召喚契約篇Ⅰ
*注意書き
この作品は以下の成分が含まれています。
・若干中二病
・ちょいエロ
・シスコン兄貴とブラコン妹
・戦闘シーンが来るのが遅い
・俺TUEEEEE‼︎
・パクリと思わせるような設定
等があるので、苦手な方はご遠慮下さい。
とある一軒家の地下室。
「・・・」
そこに、一人の少年ーーーつまり俺がいた。
俺は、部屋の中央に立ち、開いた右手を正面に延ばし、目を閉じていた。
俺は、まるでロボットのように、ただ言葉を羅列し、『何か』の発動を待っていた。
・・・何も起きない。
やがて俺は、その無駄に等しい行為をやめ、そしてこう言うのだった。
「はぁ、また失敗か」
この台詞は、一体いつになるまで言い続けるのだろうか。
呆れという言葉しか思いつかない。
ところで、このいつまで経っても『魔法』が使えない愚かな俺を紹介しよう。
俺は、古宮楓真。紺色の髪、中背の痩せ型で、童顔。そんな容姿が特徴的な高校生だ。
俺が住んでいるのは、東京都の約三分の一を占める、東京西部開発都市、通称『開発都市』。その一部の天楼市、通称第十四区にある、一般的に言えば豪邸だ。高校は、この辺りで最も近いところに通っている。ちなみにリア充ではないから心配してくれ。
そして、一応『魔剣士』だ。
普通、魔剣士というのは、『魔法を剣技と組み合わせて戦う剣士』を指すのだが、俺の場合、『魔剣を扱って戦う剣士』の事を指す。この地球上には、およそ五万人もの魔剣士が存在しているということだが、その九割以上が『魔法を剣技と組み合わせて戦う剣士』、通称『魔法剣士』と呼ばれる者たちだ。だから、俺のような『魔剣を扱って戦う剣士』、通称『魔剣使い』は非常に珍しい存在だ。だが、それは良い言い方だ。では、悪い言い方をしよう。俺は、魔法が使えない落第者だから仕方なく魔剣を扱っているに過ぎない。
ではなぜ、魔法が使えないと落第者と呼ばれてしまうのか、それは、魔剣に秘められた魔力と、魔法剣士が有する魔力では、魔法剣士の方が圧倒的に強力だからだ。
故に、魔法剣士と魔剣使いでは決定的な能力の格差がある。
だから、落第者なのだ。
ふと、俺は一本の魔剣を右手で握った。
魔剣『ヴァルキュリア』。
この魔剣は、『四神器』と呼ばれる、世界各地に散りばめられた、言わば神が生み出した特別な武器の、その一つである。
北欧神話では、主神オーディンの命を受けて、天馬に乗って戦場を駆け、戦死者から『エインヘリヤル』を選び取り、天上の宮殿『ヴァルハラ』へと迎え入れる役割を持った『ヴァルキリー』という戦女神がいたと記されている。
ちなみに、この『ヴァルキリー』という名前の語義として、『戦死者を選定する女』ということを意味している。
魔剣『ヴァルキュリア』は、その戦女神が愛用していたとされる名剣だ。
その剣は、柄は漆黒の革に包まれ、鍔は人の血、或いは真っ赤な薔薇よりも濃く鮮やかな深紅色で塗られ、その長く逞しい刀身は、神聖な輝きを内包しているような明るい黄金色だが、今は複雑な模様が描かれた同色の鞘に収められている。
本来この魔剣は、俺みたいな高校生が持っていていいものではないのだが、古宮家先代当主、つまり親父ーーー古宮迅ーーーが、母さんーーー古宮凛子ーーーと共に五年前に消息を絶つ前に俺に託したので、所有権は一応俺にある。一応という曖昧な言い方をしたのは、俺は未だに、実戦というものを経験したことがないからだ。まあ無論、自分の意のままに振ることくらいはできる。それに、この魔剣の『特性』も、親父から教わったことで既に知っている。
ところでこの魔剣の『特性』というのは、世界には多種多様な魔剣が存在するが、その各々(おのおの)が持っているもので、簡単に言えば『能力』だ。
その特性を発揮するためには、使用者自信が魔力をその身に有していることが大前提で、かつ魔力を『操作』できることが必要不可欠なのだ。まぁ、俺にもそのくらいはできる。
ちなみに『ヴァルキュリア』の特性は、《雷瞬破壊》という。この特性は、使用者の運動速度を極限まで引き上げ、かつ攻撃力を極限まで引き上げるという破格の代物だが、それ故に使用者の肉体へのダメージは相当のものだ。
そのため、今までこの魔剣を使った人達は皆、精神も体力もボロボロにされてきた。
だがそれも、古宮家がその魔剣を拾ったことにより、『ヴァルキュリア』による被害は減ったーーー否、消えた。
ではなぜ、今までの被害が嘘のように消えたのか。
この魔剣を使った人達は、皆魔剣使いではなかったから、ではない。
古宮家の人間が、『ヴァルキュリア』に認められたからだ。
まぁ認められたと言っても、『ヴァルキュリア』自体に感情があるわけではなく、『ヴァルキュリア』が『適正者』を選んだのだ。
そもそも魔剣というのは、自分に合った魔剣使い、すなわち『適正者』を選び、自分の主とするのだ。
その『適正者』というのは、魔剣に選ばれた存在であり、それと同時に、魔剣を使うことで生じる代償ーーー例えば『ヴァルキュリア』の場合、全身を文字通りボロボロにされることーーーを度外視して戦うことができる魔剣使いだ。
親父曰く、古宮家初代当主、古宮厳なる者が、魔剣『ヴァルキュリア』に選ばれた逸材だったらしく、その血を受け継いだ後代達は、必然的に『ヴァルキュリア』に選ばれ、そして俺に至っている。
だが、俺はこの魔剣を使う時が来るのだろうか・・・?
