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詩みたいななにか  作者: 谷中英男
7/8

7

物心ついた時から

溺死しかかっている

 ――他人からの期待で


苦しみしかない


希望なんてありもしない


 ――才能がないのは自分がよくわかっているから


僕は逃げ出したい

静寂に包まれた穏やかな海に


あとは決断するだけだ





 夢


自分が知るすべての人が幸福であってほしい

 ――ぼくはそう思った

だけど、思い通りにはいかない

誰かが傷つき

うなだれ

死んでいった


後悔だけが付きまとう

無力を嘆く気さえ失せた


だから僕は嫌われよう


誰かが傷つき

うなだれ

死んでいくのを見たくないから


誰からも嫌われ一人でいたなら

後悔なんてしないから





 幸


人は生きている限り不幸だ

生を受ければ、死への行進が始まる


死にたい

これ以上苦しみたくない


キリスト教では

自殺した者は地獄へ行くらしい

わたしから言わせれば

自殺した者こそ天国へ召され

成人として敬われるべきだ

彼らは自らを現世から解き放つ勇者なのだから


わたしのように醜く現世にしがみつく

臆病な人間は

 地獄へ落ちるべきなのだ――




 世界


若者は未来に絶望し

未来を捨てる


老人は過去の栄光に縋りつき

醜くとも生きながらえようとする


何が正しいのかわからないが

自分の進むべき道は

どうやら決まってしまったようだ……






 友情



僕の生き方を羨ましいとのたまいながらも

本心では見下し、

憐れみ、

自分の幸福を噛みしめているんだ

心の傷なんてわかりもしないくせに


理解者のふりをする偽善者め


一度口に出せば

言葉を回収するなんてできないと気づくべきだ


友から突き立てられたナイフの鋭さを

知ったころにはもう手遅れだ




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