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16話 なにやら重大な情報のようですよ?

 

「なんだ?あれ?」


「ちょ!ちょっとケントっち!そんなズンズン行ったら危ないよー!」


 階段を降りた先にうっすら光って見える何かにケントはズンズン向かって行こうとする。それをカオリが後ろから必死に引き留めていた。


「足元もよく見えないんだし、ちょっと無用心すぎよ」


「つっても気になるじゃねーか」


 好奇心が抑えられないのか、ケントは早くあれがなんなのか知りたそうにしていた。

 しかし女性陣もそれをよしとしない。


「ぼんやりなら足元も見えるから、もう少し目が慣れてから行こう?」


「しゃーねーな、わかった。わかったよ」


 大勢に竦められ、さすがに分が悪いと感じたのかケントが引き下がる。


「そういえばレイも見えないのか?その手のゲームはやったことがないけど、暗いフィールドで戦ったりはしないのか?」


 全員の目が慣れるまでの間、なんとはなしに透真はレイに話を振る。


「みんなと同じ…見えない…。そういうステージにはナイトビジョン持っていく…。」


「ナイトビジョン…なんかゴーグルみたいなのか?」


「そう…それつけたらよくある心霊動画みたいに緑がかってだけど暗くても普通に見える。」


「今は持ってないのか?」


「これはかくれんぼ装備だから…。夜襲用の装備なら持ってたけど…」


「そ、そうか」


 ーーその装備は何種類あるんだろう。


 銃撃戦をするようなゲームはしたことがないので憶測でしかないが、きっと戦場や状況によって使用する武器が変わるんだろうな、と透真は予想を立てる。


「もうみんな慣れてきたろ?行こうぜ」


 我慢できない。と言った様子のケントを先頭に、一行は再び歩み始める。


 ーー?なんだかここって…。


 暗闇に目が慣れてきたのでうっすらとだが地下の構造がわかってきた。

 どうやら広い部屋がひとつだけの地下室のようだ。


 そしてその広い地下室の最奥に、ケントが気になっている件の薄明かりが灯っていた。



 広いといっても25mプールほどの長方形、しかも奥行きが狭い方の部屋だ、足元が暗いといってもさして時間をかけずに奥へと到着した。


「なんだよ…こりゃ」


 先頭にいたケントの唖然とした声が聞こえる。

 残りの面々も遅れて()()()見て、息を呑んだ。


「これって……明らかに機械じゃねーかよ!」


 そこにあったのは巨大な機械。

 巨大なモニターとびくともしない印象を与える巨大な機器類は、透真たちがいた現代日本にでさえ、とてもあると思えない代物だった。


 例えるならばSF映画に出てくる指令センターとでも言えばいいのだろうか?


「なんでこんなとこにこんなもんが…」


 おそるおそる、透真は機械に触れる。

 触れた指先から急速に温度を奪っていくその冷たさは、それが鉄製であることを如実に表していた。


「まじでわけわかんねーなココ。地名とか場所とかわけわかんねーし、化物が出たと思えば森の中にハイテク機器?遊園地にでも迷い込んだのかよ、オレらは?」


 ーー言い得て妙だな。


『遊園地』という例えに、透真はおもわず苦笑いを浮かべる。

 たしかに、ここが遊園地で、今まで起きたのは全てアトラクションの一部で、この機械類はモニターや制御室の機械だとでも言われる方がまだしっくりくる。



「たしかにファンタジーに機械だと、世界観が合わないわね」


「お!珍しく意見が合ったねー!」


「からかわないで。それより機械にスイッチとかないかしら?明かりは灯っているんだし、もしかしたら動くかもしれないわよ」


「たしかにそうだな、電気が来てるのならこれも電源が入るのかもしれない……だからセラもそのニヤケ面は引っ込めて手伝ってくれ。」


「うぇ!?う!うんわかったよ!」


 そんな顔してた!?と言わんばかりのセラも探し始める。




「無いわね…」


 探し始めること十数分、全員で探したにも関わらず、スイッチと思しきものは見つからない。


「音声認証…とか?」


「あーなんか、最近そんなの流行りはじめてたね」


 最近、というのは俺たちの世界でのことだ。


「音声認証ー?うーん、開けごまー!てきなー?」


 カオリがおどけていうがそれでも反応は見られない。


 ーー何か別のことが鍵になっているんだろうか。


 問いかけるようにモニターの部分に触れる。

 考えての行動ではなかったがしかし、そこで変化が起きる。


『指紋認証、完了致しました。』


「「「「「「!?」」」」」」


 全員が驚きの表情を浮かべる。

 それは自分たち6人の、誰でも無い声がしたからだ。


『起動準備中……」


「おい!起動中って面倒ごとじゃねーだろうな!」


「俺が知るか!」


 大きな音を立てながら、起動の準備をしていると思しき機械を前に全員に緊張が走った。


 ーー何かあれば、俺が。


 なにが起きても即座に対応できるよう、僅かに腰を落とし、刀の柄を握る。


 いよいよ起動音が騒がしくなったと思った次の瞬間、一同は呆気に取られた。


『一件の伝言動画を、預かっています。』


「え?」


 ーーなんだそれ。


 伝言動画?それって留守電に映像がついたもの?そんな疑問が沸き上がる。


 全員が同じことを思い浮かべたのかお互いがお互いの顔を見合う。


 しばらく無言が続いたが呆気に取られた表情がやがて「再生しろよ」という表情に変わったため、透真は観念して機械に話しかける。


「えっと、動画再生!違う?タッチパネルか?」


 どういう操作かわからず機械に話しかけたり、ペタペタあちらこちらを触ってしまう。


 どういう操作に反応したのか、数分後、機械は動画を再生し始めた。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 映し出されたのはどこか室内。


 それも、透真たちが眠っていたような廃墟ではなく、明らかな人工的な建物の中だ。


 そんな建物内の一室を映した映像には、真ん中に登場人物の姿が合った。


『…………』


 素人目に見ても明らかな大怪我を負った男。

 病院等ですぐに処置を行わければ命に関わるだろう男は、慌てることもなく、壁にもたれかかって座り込んでいた。


 男がもたれかかって座っている壁は血の跡が激しい。

 恐らく大怪我を負った男が、壁にもたれかかるようにずるずると座り込んだのだろう、何かを引きずった様な跡があった。


『映って……いるのか……これは……とどいるのか…?』


 話すのもやっとといった男の声、かすれ気味だったがその声音から男がまだ若いことが想像できた。


 男は話し始める。

 それは明らかに自分の命を削りながら話していた。


 所々声はか細くなって聞こえにくい。時折口から血を吐きながら、それでも男は画面を超えた透真たちに、話しかける。


『誤算だった……全部俺が悪い……あいつの本性に…気付けなかった自分が…不甲斐なくてしょうがない。

 いきなり……妙な世界に…巻き込まれて困惑してると思う……。申し訳ない。助けてやりたいが…俺には時間が残されていない………。こんなはずじゃなかった……良かれと思ってやったんだ……

 混乱してる君たちに言うことじゃないのは重々承知してる………が、あいつを……殺してくれ!!世界を……救ってくれ!!

 世界を救うための武器は……君たちの中にある。

そうすれば……きみたちは……自由に……る。


 あぁ、せ…きみとも……一度、青空……下を手を……で歩き…たかっ…たな』


ーーーーーーーーーーーーーー


そこで映像は途切れていた。

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