プロローグ
さまざまな有機物、無機物など至る物が通過可能、
ただし、いつ現れるのか、通過後どこに行くのかも不明な扉
そんな扉、厨二病全開の年頃である、伊藤恭介14才、通りたいに決まっている。
これが好奇心…
これまた厨二病全開の台詞を心の中で吐きつつ、心臓バクバク、足はガタガタ、手はブルブル震え、喉の奥のツバをゴクリと飲み、緊張で額の汗をダラダラかきながらもその扉に向かっていく。
誰かがお遊戯会で使うような扉でも専門の業者が作るような扉でもなく、もちろん元々立て付けてあったわけでもないその扉に向かう。
目の前まで到着した。先程より更に心臓がバクバクしているように感じる。
改めて見ると、かなり重厚そうで年季が入ったような鉄の扉
取っ手が見えるので引くのが正解だろうか。
いざ、引こうと腕をまくりあげる。
準備はいいか?――――
頭に響く声は急かす事もなく、淡々と喋る。
急かされてるわけでもないが、なかなか決心がつかないまま時間が過ぎていった。
「よし」
そして今、汗をかいている手を握りしめ、ようやく扉に手をかける。
…とその時、突然扉がひとりでに、いや、よく見ると向こう側から開こうとしている人物がいた。
慌てて物陰へ隠れようとするが間に合わず
扉を開いた人物と目が合ってしまう。
いや、よく見るとそれは人ではなく、口元はおよそ尋常でなく裂けており、目がギョロッとした顔立ち、長身の二足歩行でそして何より全身鱗のような物が付いている。
いわゆる、リザードマンのような生物であった。