蝗害 ラ・ペスタ・アクリジエン(dévorent)
キチキチキチキチキチキチ
キキキ・・チチチ・・
翅を擦り、顎を軋り、
命が命を喰らうのだ。
罪無き民よ。
魂が摩擦する音を聴け。
見ろ!!
土から湧いて出た心臓が、
土から湧いて出た心臓を喰らい、
自己消化出来ずに
腐っていく様を!!
山の様に積み重なって死んだ
直翅目の腐臭が大地を漂い、
その腐肉を再び
灰色のバッタ共が喰らう様を!!
キチキチキチキチキチキチ
キキキ・・チチチ・・
それは悪霊の嗤いなんだ。
血を大地に注ぎ、手と魂を汚し、
それを見ぬふりして左肩越しに捨てた
罪悪感の歯軋りなのだよ。
死んではいけない場所で死んだ
子供の肉が虫になると
オディアンボの墓地で誰かが言った気がする。
水疱性膿痂疹症の天使が
奇形の牛の角笛を吹き、
世界に調和をもたらそうとしている。
キチキチキチキチキチキチ
キキキ・・チチチ・・
人よ。
南の赤い墓地に捨てた肉を拾って来い。
嘆く魚を沼地に戻せ!!
畑を捨て、欲を捨て、命すらも捨て、
干からびて乾いた牛の様に成り果てろ。
腹から垂れた臓物をハイエナが喰らい、
汚れてしまった土から逃げろ!!
だって、あれは、
軸桿を歪めた命の成れの果て・・
群れ、荒ぶり、
夕暮れに死者の声を使って
貪り喰い、
笑っている誰かだから・・