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ーカガミノセカイー
ここじゃない何処かに行きたかった__
私を必要としてくれる誰かがいる、そんな場所。
何度も読み直した一巻完結のライトノベル、その中で一際印象に残っていた一文をふと、呟いてみる。
夕焼けが射した教室に一人、机に突っ伏しながら窓から見える空を遠い目で追いかける少女。
腰まで伸びた整えてない散らばった黒髪、瞳は日本人には珍しい赤色で、まつ毛も長くややタレ目。
顔は控えめに言っても可愛いと言われる程だが、綺麗な眼を覆い隠す程長い前髪、自律神経の乱れによって睡眠障害を併発している故に出来た目元のクマが、せっかくのそれを台無しにしてしまっている。
身長も149センチと平均よりもだいぶ低く、本人の怯え癖も相まってどこか小動物さを連想させる。
「…疲れたよ」
一人の少女はふと小さく、それでいてどこかくたびれた表情でそう呟いた。