魔法
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ランキングに載ってみたいなー、なんて。
後、感想をお願いします。いつも思い思いに、悪く言うと手さぐりに書いているもので、どこをどうすればいいとかそういうのが全く分からないので、よろしくお願いします。
引っ越した先はこれまた辺ぴな村で、その村の中でも辺ぴな所にある家だった。その家は小さなログハウスで、もとは木こりの家だったらしい。
「じゃあ、俺は仕事に行ってくる」
「言ってらっしゃい、お父さん」
「おとーさん、いってらっしゃい」
姿かたちは違えど、中身は子供だった俺はどんどんと言葉を覚えた。その成果が先の言葉だ。初めて母の事を「おかーさん」と呼び、さらにその後に動詞を繋げた時の喜び様と言ったらものすごいものだった。具体的に言うなら、家が半壊するほどの喜び方だった。
父の仕事は、鍛冶は道具を売ってしまって出来ないため、今は木こり兼狩人をしている。龍の王が居るため、というかその婿であるからして、本来仕事などしなくても良いのだが、ゲインは良くも悪くも昔気質な人間だったため、働かない事を良しとしなかった。働かざる者食うべからず、だ。
「じゃあ、私たちはお勉強をしましょうか」
「おべんきょうするー」
ゲインが仕事に出かけてから、勉強をするのが日課だった。朝は言葉や一般常識の勉強、昼からは遊びという名の魔法の特訓だった。普通、生まれたての子供には魔法を教える事はしない。もしも、暴走した時の取り返しがつかないからだ。しかし、俺は普通の子供と違い、というか剣なので、魔法でも使えなければ少しも動くことが出来ない。
さて、ここで言葉の勉強の話をしてもつまらない所の話ではないだろう。なので、簡潔にまとめる事にする。この世界で一般に話されている言葉は共通語と呼ばれ、全世界共通の言語だ。これさえ覚えていれば、この世界でただ生活する分には事足りる。次に、魔法言語、ルーンとも呼ばれ、魔法を使う時にこれを使用する。魔法使いには必須の言語と言える。次に古代言語、別名エンシェントルーン、はるか昔の民が使っていた言語で、一字に複数の意味が有るなどかなり複雑な言語だ、その言葉の内包する力はすさまじく、その言葉より紡がれる魔法は山一つを消し去るほどのものもある。他に、動物たちが話す言葉があり、その中でも発展した言語もある。例を挙げるなら犬語や猫語など、ご多分に漏れず龍だけの言語、龍語がある。結局、長々と書くことになってしまったが、何が言いたいのかというと、俺はその全てを母より教えられたという事だ。今風に言うと、言語チート万歳だ。
チートつながりで言えば、俺の体は竜王の鱗、竜王の角、竜王の生き血から出来ているという事は始めに言っただろう。龍はその角で魔法を操り、その鱗は全ての魔法をはじき普通の武器では傷をつけられないほど強靭で、その血は無限の生命力を持っている。俺の体は、余すことなくその性能を発揮している。要は、まず傷がつかないほど頑丈で、しかも無限の魔力を持ち、しかも自動回復する、という、最強コンボである。その上、素材は龍の王である母の鱗と角と血だ。もはや、最強を通り越して最凶だ。
まぁ、今はそんな俺TUEEE自慢は置いておく。後でいくらでも語る機会はあるだろう。
話が大分ずれたが、今は魔法が要点だ。魔法には無、火、水、風、土、光、闇の基本七属性に加え、今はもう殆ど失われてしまったなってしまった、時、空間、の全九属性がある。母はチートなので、その全ての属性を扱えた。が、俺が一番初めにならったのは無属性だった。無属性魔法というのは特殊で、どの属性にも分類できない魔法の事を無属性魔法と呼んでいる。一時は、冒険者たちが使っている冒険者バッグに掛かっている空間魔法でさえ無属性魔法に分類されていた。その中に、物を動かす魔法というものがあり、俺はそれを特訓していた。
「さぁ、今日はついに!!自分を動かすわよ!!」
「わーい!!」
母に言われた通りに、魔力を練り、昨日まではリンゴに対して行っていた事を自分自身に行う。
「あ・・・」
浮いたと思った瞬間、集中が切れてしまい直ぐに床に落ちる。気を取り直してもう一度行う、魔力を練り、自分にその魔力を向け、見えない手で持ち上げるイメージを魔力に与える。
「・・・やった・・・やったー!!」
「うん、よくやったわね!!ムーちゃん!!」
「やったー!!おかーさん!!やったー!!」
このころの俺はまだ純真無垢なちびっ子である。出来たことが嬉しくて、色々なことを試してみる。一度できたら早いもので、直ぐに部屋中を飛び回れるようになった。
ガシャン!!
「あ・・・」
「そのツボ・・・お母さんのお気に入りだったのに・・・」
始めて俺に雷が落ちた日だった。