プロローグ
夜の闇が霞む程の赤く燃える空が眼前に広がっていた。
老若男女様々な悲鳴、怒号が飛び交い混沌と化している。
俺はその渦中にてただ呆然と立ち尽くしていた。
何が起こっているのか、全く分からない。
ただ、いつもの平和な日常が容赦なく壊されていく感覚。それだけが、俺を支配する。
「何だ? まだ逃げてねぇ奴がいたのかよ」
数メートル離れた先から長身の男がゆっくりと歩いて来る。
「おら、逃げねぇのか? 早くしねぇとこの辺りは火の海だぜ?」
俺は黙ったまま、その男を睨みつける。
「へぇ。お前ガキのくせに殺気は一流だな」
「うるさい。黙れ」
怒気のこもった声で言い放つ。
「ククク、良いじゃねぇか。こんな奴もまだいるんだな。つい、俺も殺したくなるじゃないか」
蛇に睨まれた蛙。そのぐらいの殺気が重くのしかかる。だが、それでも俺は聞かなければならない事がある。
「お前がやったのか? この村を焼いたのはお前か!?」
「そうだと言ったら?」
「殺す」
男はニヤリと笑う。
「良い、良いよお前。ここで殺すのは勿体無いなぇなぁ。お前名前は?」
「誰がお前なんかに」
「早く教えろ。教えればこの惨状の元凶教えてやっても良いぜ?」
「リュート・クロムウェルだ。教えたんだから、そっちも教えろ。元凶は誰だ!?」
「落ち着けよ。教えてやっから。この惨状の元凶はお前のーーーー」
小鳥のさえずりが、かすかに聞こえた。
ゆっくり目を開けると窓からは陽光が差し込み、眼前には豪華な造りの天井とシャンデリアが見えた。
徐に体を起こし軽く伸ばす。枕元の時計の針は朝6時をさしている。
「また、あの夢か」
もう何度見たかわからない悪夢。
俺の全ては、あの日から始まった。
これは、俺の復讐の物語だ。




