カネを喰らう悪魔
駄作です。暇すぎてつくりました。
悪魔が家にいる。
二年くらい前から僕と契約している悪魔だ。
こいつは契約してから数日に一度僕の家に転がり込んでくる。
特に悪さはしてこない悪魔。
ただこの悪魔はカネを喰らう。
僕は悪魔にカネをあげないといけない。
そういう契約なのだ。
僕がカネを与えると悪魔は美味しそうにカネを喰らった。
甲高い声をあげて悦んでくれた。
悪魔はカネをくれたお礼に僕にアイを与えてくれる。
二年前までアイを知らなかった僕にとって悪魔がくれるアイは一種の麻薬だった。
今じゃ悪魔のアイ無しでは生きていけない。
アイは僕の生きる気力だ。僕にはもうそれしかない。
カネをあげればあげるほど悪魔は喜ぶ。
無尽蔵な胃袋でも持っているのだろうか。
まぁ悪魔なのだからそれくらい持ってても不思議ではない。
僕はカネを使わない人だったからそこそこあるけど悪魔を満たすことが出来るか不安だ。
今日もまた悪魔はカネをあげた僕にアイをくれた。
僕の気持ちは満たされた。
幸せすぎて気持ちが悪い。
アイかカネなんて質問は馬鹿馬鹿しい。
アイは生きる力だから必要だ。カネはアイを得る為に必要だ。
アイもカネもどちらも必要だ。
翌日悪魔はどこかへ行ってしまった。
次に悪魔が来るのは何時だろうか。今すぐにでも会いたい。
またアイたいな。
会ってアイをください。
僕は知ってる。
悪魔は僕とだけ契約してるわけじゃない。
僕以外の契約者からカネをもらっている事を。
それらを喰らい、僕じゃない契約者にアイを与えている事を。
腹立たしい。
悪魔がカネに飢えてるように、僕だってアイに飢えている。
悪魔のアイを貰うのは僕なのだ。
僕がとびっきりのアイを貰うべきだ。
僕が真の契約者だと証明してやるんだ。
数日後。また悪魔が僕の元へとやってきた。
僕はとびっきりのカネを悪魔にあげた。
僕と悪魔の契約を固く解けないように。そう願って。
未来永劫悪魔と一緒に居たくて。
カネは美味しい食糧となり、素敵な景色となり、小さな輪っかとなった。
僕の目の前で悪魔は嬉々としてそれらを喰らい尽くす。
悪魔はとても嬉しそうだった。
悪魔が嗤うから僕も笑った。
その日、また僕はアイで満たされた。
それ以降悪魔は僕のもとへと来ることはなかった。
いくら呼んでも願っても悪魔は現れなかった。
捨てられたのだと認めたくなかった。受け止めたくなかった。
もうアイは貰えないのだなと認めたのは二ヶ月後だった。
いい加減僕自身が生きるのにも難しいくらいにカネが無くなっていたのに気づいたのだ。
カネが無いのならアイは貰えない。
当然の事だ。
カネを稼げばまた悪魔は僕に会いに来てくれてアイをくれるのだろうか。
いや、もういい。疲れた。アイも無しにカネを得る程の意欲が沸かない。
カネが無いからアイが貰えない。
カネが欲しいのにアイが不足してる。
アイに飢えてるのに持ってるカネじゃ足りない。
カネ持ちになりたくてもアイが無きゃ生きていけない。
堂々巡りの思考の先に衝動、そして痛みと暗闇を視た。