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回想 俺が死んだ日
雨が、まるで俺を待ってたかのように帰る直前で降り出した。
「もうぬれてもどうでもいいや」
傘も持たずに、俺は人気のない歩道を歩いていた。
誰に怒られたわけでなく何か失敗したわけでなくただ自分に対して落ち込んでいた。
勉強、部活、友人関係なにをしても中途半端。
今日も昼まで寝て遅れ先生に飽きれられ今日もそんな意味のない一日になる。そう思って疑いもしなかった。
ただ、自分が情けなくてかといって変われる気がしなくて
生きてる感じがしなかった。ただ消化試合のよう過ごしていた。
そのときだった。
横断歩道の向こうに、同い年ぐらいの女の子が飛び出していた。
車のライトが、滑るように向かってくる。
「っ!」
体が勝手に動いた。走った。
気づけば、その子を、突き飛ばしていた。
ドン……!!
鈍い音に感じたことない衝撃。
目の前が真っ白になる。
音も、痛みも、もう何もわけわからなかった。
それが俺の「夏樹日向」の最期だった。
不思議なことに悲しいとかはなく自分なんかが人の役に立てたといった充実感が雨粒の波紋のように体に広がっていった。