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仮設風向計/詩集その3

花畑/考え

作者: 浅黄悠

花畑


朝焼けが花に火を付ける

数時間も朱が続く

もしかしたら永遠


ヒナゲシの花畑の中で花弁を描く

花と湿った土の吐息を吸う

小刀を光線に照らして鉛筆を削る


火球の中でチューリップの花弁が千切れ

尾の長い異国の鳥は気紛れで歌を止める

神様がワイングラスを傾けたんだ と呟いた声が聞き取れた幸運


立っていると故郷の町が溶けていくのを見ることができた

目の前の少女のイマジネーションと一体化していくに任せ

花の茎は皆攪拌を呼び掛ける

君が色を動かせば

夢が切れる前に絨毯で渦を巻け

一日はまだ始まったばかり



______

考え


あなたへ

「ごめんなさい」とか素直に言ってみたかったし

「ありがとう」とも言いたかったけれど

いつも恥ずかしくて言えなかった

一体いつから言葉がそのまま口から出てこなくなっちゃったんだろうって

考えても分からないから多分生まれた時からだと思うんだ


他の人へなら

すみません

ありがとうございます

ほら言える

嘘を言ってる訳じゃない

それで丸く収まるのなら

みんなが満足してくれるならいくらでも言えるというだけだと思いたい


このままじゃいけない

どんな関係にも終わりがあるのに

隣にいるからこそあなたの照れた顔が見たいのに

「好きだよ」って言って

わたしを不快に思うような人じゃないはずなのに

悪口めいた冗談やすかした皮肉しか出てこない

結局わたしはあなたを信頼できていないのかな

捨てられても仕方ないって言われるな


どこかの童話にあったように

言いたい言葉をくるんでこねて

パンケーキでも焼けないかな

いやそれじゃ多分あなたには伝わらない


言葉より行動で示せというけれど

言葉はあくまでわたしが満足するためのものかもしれない

でもときどき自分でも何を思っているのかよく分からなくなるから

本当はいい関係でもなんでもないのでは とか脳がほざき始める前に

空気や流れに任せて動く人形じゃないと思い出して

ちゃんとあなたへの思いを言っておきたい


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