表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/200

42.ツインテールの逃亡者・2 / シークレットレスキュー・1

《シークレットレスキュー》


少しだけ未来。


一人の女性が、過去へ旅立とうとしていた。桃色の長髪をたなびかせる彼女は、既に準備を整えていた。

本当に行くのか、隣にいる二人の男性が年を押した。その隣で、心配そうに一人の少女が見守る。


「俺がついていかなくて…大丈夫なんですか?」


まるで男性を思わせる口調で話す茶髪の少女に、ピンク色の髪の女性は心配いらないと答えた。

彼女は決意していた。確かにあの「自分」が全ての元凶であり、憎むべき存在かもしれない。だが、それでも彼女は知りたかった。自らを生み出した存在が、どのような人物であったのかを。そして救いたかった。あの時、天からも身放されかけた命を。罰は十分に当たったはずだ、その信念が、過去への旅を決意させた。


「確かに『オリジナル』からは大丈夫だってお墨付きは来たけど…」

「念のため、あんまり過去をいじらないようにお願いっすよ」


ピンポイントで時空移動をさせる事で、彼女の近くに立つ二人の男性はタイムパラドックス…過去改変を最小限に抑えるつもりだ。

普段は真面目だが、思い立ったが猪突猛進。彼女の「オリジナル」が、彼女ほどの年齢で財閥の事業の多くを納めていた理由が、分かった気がした。


「それじゃ、『コウちゃん』に『ちー君』、ちょっと行ってくるね!」

「行ってらっしゃい、局長」「頑張ってくださいですワン!」


名前を呼ばれ、一人の少女と一つの「犬の玩具』」は、優しい声で彼女を後押しした。

そして、二人の男性を従えて、桃色の髪の女性―丸斗蛍―は旅立った。


========================================

========================================


《ツインテールの逃亡者》


現代…


相変わらず暇な丸斗探偵局。ここ最近の依頼連続と言う状態は結構珍しい状態であった。しかしいくら暇でも物がなくては戦が出来ぬ。そこで、以前のアルバイトで稼いだ金を元手に、今日は町でたっぷり買い物をする事にした。分身して町に繰り出し、我らが増殖探偵丸斗恵は、荷物運び兼助手を引き連れて商店街でいっぱい買い物を楽しんだ。例によって、数名ほど青髪の同じ顔の男と遭遇したのは言うまでもないが。


その帰り道。


 「局長…三人一緒に歩くのはよした方が…」


助手のデュークが心配するのは無理もない。一寸違わない三人の美女(自称)と、それを引き連れた長髪の美男子(無自覚)が一緒に歩けばそれは周りの注目の的である。確かに増殖能力は人々の眼を欺くと言うが、こんなにたくさん集まってしまうとその効果は無きに等しい。


 「「「気にしない気にしない!」」」


しかし、当の局長の方は、手に品物を抱えてお気楽である。…勿論、それは買ったもののほんの一部で、大半は荷物運びこと助手が持っているのだが。


…と、その時。


「え、きゃぁっ!」


角から何かが飛び出し、局長にぶつかってしまった!ごめんなさい、と謝罪したのは一人のツインテールの少女であった。桃色の髪が、恵の眼に強い印象を与えていた。

しかし、彼女はそのまま急ぎ足で走り去ってしまった。


「なんなのよ、手伝いもしないで…」「「ねー」」

「まぁまぁ。あ、ありがとうございます」


周りの人に手伝ってもらいつつ、不満たっぷりの局長を抑えるデューク。それから少し歩き、人通りの少ない道に入った時、彼女らを呼びとめる声があった。振り向くと、そこにはふわりとした髪型をした一人の女性がいた。ラフな格好が目立つ休日にそぐわないOLスーツ姿だ。人を捜しているという彼女。見せた写真は、先程ぶつかった少女に良く似たものであった。

場所を教えようとした恵たちだが、その女の瞳に、何かを感じ取った。


「ごめんなさい…」「私は見てないですね…」「私もです」


これも探偵のカンと言うものだろうか。同様に答えたデュークも、時空改変を行う事なく同じ事を察知していたようだ。二人の答えを受け、女性は礼を言って立ち去った。


探偵局に戻って来た頃には既に時刻はもう夕暮れ。ブランチは夜の散歩に出かけ、栄司らが来る予定もない。そんな中で、さっそく買ってきた服を試着する恵。何人も局長が並ぶ姿はまるでファッションショーだ。仕事と何ら関係もないその姿に呆れつつも、目をそらす事の出来ないデュークであった。


と、突然ドアのチャイムがなった。慌てて片づけ、一人に戻る恵。何度もなるチャイムの音を聞くと、どうやら向こうも慌てているようだ。錠を外した、まさにその瞬間であった。


「た…助けて下さい!!」


…必死の様相で飛び込んできたのは、先程の少女であった。


========================


デューク特製の緑茶を飲む少女。時空改変で一流の茶師になったデュークが、先程時を止めた部屋の中でこしらえた逸品だ。


「さて、だいぶ落ち着いたかな?」


突然潜り込んで申し訳ない、と語る少女。まだ周りに怯えているようだが、そこは探偵局。助手の笑顔で、少しだけだが緊張が癒えたようである。

服装は同年代の…ちょうど高校生くらいのものにしては失礼だが、見た目からして古く、ボロボロである。かなり遠いところから逃げて来たのではないか、と恵は推測した。名前を聞こうとするも、彼女は口を詰むんで言わない。デュークが彼女の額に触れ、記憶を探ろうとしたが局長に制止された。当然だ、相手が嫌がっているものを無理やりする事など探偵失格である。

依頼人をもし今帰したら、大変な目に遭うのは間違いない。ということで今夜は恵と一緒に過ごす事になった。


「で、でも私…」

「いいのよ、困った時はお互いさま、この国の文化よ」


それに、頼もしい助手や部下もいる。自分たちに助けられた事を誇りに思ってほしい、と局長は力強く言った。



そしてその夜。


「お風呂入ったわよー!」


恵の家に、その少女は泊めてもらう事になった。このまま探偵局にいても寒いだけと言う事もあるからだ。しかし、女性同士の風呂も格別だという彼女の言葉を、その少女は断った。一人で入りたい、と告げたのだ。


「ちえっ…まぁいいか、お客様ファーストでお先にどうぞ」

「あ、ありがとうございます…」


そのまま先に入る少女を、恵はのんびり待つ事にした。普通こういう状態になった時、恵局長はその能力で分身し、数人の自分同士で会話をしながら暇をつぶす。独り言を言っているのとあまり変わらないのだが、それでもあまり寂しくは無い。ただ、今回の場合は例の少女を驚かせてはならないという事を考え、分身を避けて一人でテーブルにもたれかかって待つ事にした。デュークが見た時は非常に汚かったと言う彼女の部屋だが、あの時一瞬で綺麗になって以降は、自らが大量に分身する事も考え、部屋はしっかり整理されている。床面積をなるべく取るため、壁かけを有効活用している形だ。


(…うーん…単に一人で入りたいから避けた訳…じゃないよね?

  …うん、きっとそうだ!決して私に呆れたからじゃない、うん!)


…まさしく探偵のカンが働いていた。

衣服を脱いた少女の背中には、いくつもの傷が塗りこまれていたのだ。悪夢からの逃亡の中で、体に刻み込まれた傷だ…。


※今回のシリーズに関しては、わざと読みにくいような進行にしております…。一応この後の展開の伏線的なものも含んでおりますので、ご了承ください…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