ということをぼんやりと考えていると、唐突に地下室の扉がガチャ、という音を立てて開いた。
その音で我に返った俺は、ようやくその存在に気付いた。
すると、その存在は、可憐な声を発した。
「あ、お兄ちゃん、やっぱりここにいた! って、またそれ持ってる」
「あぁ、玲那か。今何時だ?」
「もう十二時回ってるよ! 片付け手伝うから早く寝よう?」
「あ、あぁ、サンキュ。でも、片付けるものとか特にないから、今すぐ行くよ」
「え、そうなの? じゃあ、早く一緒に寝よう、お兄ちゃん!」
「分かったよ。・・・って、また一緒に寝れるのか・・・」
「? 何か言った?」
「あぁ、いや、何でもないんだ。じゃあ寝るか」
「うんっ!」
と、満面の笑みを俺に向けるこの女の子は、俺の妹だ。
古宮玲那。
肩甲骨辺りまで伸ばした髪を後ろで一つに結んだ紫の髪と、髪と同色の透き通った瞳に、若干小さめな体と可憐な顔が相まった、まさに美少女だ。
そして何より、性格が素晴らしい。
基本的に誰にも平等に優しく接して、結構世話焼きなところがあるので、通っている中学校ではかなり人気があるらしい。
だがそれだけではない。なんと、重度のブラコンなのだ。だからシスコンの俺にはおあつらえ向きなのだ、はっはっはー!
あ、いやはや大変申し訳ない。つい幸せな気分になってしまった。俺の悪い癖。
まあ要約すると、俺って超幸せ! なんです。
そんなことを考えていると、玲那が、
「お兄ちゃん、さっきからぼうっとしてるけど、どうしたの?」
と、顔に微かな心配の色を浮かべて言ってきたので、俺はすぐに思考を振り払い、
「あ、いや別になんでもないよ。大丈夫だから、心配すんな」
と優しく返した。すると玲那は「うんっ!」という元気な声を返した。
あの後俺は、魔剣『ヴァルキュリア』を元あった場所に戻し、玲那と一緒に二階にある寝室へと向かった。
俺は、寝室に着いて早々ベッドに横になり、溜息を一気に吐き出す。
「はあ・・・」
「どうしたの? 溜息なんか吐いて」
「なんか、色んな意味で疲れたからさ」
「じゃあ、私が一緒に寝て疲れを癒してあげる」
すると玲那は、大の字になっていた俺に抱きつくように上から覆い被さる。
つまり、何が起こるか容易に想像できたりしちゃうシチュエーションなのだ。
「ちょ、玲那、当たってるって!」
「ん? 何が当たってるの?言ってみてよ」
これには俺も言葉が詰まる。顔が熱い。
「・・・む、むむむ、胸が、当たってる」
「そりゃそうだよ。だって当ててるんだし」
「当ててんのかよ! それにしても、なんていうか・・・柔らかいな、お前の」
って、俺は何言ってんだ⁉︎
まあ、確かに玲那の胸は中二にしては些か大きいと思う。さらに、今初めて玲那の胸に(服越しではあるが)触れたが、結構柔らかい。
「え、そ、そんなこと、急に言われても・・・」
玲那が顔を赤くしている。こういうところも可愛い。
いや、ていうか自分から誘っといて照れんなよ。俺が照れたいわ。
「いや、俺は本当のことを言ったんだけど」
「⁉︎ ・・・じゃ、じゃあ・・・触ってみる?」
・・・え、ええ、ええええええええええ!?
いや、待て待て待て待て!それはさすがにダメだろ・・・って、なんでおもむろに服を脱ぎ始めているのかな玲那ちゃん?
おいおい、まさか生乳を触れって言うのかこいつは⁉︎
って、いつの間にもう下着だけになってるし! 玲那お前本気か⁉︎ 本気なのか⁉︎
「お兄ちゃん、顔赤いよ?」
と顔を真っ赤に染めた玲那が言う。
そりゃ顔も赤くなるだろ! だって生だぞ生!
