表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣使いと召喚神(サーバント)  作者: やましゅん
垣間見える真実とその裏側
5/5

召喚契約篇Ⅴ

久しぶりの「まけサバ」、スタートです!

 俺は、イギリスからの転校生、桐谷(きりたに)アリサと出会い、そしてすぐに衝撃的な告白をされ、『魔剣士機関』なる秘密組織からの招待を、悩んだ末に承諾した。

 のだが・・・

 一体、何がどうしてこうなったんだ?

 現在、間合い十メートルくらいの位置に、金髪碧眼の華奢な少女が、両手に一本ずつ魔剣を携えて、低く構えを取っている。

 それに、何故だか知らないが俺も『ヴァルキュリア』を両手で持ち、構えている。

 さらに、今し方まで自宅の地下室にいたはずが、その空間が丸ごとなくなったかと思えば、三、四倍も拡大され、コロシアムのようなものが形成された。

 そこには一応観客席のようなスペースがあったが、誰一人として()する者はいなかった。

 この状況を、俺の考え得る範囲内で言えば、カオスの一言に尽きる。

 今日の出来事を(かんが)みて、軽く十年は寿命が縮んだのではないだろうか。

 そして、俺の疑問は聞き入れないとばかりに、目の前の少女が駆け出した。

「さあ、行くよ!」

 その可憐な外見とは裏腹に、疾風の(ごと)く俺に向けて走り出した。

 彼女は徐々に間合いを詰めていき、気付けば五メートルというところまで彼女は迫っていた。

 これは、殺し合い・・・?

 いや、それとも試合・・・?

 どちらにしろ、このまま突っ立っていたら深手を負うのは火を見るよりも明らかだ。

 そして(わず)か三メートルのところまで脅威が迫っていた。

 考えている暇はない。とにかく初撃(しょげき)を防ぐことだけに集中しよう。

 相手は双剣使い。しかも見る限り、双方とも魔剣だ。何を仕出かすか分かったものではない。

 だから、俺は()えて動かなかった。

 だが、予想外のことが起きた。


 彼女の右手に(つか)まれた魔剣が、俺の首目掛けて横回転しながら襲いかかってきた。


 唐突な出来事に俺は()けることを忘れ、両手で掴んだ『ヴァルキュリア』を、その刀身を飛んでくる魔剣と垂直になるように(かか)げた。

 瞬間、衝突があった。

 ギギギギギギギギッ‼︎‼︎ という耳を(つんざ)くような、金属同士が激しく摩擦する音がした。

 それと同時に、両手に(すさ)まじい衝撃が(ほとばし)り、痺れるような痛みが襲った。

「ぐっ・・・‼︎」

 俺はなんとか(こら)え続けるが、すぐに限界が迫った。

「くあっ、があっ!」

 もう、無理だ。戦闘経験ゼロの俺にいきなりこんな難題をこなせる訳がない。

 だが、そこで可憐な声が聞こえた。

「諦めないで!あなたは古宮家の当主なんでしょ?それにその『ヴァルキュリア』はなんのためにあるの?」

 ・・・そうだよな。こんな(てい)たらくじゃ、とても魔剣士なんてやってられない。

 それに、この『ヴァルキュリア』だって、前世の想いを継承し、そして後世に引き継がなければならない。

 だったらこんなところでくたばってる場合じゃない!

