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71.小ネタ集4

==バックアップ その1


「じゃあな、依頼来るといいな」

「大きなお世話だっつーの」「またお会いしましょう、栄司さん」



「完全に栄司君、探偵局に馴染んでるわね…」

「本当ですね。それにしても、ちょっと栄司さんが羨ましいです」

「え、どうして?」


「栄司さんって、自分のバックアップが何千人もいるし、それに今も新しく造れるんですよね…凄いなぁって」

「えー、でもそれなら私だって、ねー」

「うんうん、私も自分の数いっぱい増やせるわよ、ケイちゃんだってそうでしょ」

「でも局長や蛍は普段は一人ですニャー。そこが違うんじゃニャいですか?よく分からニャいですが」

「ブランチ先輩の言う通りですね。栄司さんの場合はいつも他の栄司さんがいるから、自分が忘れても他の自分が覚えていたり…」

「確かに、栄司さんの増殖能力の使い方は情報の保存としてはある意味理想的な姿かもしれないですね」

「そうよね、デュークの言うとおり…ってどうしたの?」

「いや、でもいくら覚えていてもそれに頼ってばかりじゃよくないと思うのよね…」

「あれ、どうしたんですか局長?」

「…あ、そうか…ミコのような…」

「うん、嫌な予感が…」


「「お邪魔するぞ!」」


「わわ、ビックリデスニャ…」「栄司さんが今度は二人…」


「さっき俺と同じ服着た俺来てなかったか?」「こういうスーツ着てる俺だ」

「え、えーとさっきここで煎餅食べてどっか行っちゃったけど…」

「2、3分前ですね」

「「分かった、感謝する」」


「…何があったんですかニャ…?」

「案外局長の予想、当たった気がしますね」

「え、どういう事ですかデューク先ぱ…あれ、外から声が…」

「栄司の声ね…ちょっと行ってみましょ」

「?」



「ああん、誰が忙しいからバックアップ作って仕事任せたって?」「煎餅食って何が忙しいんだおい」

「うるせえな、お前らだって俺と同じ記憶持ってるなら面倒なの分かるだろ!」

「「だったら俺に押しつけるな!」」「うるせえ!」


「…うるさいのはこっちよ…」

「なるほど…バックアップばかりに頼るとこうなっちゃうんですね…」

「ね、だから言ったでしょ…自分に頼ると前のミコみたいになっちゃうって」

「分かりました…。それにしてもいつになったら終わるんですかね口論…」


「…あれ、ちょっと待って下さい!」

「「「ん、どうしたデューク」」」

「そこの二人の栄司さんたちにお聞きしますが…その面倒な仕事の方は今誰が…」

「「…」」「図星かおい」

「あのデュークさん、また下から声が…」


「「「「「おいお前ら早く戻ってこい!」」」」」



結局その後5人の栄司に加えて外で待ち構えていた十数人の彼によって、サボる気満々だった三人は連れ去られたらしい。


「ニャるほど、バックアップに頼り過ぎはよくニャいですニャ。ところでバックアップってニャんですニャー?」

「察しなさい」



==バックアップ その2


「…あれ、どうしたんですかブランチ先輩、空を眺めて…」

「どうせ雲が骨付きチキンに似てるとかそういう事でしょ」

「違いますニャ!最近は人間のあいだで雲が流行ってるって聞きましたニャー」

「え、何よそれ」「私も聞いた事無い」

「えー、だってこの前ドンさんの会社も観察始めたって言ってましたニャ。テレビが嘘ついてるんですかニャ?」

「…ああ、そう言う事か!ブランチ、確かテレビでは『クラウド』って言ってなかったか?」

「そうですニャ。蛍が前にクラウドっていうのは海の向こうでは雲の事だって…」

「すいません、ブランチ先輩!テレビで言っている『クラウド』はそういう意味じゃないんです…」


「え?」「え?」「え?」


「…恵局長…二人とも前に教えたじゃないですか、クラウドの意味…」

「忘れた☆」「えへへ☆」

「局長…」


======


「ひええええええ凄いですニャアアアアア!!」

「ブランチ、驚きすぎよ…」「これくらい常識なんだから」

「何が常識ですか、数行前に忘れたって言ってたじゃないですか!」

「お、落ち着いてください…。ともかく、ブランチ先輩もこれで分かりましたか?」

「エッヘン、納得だニャ!つまりみんなの色んな情報をインターネットに入れちゃうんですニャ」

「そう、今まではパソコンや携帯電話のようにそれぞれの中に保存していた情報を、一つの大きなサービスに入れてしまうんだ。そうすれば容量も取らないし、いつでもどんなものを使っても見れるようになるという事さ」

