サブエピソードなう(ちゃんと読んどけよ?)
番外編まとめたら急に長くなりました。もう恒例ですね。長さなんて気にしない。
番外編その1
紅魔館にて。
「何故私の紅霧がパクられてるのよ!」
「…すみませんお嬢様。現段階では原因は全く持って不明です。」
「ちょっと私が乗り込んでやるから大人しく待ってて!」
「しかしお嬢様!今どんな事が起こるか分からない状況で直々に当主が行くのは危険です!」
「でも…………!」
焦るレミリアをじっと見る咲夜。そしてレミリアは自分が今適切では無い判断をした事に気付く。
「ふぅ…ありがとう。咲夜。そしたら1つだけお願いして良い?」
「はい。何でしょうか。」
「今から8時間でこのパクリ犯を見つけて此処まで持ってきなさい。」
「…かしこまりました。」
そう言い残すと咲夜は何処かへ消えて行った。
当主が弱音を吐くのもなんだが、咲夜の能力はチートだと思う。普段は手加減しているそうだが、やろうと思えば時間停止中に敵にナイフをブスブス刺せばそれで勝ち確なのであまりにも羨ましいが!そんな事言ってられる場合では無いので、必死に考える。今回何故紅霧異変が私以外の手で引き起こされたのは何故か。あれは私以外には起こす事が出来ない。しかもこの紅霧は私が創った紅霧と同じ質、クオリティーなのだ。そんなことはあり得ない筈だ。となると可能性として残されるのは誰かが私の能力をコピーした?そんな事があり得るはずがない!いや、しかしそれ以外に方法は考えられない…だが!この私が能力をコピーされた!?私は夜の王なのよ!?
レミリアにとっては真実に気付かなかった方が良かったのかもしれない。しかし、気づいてしまったのだ。そして、自分にとってあり得ない事態に気が動転してしまったレミリアはこの事が外に広まる前に自力で解決しようとする。そして美鈴とパチュリーに最大の防衛を命じるのである。…普段なら博麗の巫女の力を借りる筈なのに。
その2
白玉楼にて。
「やっぱりこれって私の能力コピーされてるわよねぇ?妖夢。」
「はい…確証は無いですが、幽々子様の他に他にもレミリア・スカーレットと八意永琳が能力をコピーされてると思われます。そして次の犯人の目的地は風見幽香かと。」
「レミリアは自分の実力にかなりの自信を持っているからねぇ…それだけに気が動転して間違った指示を出してしまっていないかが心配だわ。永遠亭は…あの人達なら大丈夫でしょう。」
「問題なのがこちらからは人が出せないという事ですよね。白玉楼には私と幽々子様しか居ないため私が赴くと幽々子様の護衛が居なくなってしまいますし…」
「行ってきていいわよ。妖夢。幽香の所に。」
「え、でも…」
「私は大丈夫だから。約束するわ。」
「そこまで言うなら…分かりました。行ってきます。」
そう言うと妖夢は長ーい階段を降りて行った。
実は幽々子が此処まで絶対の自信を持っているのはとある理由がある。犯人に心当たりがあるのだ。古き友人である紫にたまに人界に遊びに行かせてもらえるのだが、そこで能力をコピーする能力を持っている奴を見た気がするのだ。名前は………………………全く思い出せない。
ただ見た目が完全に無害だったし、能力を乱用している様子も無かった為、紫には黙っておいたのだが…
「まさか自分で幻想入りして異変を起こすなんてね…余程の実力者かも。ただ、どちらかというと楽しくて異変を起こしている感じだしね。まぁ害では無いでしょ。ここで霊夢達に一回説教されれば充分よ。きっと。」
幽々子。普段は大食い天然のダメキャラだが、こういう非常事態になると幻想郷の大賢者との異名を持つ紫並に賢い。そして、そいつとコミュニケーションを取った事がある自分が行けば解決することも理解している。その上で妖夢を行かせているのだ。幽々子は今回の異変、天子のような愉快犯だと睨んでいる。コピーする能力が使えるなら自分だったらもっとハイペースに異変を起こしているからだ。
