機能を低下させた挙句、ついに近隣住民連続殺傷という重大犯罪を犯す。

 そこまで来てついに親も愛想を尽かし、犯罪者となった息子を放って海外へ高跳び。

 孤立無援な彼には以前のように優秀な弁護士などつくはずもなく、求刑通りに死刑宣告。


 ところが何の運命の悪戯か、この学校の存在を知った彼奴は「校内に限り薬物使用を許可」という条件の一点だけで教員公募に申請し、いまだ威力を発揮した親の七光だけでまんまと採用を勝ち取ってしまったのだ。

 なので素行の悪さと凶暴性は折り紙付き、今ではあの毒島校長ですらサジを投げた。

 オツムのタガが完全に外れているため攻撃手段に一切躊躇がなく、リミッターも効かず怪力という、まともに戦えばかなりの強敵である。

 なにしろ普通は硬くてなかなか潰せない敵の頭蓋を一撃で粉砕するような奴だ。


 我が国の違法薬物への刑罰は他国に比して異様に軽過ぎることが、こうした怪物を産み落としてしまったと言っても過言ではなかろう。

 なんだかな〜? 暴力追放を謳う一方で、その元締めの団体サンに便宜でも計ってんのかな〜?


「ひぃっ!?」


 我らが担任の羊子センセも薬師のヤバさにたじろぎ、破裂させられては堪らないと両手に収まりきらないオッパイを抱えて後ずさる。


「先生になんてコト言うっスかアータ、それでも先生っスか!?」


 空気を読まない正義漢おにゃのこだけどがすかさず割って入る。


「でもオッパイは正直、穂波も羨ましいからぜさせたいっス!」

「ひぃい〜〜っ!?」


 …なぜに薬師以上に怯えさせるのか?


「ンだぁとぉこのクソチビッ、センセー様の俺に逆らうってェのかぁ!?

 ちょっと勝ったぐらいでイイ気になってんじゃねーぞぉヴォケェ〜ッ!!」


 喧嘩っ早い薬師がさっそくバールを振りかざしたところを、


「ハァっスッ!!」

 ごきゅっ☆

「ギャバッ!?」


 穂波の掌底がその得物に炸裂! 反動で容易たやすく関節が外れた薬師の手首はグリッと逆回転し、持っていたバールが彼の側頭部を直撃した。


「こっ、こぉんガキャア〜ッ!?」


 激しく打ちつけた頭から血をダバドホ滴らせてブチ切れる薬師だが…


「…へぇ、合気道も使うのかい? ますます興味が湧いたな♩」


 この場にそぐわない陽気な声に振り向けば…

 そこにいたのは先程ステージ上で挨拶したばかりの生徒会長・東道明生。

 その後ろから副会長のマチルダもテクテクついてくる。


「…誰っスか?」

「ズルッ。人の顔を覚えるのは苦手かい?

 霧里穂波クン、さっそくキミを我が生徒会にスカウトしに来たんだけど…」


 をを〜っ!?とギャラリーから感嘆が漏れるが、今はそれどころではない。


「薬師先生…これはさすがに見逃せませんよ?」


 ザワッ…。

 優しく微笑んだままの表情とは裏腹な殺気を漲らせて、東道は薬師に立ちはだかった。


「判定…即刻処刑。」


 久々に喋ったマチルダも、太もものホルスターから引き抜いた大型拳銃の銃口を薬師の眉間にピタリと向ける。

 入学早々…どうやらまだ、すんなりとは帰らせてもらえそうにもない。





「クケケッ、揃いも揃っていい度胸してんじゃねーかゴルァ…。

 まずはンな減らず口をききやがったテメーからブッ殺してやんよぉッ!!」


 怒声とともにバールを振り上げた薬師は、手ぶらに見えた東道会長を真っ先に襲撃!

 だが会長は制服のポッケに手を突っ込んだままそれをヒョイっと余裕でかわすと、そのまま踊るようにクルリと身をひるがえす。


「グゲァアーッ!?」


 直後、悲鳴を上げてバールを取り落としたのは、何故だか薬師のほうだった。

 だらりと垂れ下がった腕の先が、あり得ない方向に捻じ曲がって…。

 腕の骨が…折れてる?