「クソがああッ‼︎」

 俺はありったけの声でもって叫んだ。

「諦めてたまるか!こんなところで!くたばってたまるかああッ‼︎」

 俺は喉が痛くなるほど叫んだ。

 それと同時に、『ヴァルキュリア』へと魔力が流れ込む。

 目の前の少女は、その様子を見てニッと口の端を吊り上げて笑った。

 俺は彼女の魔剣を受け止めながら、『ヴァルキュリア』に魔力を注ぎ込み続けた。

 そして。

 何か柔らかいものが、俺の骨身(ほねみ)に染み渡っていく。

 すると何故だか、腕に強い力が加わり、身が軽くなるような感覚を覚えた。

 俺はこの時、強く思った。

 いけるッ・・・‼︎

 俺の心の中で、自信が確信に変わった。

 その刹那。

 俺は一気に両腕に力を加え、彼女の魔剣を弾き返した。今度は両脚に力を加え、稲妻(いなずま)の如く駆け出し、彼女の(ふところ)に潜り込む。

 時間にして、約〇、一秒。

 たった一瞬で懐に潜り込まれた彼女は、尚も楽しそうに、

(すさ)まじい筋力に凄まじいスピード・・・。これこそが、『四神器』の一つ『ヴァルキュリア』が持つ『特性』、『瞬雷破壊(ライトニング・デストロイ)』だよ」

 懐に潜り込まれているというのに、それでも彼女は笑みを浮かべていた。

 だけどその笑みはどこか、何かを(なつ)かしんでいるような、そんなものだった。

 だがそんな感慨などしている暇はない。俺は一気に勝負を決めにかかる。

「うおおおおッ‼︎」

 彼女の腹を右から左へ切り裂くように『ヴァルキュリア』を振る。

 だが。

 甘かった。

 ガッギィン‼︎ という耳障りな音が炸裂した。

 その腹を見てみれば。


 腹の上に(おお)(かぶ)さった衣服と『ヴァルキュリア』の(やいば)との間に、極薄の膜が張られていて、それらが激しく摩擦していた。


「な、ん・・・っ!?」

 俺はギョッとした。

 だが彼女は、驚愕の色に染まっている(であろう)俺の顔を見て、さらに楽しそうに言う。

「『魔剣使い』のあなたは知らないと思うけど、これは《防護魔法》っていって、自分の肌や衣服の上に硬い薄膜(うすまく)を張って様々な攻撃を防ぐ、《防御系魔法》の一種だよ」

「ち、ちょっと待て。それって『ヴァルキュリア』の斬撃も防ぐようなとんでもない代物(しろもの)なのかよ⁉︎」

「もちろん、本来ならバラバラに砕け散ってるところなんだけど・・・。わたしの二つ名は覚えてる?」

「それって、さっき言ってた・・・ええと、デュアル、マジカリストだっけ?」

「そう、『双剣魔子(デュアル・マジカリスト)』。これ、何か気付くことない?」

「・・・マジカリスト・・・そういうことか!」

「やっと気付いたんだね。わたしは生まれつき魔法の才能に恵まれてて、それをどんどん磨いていったら、それはもうすごいことになっちゃって、剣無しでも『魔剣士機関』に一目(いちもく)置かれたくらいだよ」

