プロローグ
プロローグ
「もうすぐ君の電話が鳴るよ」
夜道にいきなり現れたスーツ姿の黒髪ツインテールで20歳くらいの女性はそう俺に問いかける。
「なにいって・・・」
その時、俺の電話が鳴った。
「よう。岡崎か?寺田だよ。俺、琴音ちゃんと付き合うことになったから。一応、琴音ちゃんファンクラブ団長のお前には報告しないといけないなとおもって。じゃあな!」
調子のいい声の男に一方的に電話を切られる。中学からの初恋の相手を奪われ、俺は返事の一つもできなかった。
「ほらね。言ったでしょ。」
しばらく身動きが取れなかった俺に彼女は吐き捨てるように言う。そうだ、この女は電話がかかっていることを言い当てたぞ。
「君は一体・・・」
「わからないの?まあいいや、そんなことより大好き琴音ちゃん奪われちゃったけどいいの?」
そんなことまで知っているのか。この人何者なのだ。
「よくないに決まっている。琴音は俺のフィアンセだぞ(自称)」
そういうと、彼女は微笑みながら
「ふうん。変わってないね。私がどうにかしてあげようか」
といった。この時の少しにやりとした表情、どこかで見たような。彼女は続ける。
「私ね。未来から来たの。あなたを助けるために。」
何を言っているのだ、こいつは。まずい、完全に頭のおかしい人だ。
「んー。まだ信じてもらえない?なら、あと5秒後にlineがくるよ?」
彼女は手に持っている形容しがたい腕時計のようなものを見ながらそう予言した。そんなばかな、とおもいつつスマホを取り出し、lineを見ると、ちょうど母からlineが届いた。
「わかった。君が未来から来たことは信じよう。でも、なんで君が俺を助ける必要があるのだ?」
そう答えると彼女はまた、見覚えのある少しにやりとした表情をしながら言った。
「そんなの家族だからに決まっているでしょ。お兄ちゃん。」