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少女のお世話  作者: リクルート
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桃色の車の駒

不良生徒の友達、来ました

 美鈴(みすず)(いつき)の挨拶を終えて、茶の間に座った。俺が座ると美鈴が俺の膝に座りなおした。その正面に彼が座る。

「なぁ、いつもみたいに出かけたりできないだろ。なんか遊ぶものあったっけ」

「あぁ、それならすごろくがどっかにあったと思うけど」

「みすず、すごろくやりたい」

 確かテレビ台の中にしまってあったはずだ。そこを漁ると目的のものはそこにあった。俺はそれを取り出して、床に広げた。中々、大きいものである。駒も紙でできたものでなく、プラスチックの車の形だ。サイコロもしっかりしている。全く遊ばなかった割には壊れたところは見当たらない。

「美鈴、どの駒にするんだ」

 美鈴は桃色の車を手に取ってこれといった。やはり、女の子は桃色が好きらしい。

 それぞれ好きな駒を選んで、すごろくが始まった。

 最初は美鈴からだ。少女は勢いよくサイコロを転がす。出た目は六。いきなり大きな数字だ。止まったマスには特に何も書かれていなかった。次は、樹の番で出た目は三。特に何も起こらない。最後は俺で、出た目は四。無難な数字だ。俺も止まったマスには何も書かれていない。

 二週目、三週目と何度も順番に駒を進める。大きな数字が出れば美鈴は喜んでいた。樹は運がないのか、なかなか大きな数字が出ず気づけば、結構な差が出ていた。俺はというと、無難な数字が続いて美鈴とはあまり差が出ていない。順位は美鈴が一位、二位が俺、三位は断トツで樹だ。

 この順位は一度も動かず、勝敗は決した。美鈴は大喜びで跳ねていた。

「はぁ、俺が負けかよ。なんでだよ」彼は落ち込んでいた。

「もっかい、もっかいしよ」

 美鈴のその言葉によって、すごろくがまた始まった。今度は俺か樹が負けた場合は、勝った二人に何かを奢ることになった。もちろん、美鈴は負けても何もなしだ

 また美鈴からのスタートだ。さっきの戦いと同じく、サイコロは六の目を示している。少女はかなり幸運らしい。今度は俺は二番目になり、サイコロを転がす。出た目はなんと一。三番目の樹は二だ。

 二週目も同じような目が出て、美鈴は六。俺は二。樹は三。

 三週目、四週目と同じような目が出て、美鈴は断トツの一位。少女はさっきよりも跳ねて喜んでいた。

 そして、俺たちはあまり進まない車に苦戦していた。ちなみに俺が最下位だ。負けるわけにはいかない。

 樹の番が終わって俺の番。ここで六でも出せば、ゴールまで一マスとなる。樹はゴールまであと六マスだ。よし、いくぞ。と覚悟を決めたとき、背中に衝撃があった。美鈴が飛び乗ってきたのだと思う。その衝撃でサイコロがふっとぶ。そして、出た目は六。

 よっしゃ、美鈴ありがとう。

 心の中で礼を言った。美鈴は俺の背中で勝手におんぶ状態になっている。

 そして、次のターン、樹は五を出し、俺は三を出した。これで二回戦も俺の勝ちだ。

「また負けたよ。仕方ないなぁ、商店街でいいよな」

「ああ、あそこならあんまり費用かからないしな」

「なになに、いつき、なんか買ってくれるの」

 俺たち三人そろって商店街に出かけた。 


 商店街の昼食用の食材を買った店に来ていた。

「何がいいんだ。何でもいいぞ」樹は優しく美鈴に言った。

「マルチョコがいい」

「それは家にあるだろ。違うやつ買ってもらえよ」

 わかったというと少女はお菓子売り場に歩いて行った。そのあとに続いて、俺たちもお菓子売り場へ。高校生にもなるとこういうところへは来ない。何か懐かしいものを感じる。

「ねぇねぇ、お菓子じゃなくてもいい?」

「ああ、いいよ。何でも」

 そう彼に告げると少女はアイス売り場に行った。そのあとをついていく。

 少女はアイスの棚の前をうろうろしていた。どれにしようか迷っているようだ。

 何度か右往左往した後、ようやく決めたらしく、マルチパックのアイスを持っていた。

「これがいい」持っていたものを彼に手渡す。

「おう、わかったぜ」彼は笑顔だ。

「唯斗は?」

「俺は美鈴のと同じのを食べる」

 彼はそうかと言ってレジでアイスを精算して、店を出た。ふと時計を見るともう五時半になっていた。

アイス食べたいなぁ


トゥー ビー コンテニュー

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