「道理でこんなに硬いのか・・・」

 俺は『ヴァルキュリア』を用いても全く破れる気配がない膜を見て言った。

 すると彼女は、まるで親に褒められた幼い女の子のような笑顔を露わにして言った。

「こんなの、わたしにしか出来ない特別なものなんだよ!」

 彼女は幼い笑顔を浮かべながら自慢げに言い放った。

「すげえよ、お前」

 その笑顔を見て、つい言葉が漏れ出た。

「いや、それほどでも!」

 自慢の後に謙遜(けんそん)って何だよ。

 こんな様子を見て、俺は自然と『ヴァルキュリア』を下ろしていた。

 だが、ここで不意にあることを思い出した。

 それは、

「そういえば、どうしてこうなったんだ?」

 これに対して、即答だった。

「楓真くんと剣を(まじ)えたかったんだよ」

 たったそれだけだった。もしかしたら、彼女がここに引っ越してきたのも、俺と戦うためだったのかもしれない。

 だがそんなことより、重大な問題があった。

「それだけの理由で俺ん家を消したのか⁉︎」

 そう。

 先ほど、このコロシアム(?)が現れたとき、確かに俺の家は跡形もなく消えていた。

 なのに、当の消した本人はあくまでこう言った。

「いや、その心配は要らないよ」

「なんでだよ?」

「ここ、なんだと思う?」

 俺は見たままの様相を口にした。

「近未来的な、コロシアム?」

「うん、それで合ってるよ。だけど、ちょっと言葉が足りないかな」

「どういう意味だよ?」

「これはね、現実世界と対象人物を切り離して、一人の魔法剣士もしくは魔法使いが、自身の心象を反映させて構築する異次元空間、通称『戦場(フィールド)』」

 ・・・ええと、つまりものすごい高等技術って訳ですね、分かります。

「そ、それって、並大抵のヤツじゃ無理じゃね?」

 すると、転校生の少女は、腰に両手を当てて、胸(控えめ)を張った。

 そして、分かりきったことを聞いてきた。

「わたしを誰だと思ってるの?」

 質問の意味は分かるけど、あの『二つ名』を聞かされた後だからなぁ。何とも言えん。

 とりあえず適切な対応をしておいた。

「『双剣魔子(デュアル・マジカリスト)』、桐谷アリサさん」

 その結果は単純なものだった。

「そうだよ、分かってるね!」

 分かってるも何も、アンタが欲しがったんだろ。

 まあ何はともあれ、コレのカラクリは判明した訳だし、そろそろ元に戻してもらうか。

「なあ転校生、そろそろ戻してくれないか?」

 すると転校生は、満足といった調子で「そうだね」と答えた。

 だが、すぐには戻らなかった。

 少女の高らかに(うた)う声が木霊(こだま)する。

「《我は心象を映し出す者也。我は心象を消し去る者也。故に今、()の心象を消し去り、現世(うつしよ)へと()す》!」

 そして高らかな謡は終わり、同時に異次元は一点に集約し、完全に消え去った。



「もどっ、た・・・?」

「うん。間違いなく楓真くんの家の地下室だね」

 一度消えたと思ったものが戻ってくる喜びは、計り知れないものだった。特に、自宅に関しては。

 まあとにかく、無事に帰ることができた。

「はあ・・・」

 俺はいつの間にか溜息を()いていた。

 と、そこに突っかかる者が一人。

「お疲れかな?楓真くん」

「ああ全くだ。出会って初日からこんなに振り回されるなんて・・・先が思いやられるな」

 いや、マジでコイツには振り回されっぱなしだったな。不意を突かれてばかりだった。

「楓真くんは優しいから振り回しやすかったよ」

「き、急にそんなこと言うなし・・・」

 ほらまた不意を突かれた。照れ臭くて顔を逸らしてしまった。

 だが、またもやコイツは唐突に言い出した。

「これから時間ある?」

「え、まああるけど」

 何だ?デートのお誘いならウェルカムだが。

「今から『機関』の東京支部に行くんだけど、というか行かなきゃいけないんだけど、時間かかると思うよ?」

 何だ、そっちかよ。

「てか、そんな秘密組織の支部が東京にあるのかよ?」

「まあ東京といっても、二十三区とかの方じゃないんだけどね」

「じゃあどこだよ?」と俺が尋ねると、思いも寄らぬ答えが返ってきた。

「東京湾の中だよ」

「・・・は?」

 これには呆然とした。

 素っ頓狂な声に、彼女はこう付け足す。

「正確に言えば、江東区にあったそこそこ広い空き地に、使いもしない倉庫を建てて、その地下三十メートルのところからトンネルを掘り、最終的に東京湾の下まで進め、そこに色々な設備を調えた。それが『魔剣士機関』の東京支部だよ」

 さっきのやつ随分と雑だったな!

 だが、今の弁明を聞いて、複数の疑問が浮かんだ。

 まず一つ目。

「なんで江東区なんだ?」

 答えは、単純極まりなかった。

「支部長が江東区住まいだからだよ」

 理由そんだけ!?

 続いて二つ目。

「なんで倉庫にしたんだ?広くて大きい建物なら他にもあるだろ」

 この疑問には、最適解で答えられた。

「確かに色々あるけど、倉庫が一番お(あつら)え向きなんだよ。何せ、倉庫なら部屋を区切らずに済むから、コストも費用もあまりかからないし、その建物の最低限の役割を果たせればいい訳だから、倉庫が一番いいんだよ」

 ほう、納得。

 続いて三つ目。

「三十メートルって足らなくないか?海抜とかも関係してくるだろうし、それに海底ギリギリでもダメだろうし」

 少し間が空いて、答えが返ってきた。

「えっと、多分斜めに掘り進めたんだと思うよ。そうじゃないと水中に出ちゃうからね」

 多分、か。まあ、彼女が何でも知っているという訳じゃないだろうし、それにこっちは尋ねる側だ。立場は(わきま)えるべきだろう。

 あと気になるのは、色々な設備とは具体的に何なのか、というのと、支部は他にどこにあって、本部はどこにあるのか、ということだ。

 だが、今は聞かなくてもいいだろう。前者は実際に東京支部へ赴けば(おの)ずと分かるだろうし、後者は支部長とやらに直接聞けば分かることだと思う。というか、大抵の情報は支部長が握っているだろう。

