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少女のお世話  作者: リクルート
7/17

翌日。

 翌日、起き上がって隣を見ると幼い少女が寝息を立てて気持ちよさそうに眠っていた。そのことが理解できない数瞬、理解できてから、焦りが沸いた。俺は不良とはよく言われるが、ついに犯罪を犯してしまったのか。拉致は確実に捕まる。焦っているうちに、昨日のことが思い出された。

......そうだ、この子は、美鈴は俺が世話していたんだった。

 美鈴を起こさないように布団から出て朝食を作らなくては。思ったよりも寝ているわけだはなく、むしろ、早いくらいだった。早く寝たのだから当たり前かもしれない。これならしっかりとした朝食を作れる。そう思ったのだが、朝の俺の胃の中にはあまりものが入らないので、そんなに気合いを入れて作ることはできないのだった。まぁ、美鈴の為に作ろう。

 俺の朝食は昨日余った魚を焼くだけなのでそんなに手間ではない。いつもならおかずは一品だけなのだが、余った味噌汁を温めた。すぐにいい香りが漂い始める。かなりいい匂いだ。そのとき後ろで何か物音がした。振り向くと美鈴が起きていた。上半身だけを起こして、あたりを見回している。

 もしかして、美鈴も俺と同じく状況をわかってないのだろうか。

 少女は起き上がると、トイレに入っていった。昨日、風呂の近くにあることを教えたからだろう。そこから出てくると、おなかすいたと呟いた。状況はわかっているらしい。俺よりしっかりしているな。

「すぐできるから、待ってな」

 少女は聞こえてるのか、わからないが布団の上でぼうっとしていた。まだ寝ぼけてるのだろう。

 魚はうまく焼けて、味噌汁は温まったので、料理を盛り付けた。そういえば布団すら片付けてなかった。それを思い出して、振り返ると美鈴がテーブルを出そうとしていた。

「おい、美鈴、危ないぞ」

 口を動かしながら、慌ててテーブルを抑えに行く。美鈴を見るとどこもケガして内容でため息が出た。

「ゆーとおにいちゃん、どうしたの」少女は俺の顔を見ていた。

「美鈴、テーブルはそんなに大きくないけど、無理はしないでくれ。怪我でもされたらいやだからな」

 少女は困ったような、泣きそうな顔をしていた。怒ったと思ったのだろうか。そんなに大声を出したつもりはないのだが。

「美鈴、布団畳めるか」

 少女の頭に手を乗せて、笑いながら言った。すると少女は元気よく頷く。布団を二枚に折って、その上の掛布団もしっか畳んで布団の上に乗せる。それを部屋の端に寄せた。もしかしたら俺よりもきれいにできている気がする。それが終わると俺のもとに戻ってきた。

「できたー」美鈴は大きな声でそういった。

 俺が少女の頭をなでると少女は笑っていた。それから俺はテーブルを出して持った料理をそこに出した。それから二人でいただきますと言ってから、食べ始めた。

 食べ終わった皿を洗いながら、美鈴に今日の予定を伝えた。まずは学校に行く。そして、俺がバイトの時は(いつき)が来るということだ。皿を洗い終え、俺は制服に、美鈴は昨日買った新しい服に着替える。それから何も入っていない鞄を持って家を出た。

つづく

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