表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詩みたいななにか  作者: 谷中英男
6/8

無題

自分がいなくなったから

変わるわけじゃない

残ったからって良くなるわけじゃない

でも、自分のせいに思える

どうしようもないのに

僕がいたって、悪いものは改善されない

誰かが死ぬこともなく

誰かが病気にならないなんてことはない

もちろん誰もがいい気分になるなんてこともない


あの場所は僕が勝ち取った唯一の場所だ

家族の様で

家族じゃない不思議な場所


僕はそこで多くを学び、

多くをもらった


誰もが得られるものじゃない


だからといって僕が特別なわけじゃない

みんな僕が特別だというけど

僕は平凡な変人だ


もう僕はあの場所へ戻れないし

戻らない


あんな醜い泣き方をしたから


僕は泣き方を忘れていた

思い出すことはできなかった


たぶん、僕はいつまでも後悔すると思う

でも、あそこから去ったのは正解なんだ

ぬるま湯に浸り続けたらふやけてしまう








僕はみんなと違う

と誰かがいう


自分の才能を活かせ

誰かと違うことをしろと

今の僕を否定する


本当の僕を知らないくせに


僕が何を考えているか知らないくせに


僕がどれだけ矮小か知らないくせに


自分ができなかったことを

僕に押しつけているのかもしれない

それか

社会に適合できない僕を

慰めているのかもしれない


いつだって人は身勝手だ

理想を押しつけ

勝手に期待する


僕は押しつぶされそうだ

押しつけられたイメージで








帰りたい

その言葉はどこにいても

なにをしていても

漏れ出てくる


ぼくはどこに帰りたいんだろう

ぼくの居場所はここじゃないのか?


誰も知らない

ぼくも知らない

本当の居場所

誰もが持っている

帰る場所を

ぼくは持ち合わせていない


ぼくは見つけることができるだろうか

帰る場所を








誰もが自由を否定した

世間に縛られることを肯定した


ぼくは仕方なしに世間に迎合した

それがぼくの憂鬱を払う

唯一の手段だと思って……


結果はみんなの予想した通り――


ぼくは世間の期待通り動けない

自由に憧れ

霞の中を歩み続ける


自分の過ちを正すまでどれくらいの時間があるのだろう

もしかしたら

もう引き返せないのかもしれない


だけど、ぼくは決断した

大空を求めて、

かごから逃げ出した








陽が昇り

誰もが目を覚まし、

ぼくの頭は締め付けられ

胸が抉られる


絶望が押し寄せて

ぼくを痛めつける


身近に潜みながらも、

 誰も存在に気づかない言葉が

  ぼくに忍び寄る……


いや、あの言葉はぼくを以前から蝕んでいた

だからこうやって苦しんでいるんだ


ぼくは逃げられない

心に言葉を刻みつけられたせいで

頭の中を

一つの観念がうずめきまわり

疾風かける騒音の中に飛び込むしかなかった--


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