 俺がそんな考えを巡らせている間に、十数秒が経過していたため、目の前の少女が質問が来るか来まいか分からなくなり、困惑してしまっている。

 だから、俺は敢えて質問を投げかけた。

 恐らく、これから重要になってくることだ。

「えっと、君のこと、なんて呼べばいい?」

 あれ、若干キザっぽくないか、今の口調。

 だが、そんなのは気に留めなかったらしく、彼女は数瞬の(のち)にこう言った。

「・・・じゃあ、アリサって呼んでくれる?楓真くん」

 えっ、下の名前⁉︎

 うわ、恥ずかしいなおい。まあでも、向こうは俺のこと下の名前で呼んでるみたいだし、おあいこってことでいいだろう。

 だが、その半端な決意とは裏腹に、俺の口調は弱々しくなってしまった。

「じ、じゃあ・・・あ、アリサ」

 な、何とか言い切った。マジで恥ずい!

 俺は恥ずかしさを深呼吸して振り払い、改めてその名を呼んだ。

「アリサ」

 すると、どうしたことだろう。今度はアリサが赤面しているではないか。

 何これどうするべきなの⁉︎

 とにかく聞いてみることにした。

「どうしたんだよ?顔赤くして」

 そしてアリサは、更に赤くなりながらも言った。

「・・・なんか、やっぱり恥ずかしいな、って思って。言わせておいてごめんね」

「いやいや、聞いたのは俺の方だ。アリサは悪くない」

 そう言うと、アリサは若干紅潮した笑顔を見せ、

「うん、そうだね!」

 その笑顔には邪気なんてなくて、ただただ可憐という印象を与えてくる。これからも、この満面の笑顔を見ることになるだろう。

 俺は純粋に、この笑顔を何度でも見たい、そう思った。だが、この笑顔を見ることを許されるのは、決まって苦節の後だということは、今はまだ知らない。

どうも、やましゅんでーす!

いやいや、お久しぶりです。約二週間というところでしょうか。次話を期待していた方、本当に申し訳ありませんでした。

では、何故このような事態になってしまったかと申しますと、随分早いな!と思われるかもしれませんが、なんとネタ切れしてしまいました。

もともと、僕は一話一話を土壇場の思いつきで構成しております故、このようなネタ切れが発生してしまったのだと思われます。

今回のような事態は、今後もあると思います。ですが、僕のような不出来者に今後もお付き合い頂けると幸いです。

さて、今回の「まけサバ」、いかがでしたでしょうか?

遂に戦闘です!今回は今までより気合が入りました。特に効果音は、実際にあんな音は聞いたこともないので、結構頑張りました。

でも、書いていてこう思いました。楓真もアリサも強えな!

楓真は、瞬時に速度と筋力を最大限まで引き上げる。

アリサは、双剣の技術と万能な魔法を兼ね備える『双剣魔子(デュアル・マジカリスト)』。

このコンビ、正直無敵じゃね?

ヤバいどうしよう、敵の能力もじっくり考えないと。


ここで余談ですが、この間近所のラウンドワンに行き、フェイ○/ステイ○イトというアニメのヒロイン、セイ○ーの巫女装束のフィギュアを発見しました。

財布には五千円入っている。これはいける!と思い、クレーンゲーム初心者ながら挑戦しました。

果たして結果は・・・⁉︎

二千円で獲れたぁ‼︎

これ、使い過ぎか分かりませんが、初心者な僕は獲れたことに歓喜し、その場で叫びました。

その場には友人が数人いて、その中にはあのうすたくさんがいました。

うすたくさんともう一人にアドバイスを受けながら獲れたものなので、二人には絶大な感謝を!本当にありがとう!


それと最後に、お知らせです。

この度は投稿が遅れてしまい、改めて謝罪致します。本当に申し訳ありませんでした。

そのお詫びとしては何ですが、用語・人物解説を投稿したいと思います。

是非お楽しみに。


それではこの辺で。

やましゅん

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