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四十万
僕は人の魂が見える。この力のせいでこれまでろくに友達も出来ずに過ごして来た。でもいいんだ。だってみんな魂が汚いんだから。そんな人間と付き合いたいだなんて少しも思わない。
そんな僕が唯一惹かれた魂があった。その子は美しい魂とどす黒く汚い魂、が入れ替わっていた。
一目で僕にはわかった。彼女こそが僕の運命だ。彼女を救おう。
まずは邪魔な片割れをどうにかしなければ。
片割れは想像以上に馬鹿だった。僕の思い通りに動いた。おかげで僕は着々と彼女を手中に収めることが出来た。
そして、愚かな片割れは勝手に自滅してくれた。
僕が泣き続ける彼女を抱き締めているのを血塗れに汚れた男の魂がじっと見つめてきた。
本体が死ねば魂も引き摺られる。
何度も入れ替わってわからなくなってしまっていたようだけど、どうやら君がお兄ちゃんだったみたいだよ。百合ちゃん。
君の可愛い妹は、これから僕が大事にするからね。