「正確にはこのようなものを『クラウドコンピューティング』っていうそうですね。昔からこういうネットワークの向こう側は雲で表されてたって聞いた事があります」

「でも、そんなネットワークに入れちゃったら秘密がみんなにばれちゃうんじゃニャいですか?」

「大丈夫、ちゃんとそういうのは分類されているからね。企業の中だけで見る事のできる空間や、皆が見て楽しめる場所、しっかり区分けされているから心配は無いよ」

「ほー、良かったですニャー局長、遅刻記録更新がクラウドの中で笑い物にされニャくて」

「「うるさい!」」


「…でも、今気付いたんですけど探偵局はそういうクラウドの中に入っていないんですか?情報の保存とか…」

「何言ってるのよ蛍ちゃん…うちには生きたクラウドがいるでしょ?」「そうそう、いつでもどこでも情報を取りだせる、ね?」

「生きた…あ、そうかそういえば…」

「ニャハハ、デューク先輩は色んな情報が満載なのニャ」

「ま、まあ局長やブランチの言うとおりだけど…でも、念のために探偵局の情報は僕とは別にしっかり保存している」

「え、どうしてですか?先輩ならどんな情報でも…」

「それなのよ、私も最初思ってたけどよく考えてみて」「デュークがもし偽者に連れ去られたら、情報が全部無くなっちゃうでしょ?まあ私の遅刻記録は消えてもいいけど」

「駄目ですよそれは…。つまり、この世に絶対は無いと言う事。例えロボットでもミスは絶対に起こる。僕やみんなのように人間が管理するならなおさらさ」

「ニャハハ、その通りだニャ!うっかりドンさんやエルさんの油揚げを全部食べちゃったようにミスは誰で…あ」



「…デューク、この情報はしっっかりと保存しておいて」「バックアップも当然取っておいて」

「ブランチ先輩…見損ないました…」

「ニャー!飯抜きだニャんて酷いですニャー!」

「貴方は空に浮かぶにぼしでも食べてたらいいじゃない」「ねー」

「ひーん許してくださいニャー!」


「…局長も、自分の事は棚に上げないでくださいね…。

 皆様も、大切な情報はしっかりとバックアップを取った方がいいですよ。この世に永遠は無いですからね」


==バックアップ おまけ


「オヤ、くりす捜査官、何ヲ書イテイルンデスカ?」

「あぁロボットさんでしたか。デュークさんから本日の報告が届きまして、整理している所です」

「のーとニ手書キ…ぱそこんハ使ワナインデスネ」

「いえ、しっかりパソコンにも打ち込んでおきました。後でロボットさんもインプットお願いしますね」

「了解デス。ハアナルホド、イザトイウ時ニ備エテ…」

「いえ、確かに情報のバックアップと言う面では紙が一番有利な情報媒体です。でも、一番はこうやって自分の手を動かした方が、しっかりと私の頭の中には情報が蓄積される、という所ですね」

「脳ノ神経ヤ頭ノ記憶ちっぷノ中ニデスカ?」

「ロボットさんのコードにあたるのが、私たち人間の腕であり脚、筋肉です。やはり指だけではなく手の全体を動かさないと、記憶には残りにくいですから」

「偉イデスネ、昔ノ教エヲシッカリ守ッテイル」

「私の家は、少々古風な所がありましたからね。あ、ロボットさんも記録完了しましたか?」

「ハイ。…トコロデ捜査官」

「どうしました、そんなに私のノートを見て…」

「イ、イエ…私ノ内蔵ちっぷニモ記録ガナイ珍シイ暗号デシタノデ。コレモとーり家ノモノデスカ?」

「…あ、あの…これ、日本語…なんですけど。これが平仮名で、これが…」


「…捜査官…コノ『め』ノ字ハドウ見テモ『ね』ニシカ見エマセン…ソレニ『目』デハナク『口』ニナッテマスヨ。ドオリデ文章ガ繋ガラナイト思イマシタ」

「え、そうですか?私はちゃんと読めますが」

「あしすたんとノ私ガ読メナイト意味ガ無イ気ガシマス」

「うーん…仕方ないですね、今日も平仮名を書く練習をして帰りますか…」

「昔ノ文化ノばっくあっぷヲ残スノハ大変デスネ…」

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