「な、なんスか今の!?」

「キミと同じ『合気道』さ♩」

「穂波の知ってるソレと全然違うっスよ!?」

「僕はコレだけ専門でやってるからね」


 合気道とは、すなわち敵が仕掛けた攻撃力を利用して受け流す技。

 それを巧く応用すれば、このように相手の力をそっくりそのまま相手にお返しし、直接触れずとも反撃が可能となるのだ!


「ゲハッ…ゲハハァーッ!!」


 しかし薬師は残った片腕で器用に懐をまさぐり…一本の注射器を取り出すと、そいつを折れた腕に突き刺す!


「ゲハ…クケッケヒャヒャッ、効かねーなぁ〜〜ッ!」


 ラリった笑顔で余裕綽々、即座に復活する薬師。


「覚醒剤をポーション代わりに使う人は初めて見たな…」


 苦笑する会長をギラリと睨んだ薬師は、隙をついて落としたバールを残った腕で拾い上げると、


「今度こそ逝きやがれァーッ!」


 性懲りもなく再び会長に襲いかかる!

 …が。ドゴォッ!!


「アぇぅごガギャアアァアッ!?」


 廊下に轟く銃声とともに、バールを握った薬師の手首がちぎれ飛ぶ。

 言うまでもないだろうが、慎重に狙いを定めていた副委員長の精密射撃がクリーンヒットしたのだ。

 二人揃えば遠近双方にフルレンジ攻撃可能な上に、それぞれが神技級という恐るべきコンビネーションだ。


「ア゛ーッ! オ、オデのウデがァーッ!?」

「次は口でも使いますか? セーンセ♩」

「ざけんなヨ…ッザッケンナぁゴルァーッ!」


 両腕を封じられても、効き目バツグンなおクスリのおかげでまだ歯向かおうとする薬師だったが…


「…騒がしいぞ。何をしている?」


 騒ぎを聞きつけた毒島校長が、往年のVシネマのように教師陣をゾロゾロ引き連れて廊下の向こうから近づいてきた。

 そして、廊下に出来た血溜まりに倒れ伏す委員長の死体と、その傍でケタケタ笑い続ける失禁副委員長、満身創痍の薬師と対峙する会長達に目を留める。


「…これは?」

「ご覧の通りですよ」


 簡潔に説明して身を引く会長達に代わり、怒り心頭な校長がズズイッと薬師の前に進み出る。

 誰がどう見ても堅気カタギの者ではないその迫力に、たった今まで気勢を吐いていた薬師も「ひぃ〜っ!?」と震え上がる。


「…薬師先生。貴方のことは上の方から是非にと頼まれた手前、渋々今日まで大目に見て差し上げましたが…」


 入学式で新入生に「一人も欠けるな」と厳命した直後にこの始末。

 しかも生徒側に落ち度はなく、指示違反の教諭による凶行…。

 校長の面目丸潰れだ。


「い、いやあのコレは…おクスリが…気を抜いてたガキが…!」


 一転して悪戯がバレた子供のようにみっともなく言い訳する薬師だったが、


「問答無用ッ! この痴れ者めがァーッ!!」

「ぎゃぼ」ブシュウーーーーッ!!