真相に気づいているからこそ幻想郷という盤面でゲームをさせて暇潰しをする。それが西行寺幽々子という人間だ。
犯人が愉快犯だという真相に気付き、霊夢達がブチ切れるまで残り8時間。
その3
永遠亭にて。
「まぁまぁ…そこまで落ち込まなくても良いじゃ無いの…」
「いや、しかし姫様…私の能力がコピーされたのは事実でして…」
「貴方程の実力者が能力をコピーされるんだもの。きっと相当な実力よ?しょうがないじゃ無いの。」
「まぁそうですかね…」
「さて!それより調査よ調査!コピーなんて能力聞いた事も見た事もないわ!きっと凄い凄い人なんでしょうね!聞いているだけでワクワクするわ!」
「(姫様ってたまに無邪気な子供みたいになりますね…一体どっちが本物の姫様なのでしょうか)それでは誰を調査に向かわせますか?鈴仙辺りが適任かと。」
「決めた!この調査、私が行くわ!」
「ハァ…わかり……………エェッ!?ダメですよ!そしたら姫様の見に危害が及ぶじゃ無いですか!」
「だって私は不老不死よ?そんな簡単に酷い目には遭わないわ。」
「でも…!」
「これは月の姫の独裁権です!私を異変解決に赴かせなさい!」
「いや、独裁権なんて無いですけどね…分かりましたよ姫様…今回だけですからね!」
「は〜い♪」
余程強者に会って弾幕勝負がしたいのだろう。
最近は正式に幻想入りして手続きやら挨拶やらいきなり妖怪に勝負を挑まれるやら、色々忙しかったので姫様も相当な苦労だったのだろう。
帰ってきたら、私からもお相手して差し上げますか…
「それにしても厄介な相手を幻想郷に持ち込みましたね…紫様は何故幻想入りさせたのでしょうか…」
そんな永琳を横目に説教をしている人物がいた…
「今回という今回は流石に許しませんよ!」
「…はい。」
その4
「今回という今回は流石に許しませんよ!」
「…はい。」
「今までの軽いルール違反は見逃していましたが!」
「…はい。」
「今回は確実にアウトです!」
「…はい。反省してます。」
「はぁ…本当貴方様はこういう所にはすごく甘いですね…」
「でもきっと貴方もこの立場に立てば分かるわよ?私の苦労が。」
「いや、確かに貴方様のお仕事は大変ですし、たまにリフレッシュしたくなるのも分かりますよ?ただ、今回の例が少しやり過ぎなだけですよ!なんですか!新規幻想入りおよそ100名って!ちゃんと今回は事情を説明してもらいますよ!」
「いや…その…人界に開けた狭間をそのまんまにしてしまって…」
「で!?」
「およそ100人が入ってしまった時点で手遅れだと察知し…」
「だから!?」
「…放置しました。」
「貴方やっぱり馬鹿なんじゃ無いですか!?貴方なら人間達の足元に狭間を開いて人界に戻す事など容易いはずです!今すぐ100人全員人界に返して下さい!」
「…ハイ。」
式神に主が叱られる。これもある意味異変なのでは?そう考えつつふと溜息を吐きそうになってしまう紫。
しかし、紫には考えがあった。今起こってる3つの異変は確実に人界からやってきた者の中に居るはずだ。誰にも教えていないが「能力を持つ者と持たない者の区別が出来る程度の能力」も実はこっそり隠し持っているので能力者のみ残してそれ以外を人界に返す。その為の今の説教なのだ。幻想入りしたのは能力者も含め〈101〉人なので、100人を返還する様子を藍に見せてさも全員帰還させたかのように見せるのだ。こうする事でこの後更なる異変が起き、それを解決しようとする霊夢達を見て暇つぶしをする…という寸法である。もちろんこれがバレた時に叱られる覚悟が出来ての上だ。
西行寺幽々子もなかなか悪い奴だったが、実は『大賢者様』が1番悪い奴である。
「ほら、返したわよ。」
「はぁ…次からはこんなヘマしないで下さいね!」
「はぁーい。」