「ねえ、触りたいんでしょ? 私の胸」
と言って、玲那はとうとう下着の留め具に手をかける。
これにはすかさず、
「いやいや待て! 俺たち兄妹だぞ⁉︎」
「私は大丈夫だよ?」
「いや俺がダメだ!」
「本当は触りたいんでしょ?」
「そりゃ触りたいけど!」
「じゃあ触っちゃえばいいよ!」
「触れるかバカ!」
「じゃあ触らせる」
「せめて胸枕にしてください!」
「え、いいの? やったー!」
ふう、これで収拾がついたぜ。危なかった!
まだ胸枕の方が、手で直接揉むよりマシだ。
「じゃあ、取るね」
「いや、せめて取るのはやめて!」
「・・・お兄ちゃんが言うなら、しょうがないか」
「あんまり残念がるなよ」
とりあえず頭を撫でて慰めてやった。すると、顔を少し赤くして微笑んだ。
ふと、俺は玲那の胸に目を遣った。
やはり、巨乳とまではいかないものの、中二にしては大きい方だろう。
それにしても、ガキの頃はよく一緒に風呂入ったっていうのに、不思議なものだ。今になって玲那の裸を見ると、なんだか恥ずかしくなってくる。なるほど、これが思春期ってやつか。
「それにしても、綺麗なおっぱいだな」
「口に出てるよ? お兄ちゃん」
「ぶふっ⁉︎ ま、マジかよ俺、妹に欲情するとかとんだ変態だな!」
「昔からしてたクセに、シスコンお兄ちゃん?」
「お前もブラコンだろ!」
っていうかこれ、お互いに言うことか⁉︎
ちなみに、今俺たちが寝転がっているベッドは、なんと二人用だ。
このベッドは本来、親父と母さんが使っていたものだが、五年前に二人して消息を絶ったので、今はこうして俺と玲那で使っている訳だ。
でも、親父と母さんは今、どこで何をしてるんだろう・・・
俺がそんな物思いに耽っていると、玲那が誘うように言う。
「ねえ、早く私の胸に飛び込んできてよ、エロエロお兄ちゃん」
「な、なんだよエロエロって。俺はそんなにエロくない!」
「だったら胸枕なんて言葉がお兄ちゃんの口から出る訳ないじゃん?」
「う、うぅ・・・」
玲那にからかわれるとは、何たる不覚!
ていうかお前も胸枕知ってんじゃねえか!
まぁ、大人しく胸に飛び込んでやるか。
「んじゃ、至高のふかふか枕で寝るとしましょうかね」
「お? やっとその気になったんだね!」
俺は意を決して、玲那のふかふか胸枕に飛び込んだ。
「んっ、もう少し優しくしてよー」
「ちょっ、変な声出すなよ!」
ひょっとして、感じたのか?
まあ何はともあれ、あとは寝るだけだ。
だが・・・
「やばい、気持ちよすぎて逆に寝れないかも」
「私も、お兄ちゃんの顔が胸に埋もれていると思うと、全然眠れそうにないよ」
「なあ、俺とお前自身に『催眠魔法』をかけてくれないか? 玲那ならできるよな?」
玲那は、魔法が使えない俺の実妹ではあるが、魔法剣士である母さんの血を多く受け継いだのだろう。魔剣使いである親父の血を受け継いだ俺とは違って、大抵の魔法はお手の物という訳だ。
「・・・うん。じゃあおやすみ」
「おやすみ」
俺は玲那の胸に顔を埋めているため、玲那の顔色は窺えなかったが、その声はどこか残念な色を帯びていた気がした。
すると玲那の口からは、ある呪文が紡がれていた。
「《眠りの妖精よ。汝、我と最愛なる兄に安らかな眠りを与え給え》」
その優しく可憐な声は、俺をひとときの眠りへと誘う。
だが、この優しい眠りは、後に俺の脳の淵に沈みかけていた最悪の記憶を呼び覚ますことになる。
この作品をご覧頂いた皆様。どうも初めまして、やましゅんと申します。
この度、興味本位でこの作品を投稿させて頂きました。
実は、僕が通っている学校の同級生に、すごく気が合って、趣味も合う友人がいるのですが、ある日その友人とラノベの話になり、やがてこのサイト、小説家になろうの話を向こうがしてきたのですが、僕は当時、このサイトを知りませんでした。
その友人は男子なのですが(期待しちゃった人、乙です!)、彼はこのサイトのユーザーで、もう14話を投稿した、なかなかの人です。
つまり何が言いたいかと言うと、僕は彼のお蔭でこのサイトに出会い、そして今回、この作品を投稿することができました!
なので、ちょっとしたユーザー紹介でした。いや、うすたくさん、本当にありがとう!
あと、作中に登場する魔剣『ヴァルキュリア』ですが、あれは、とある夢で見たのです。主人公がそれを振るっている姿を!
この夢があったからこそ、『ヴァルキュリア』の具体的な姿を、文章で表せたのかなと思います。
夢を見せてくれた誰かさん、本当にありがとうございます!
あと、北欧神話は、学校では習っていないので、ググりました。すいません。
というわけで、長文になってしまいましたが、一小説家としてこれからも頑張っていきますので、応援よろしくお願い致します!
投稿ペースバラバラになるかも。
やましゅん。