 校長の正拳突きをまともに叩き込まれ、断末魔のいとますらなく『北斗の拳』のように木っ端微塵に吹き飛んだ。

 原則として教諭間の暴力行為はもちろん禁止だが、これは校長特権の鉄拳制裁として指導要綱で認められている。

 規範に沿わない囚人教員は、本来の『死刑囚』として『執行人』資格を持つ校長により殺処分されるのだ。


「…もっと早く決断すべきだったな」


 血まみれの拳を振り下ろしてこびりついた肉片をこそぎ落としつつ、新入生たちへと向き直った校長は…


「すべてワシの怠慢が招いた不始末だ。誠に申し訳ない…!」


 素直に頭を下げた。

 見た目こそ厳ついが、それなりに常識をわきまえた人格者ではあるらしい。

 …大筋では非常識極まる犯罪者だが。


「そこの生徒は脱落者ではなく、事故死として丁重に扱おう」


 校長の指示に従い、委員長の死体が速やかに運び出されていく。

 日常的に殺戮が横行する現場で事故死扱いを受けることは非常に稀だ。賠償金の対象になり、遺族にも謝罪がなされる。

 そうした点は割り合いマトモな学校ではある。


「そちらの女生徒は、すぐに病院へ」


 もはや再起不能なほどの精神崩壊に追い込まれた副委員長も、いまだ泣き笑ったまま抱き抱えられるようにして退場。


「…以後はこちらで処理を進めましょう。

 贄野先生、この場はお任せしましたぞ」


 そう言い残して立ち去る校長たちを、羊子センセは丁寧に頭を下げて見送ってから…


「えっと、大変な一日になっちゃいましたけど…明日からはまた、みんなの元気な笑顔を見せてください♩」


 こんな惨たらしい状況の直後にこのお言葉。

 なんたる因果な教育現場だろうか。

 疲れ果てて死んだ魚の眼で帰宅していく級友たちを尻目に…


「…んで、スカウトの件だけど?」


 何事もなかったかのように話を続けるこの生徒会長もつくづく大概ではあるが。


「あーイイっスよぉ〜」


 あたかも打てば応える鐘の音のようにすんなり了承した穂波に、会長達も拍子抜け。


「えっいいの? もう少し焦らされるだろうと覚悟してたんだけど…」

「どーせお友達なんて出来そうにないし、暇っスから。また二人減っちゃったし…しくりら」


 誰もいなくなった教室を眺めてショボくれる穂波に、掛ける言葉も見つからない会長達とアケビ(あ、居たんだ?)だった…。

 そんなやり取りを離れた場所から気の毒そうに見つめていたタケ子と聖良だったが、


「…あ、二人とも、ちょっといい?」


 こちらも羊子センセに呼び止められ、二人揃って小首を傾げるのだった…。





「…な、やっぱトンデモネーとこだったろ?」

「そっスねー…」


 学校からアパートに帰ってくるなり、縁側でくつろぐ一人と一匹。

 昼飯の時間はとっくに過ぎているが、色々ありすぎてもうお腹いっぱいだからそっちのけ。

 特に穂波の黄昏っぷりは重症で、元々小さかった背丈もますます縮んだようで、すっかりお婆ちゃんだ。


「っておいおい、そんな調子で大丈夫かよ?

 学校は明日から毎日あるんだぜ?」

「どーでもいっスよもぉ。友達百人できるかなって歌、アレ大嘘っスね…」

「やっぱソレかよ。嘘に決まってんだろ、たった一日でそんなに出来ゃしねーよSNSじゃあるまいし。

 まだ始まったばっかなんだから、長ぁーい目で見てだなぁ…」

「でもでもみんな、穂波を見る目がすっかりナディアに向けるソレだったっス…」

「だからなんでセラムソ知んねーのにそっちは知ってんだよ、放送時期も早いだろ!?」

「…やけに昔のアニメに詳しいっスね。記憶喪失なんじゃなかったんスか?」


 それは違うぞ穂波よ。

 たとえ記憶喪失であっても言葉は普通に話せるように…

 説明書なんて読まなくたってゲームプレイができるように…

 長期放送が当然だった当時のアニメは単なる消耗品ではなく、日常生活の一部として日本国民のDNAにインプリンティングされてしまっているのだ!

 親は無くとも子は育つが、漫画やアニメなどのサブカル無くして子は育たないっ!!


「…力説中悪いっスけど、論点ズレてるっスよね?」


 んがっぐぐっ。


「ともかく、だーから派手ハデだと目ぇつけられるだけだっつったんだよ。

 ただでさえお前は見た目から目立ちまくりなんだしよぉ…」


 こんなチビっこいのが初日から三人もの囚人教師を相手に大立ち回りを繰り広げりゃあ…ねぇ。


「…じゃあ、ボクがお友達第一号に立候補しよっかな?」

「あ、あたしも…お友達募集中です…」


 いつの間にやらタケ子と聖良がすぐそばに立っていた。


「お二人さんとも…よくココが判ったっスね!?」

「つーか勝手に入ってくんなンガモゴッ」


 憎まれ口をたたくアケビのクチバシをムギュッと掴んで黙らせ、期待に胸を躍らせた穂波は、


「もしかして…そのために追っかけて来てくれたっスか!?」

「あ、それは違うけど。」


 ズコーッ。


「羊子先生から委員長代理を頼まれちゃってね。で、彼女は副委員長代理」


 就任早々に活動不能となった故・鳥間秀雄と小座奈理央に代わり、次点で成績優秀なこの二人が当面担当することになったんだとか。

 そこで委員長特権として穂波の現住所を聞き出し、比較的近所だったから直接出向いてみたと…次の事項を伝えるために。


「あと、今後あんなコトがあった場合の用心棒として…特別顧問にキミが。」

「特別顧問!? をを〜、なんか委員長サンより偉そうっス☆」

「だよねー。ボクも初めて聞いた役職だけど」


 てかフツーの学校ではそんなん必要無ぇし。


「…前任者の発案も決して悪くはなかったと、ボクは思うんだけどね。

 ただ、実力不足だった感は否めないけど…この三人なら、そこそこイイ線イケるんじゃない?」


 いささか楽観的な気もするが、確かに口だけ野郎よりは実力も高いしな。


「で、ついでと言っちゃあアレだけど…

 本気で友達にならない、ボクら?」


 心の中でずっと待ち侘びていた夢のようなお誘いに、瞳をとろ〜んと蕩けさせて早くも夢見心地な穂波は…


「…正気っスか?」


 なんか違くね、その反応?


「ああ、正気も正気だよ。てゆーかボクらも今まで友達なんかとはトコットン縁が無くて…。

 その点キミはとってもカワイイし魅力的で…」

「ぅわーんっアリガトっスぅ〜っ!」


 天性のタラシなタケ子の口説き文句を遮ってその顔に飛びついた穂波は、うるうる涙を流しながら…ブッちゅうぅう〜〜〜〜っ☆


『!!!!????』


 突然の出来事に、アケビも聖良も騒然!


「んなっ、何やってんだテメーらァーッ!?」

「ふふ不潔ですぅ不純ですぅ爛れちゃってますぅっ!

 "あたしの武蔵野クン"から離れてくださぁ〜〜〜〜いっっ!!」


 あ…ついつい忘れがちだけど、タケ子ちゃんは『男の娘』だったネー♩

 こうして若干不安というか不穏な気配は漂えど、穂波はめでたく初友ゲットに成功したのだった。

 




 一方、病院へ直行したはずの前副委員長・小座奈理央は…


「あはっあはっあはははははぁ〜〜っ!」


 なぜだか学校に程近い、街外れの野っ原に放置されていた。

 目の前には一本の線路が延々と横たわり、そこへ誘われるようにフラフラ近づく彼女…。


 ピィーーーーーーッ!


 静寂をつんざく警笛が辺りにこだまし、線路の向こうから貨物列車がガタゴト急接近してきた。

 しかし理央は立ち止まることなく、ひたすら線路上へと。

 列車は何度も警笛を鳴らすが、その甲斐なく、最期まで笑い続けていた彼女は…。


「…………」


 その様子を沿線の丘の上に停車した黒塗りの車の窓から、冷静に見下ろす男の姿。

 校長・毒島権蔵その人である。

 …やがて全てが終わり、真っ赤な染みが線路上に広がるのを確認すると…


「…行ってくれ」


 車窓が音もなく閉じ、車が静かに発進する。

 国立・東京危機管理専門高等学校の闇はまだまだ深く、先が見通せそうにもない…。





「…おいしい…美味しいですぅ〜っ☆」


 ボロアパート内から漂ってきたかぐわしい香りにいざなわれ、夢遊病者のようにフラリと上がり込んだ聖良は…

 台所でコトコト煮込まれていた鍋を発見するや、一転して猟犬のように獲物に飛びつき…

 苦笑しつつ膳を盛ってくれた穂波の前でさっそく頬張るなり、目を見張って大絶賛した。


「美味しいから、許しますっ♩」

「??? どーいたしましてっス♩」


 さっきまではタケ子の唇を強引に奪った穂波にプリプリしていたのに、一瞬にして機嫌も体型も元通りの柔和でふっくらフカフカな彼女に…まさに生命の神秘!


「お腹が空いてたから怒ってたんスね〜♩」

『違うだろ。』


 アケビとともに冷静にツッコンだタケ子は、


「…コレ、キミが作ったの?」

「そっスよ。これくらい朝飯前…じゃなくて昼飯前っス♩」


 その通り、昼食を摂るほどの食欲はなかったものの、夕飯用にと穂波が手早くこしらえた煮物だった。


「本当にスゴイねキミは♩

 …ふむ…」


 ようやく余裕が出たようにアパート内を見回して、


「ココって…今はキミ達しか住んでないの?」

「そっス。管理人はアケビちゃんス」

「へぇ、なるほど…………よしっ決めた!」


 ポンっと手を打ち、タケ子は言う。


「ボクもココに住もっと♩」


 …なんですと?

 せっかく上機嫌で穂波の手料理を頬張っていた聖良の手から、箸と芋がポロリとこぼれ落ちた。

 そ、それって…先ほど目の前で劇的な不純異性交遊をかましたばかりの穂波とタケ子が、もっと、もぉ〜っとスンゴイ不純異"性交"遊を…っ!?

 居ても立っても堪らずスクッと腰を上げた聖良は、声高に叫んだ。


「あ、あああたしもココに住みますっ!

 三人で3Pしますぅーーーーっっ!!」


 …ホォ〜〜〜〜ホケキョ♩

 何処かでウグイスがさえずっている。


「…オレも混ぜたら4Pな♩」


 そーゆー問題じゃないだろエロワン公。




【第二話 END】

 えらいこっちゃな引きで終わった初回よりも、さらに輪をかけてえらいこっちゃな第二話ですが。

 新キャラてんこ盛り、血肉量もてんこ盛り、異常性増し増しでお届けします。

 ちなみに中盤の委員長のアレは、レニー・ハーリン監督のパニックアクション映画『ディープブルー』最大の見せ場、「みんなで考えよう!」からの不意打ちガブリ!なワンシーンへのオマージュです。

 当時テレビCMでも使われてて、めっちゃワロタ(笑)。

 他にも雑多な映画ネタが散りばめられている上に、無意識的にやらかしてるコトも多々ありますが。


 どんなに異常な状況下でもイチャイチャを忘れない洋モノ青春ホラー(ってなんじゃソリャ?)よろしく、能天気ヒロインの預かり知らないところで色んなアレやコレやが生まれとりますが。

 吊り橋効果も手伝って、エロエロ盛り上がっとるご様子ですが。

 でもでも特殊な環境下で生まれ育った穂波はこれぐらい慣れっこで、常に石橋しか渡ってはおらず、本能の赴くままに流されているだけなので、現状まっっったく動じとりまっへん♩


 そして、物語の舞台を空き部屋ばかりのボロアパートにした時点でバレバレでしょうけど…ラストは結局こーゆー流れに。

 尺が長過ぎて今回はそこまでで止めときましたが、次回はご期待通り、アパート内でのキャッキャウフフ☆な諸々が展開する予定です。

 果たして、メインヒロイン穂波を差し置いて作者の愛情たっぷり身体的ボリュームもたっぷりに仕上がった裏ヒロイン聖良の健闘やいかに?(笑)

 ウブなネンネだけど、決して奥手じゃないですよ、この娘…ムフフ♩

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