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39.ツイン・トーク / 登場人物解説・6

「お疲れ様、デューク」

「はい、ありましたよ、局長の大好きなこれ」

「ありがとー!このジュースなかなか無くてずっと探してたのよ」

「近所のコンビニやスーパーに一切無くて苦労しましたよ…というかまさかこれがない原因って…」

「な、なんかさこういうのって久しぶりだよね!ね!」

「…やっぱり局長の自業自得でしたか…」

「だっておいしくて病みつきなんだもん」

「もう止めてくださいね…」


======================


「でも局長の言うの通り、二人だけでいるのも久しぶりですね」

「ブランチは外で仲間たちと昼寝してるみたいだし、栄司は相変わらずうろちょろと…」

「栄司さん、結構いい人ですよね。皮肉は多いですが」

「ストレス溜まってるのよ、結構重役とかも多くやってるみたいだし。

 ま、良い具合に発散出来てるんじゃない?私たちを使いすぎな気もするけどね」

「はは、そうかもしれませんね。

 …僕たち二人で始めたこの場所も、いつの間にか色んな人が協力してくれるようになりましたね」

「確かにそうよね。私があそこでデュークと出会わなきゃ、こんな事になってなかったもん」


「局長はあの時から探偵を目指していたんでしたっけ」

「ま、まぁ…探偵なりたくて後先考えずにこの街に来ちゃったからね。どうしようか悩んでた時に、助け船が来た訳よ。びっくりしたもん、大丈夫かって言ったら傷口すぐ治っちゃったから」

「しっかり説明するよりはこうやって見せた方がいいかなと思いまして。あれだけ腰を抜かす人、局長くらいですよ」

「誰だって驚くわよ…理由説明してくれなきゃ。まぁ最初はちんぷんかんぷんだったけど」

「そうですか?何でも出来ます、って僕は…」

「それよ!逆にシンプル過ぎて信じられなかったのよ。私の家であんなことこんな事してから私もよーやく納得したんだけどね」

「相当汚かったですからね、局長の家」

「うるさい。でも一瞬で綺麗にしてくれたんだもんね、デュークは。お陰で私も助かった、ありがとう」

「どういたしまして…と言いたいのですが、分身出来るのに片づけなかったんですね」

「そういうものなのよ、普通の人は。散らかってると片づけ方が分からなくて詰んじゃうの」

「局長も普通の人では無い気がしますけどね…」

「まあね、分身出来るって堂々と言えたのデュークが初めてだし。あんまし昔の事は思い出したくないな…」

「あ、すいませんつい…」

「いいのよ、今が結構楽しいんだから。


 それで、探偵局を今の場所に…」

「さすがに、女性の家を本籍地にする訳にはいきませんからね。ちょっと過去をいじって空きビルを作成しました」

「やっぱりあの時過去をいじってたんだ…。栄司が突っ込む訳だ…」

「土地税とか持っていかれそうでしたからね…。大家がいないって分かった途端にその話に…」

「結構私の能力って凄いんだな…」

「ある意味、僕の上司にふさわしい能力ですよ」

「…ずるい、頭なでられると怒る気失せる」

「すいません、恵局長」

「というか、基本的にこの探偵局の内装はデュークがやってくれたのよね。一晩どころじゃなくて一瞬だし。そりゃ怒る気も失せる訳か…」

「いえ、気に言って頂けたようで嬉しいです」


「最初の依頼ってなんだっけ…」

「えーと…もう一回資料調べ直しますか?」

「え、デューク覚えてないの?…そ、そんなに落ち込まなくてもいいって」

「す、すいません…でも、あれは覚えています、初めて局長を未来人の犯罪に巻き込んだ時の…」

「あれね、郷ノ川のおじちゃんと初めて会った時の。デューク、マジで殺し屋の眼になってたわね…」

「う…僕とした事が、あの人の力を勘違いしていたとは…」

「正直未来人うんぬんよりも私そっちの方に慌ててたわね…。マジ殺しするんじゃないかって」

「局長、初めて会ったのに彼の事を信じれたのがちょっと羨ましいです…」

「当然よ、私を助けてくれたんだから。タイムスリップを無理に使うデュークの方があの時はやばかったんだから…って仕方ないか、慣れてなかったもんね」

「今思うとやっぱり恥ずかしいですね…どうして局長を奪うなんて思ってしまったんですかね…」

「ま、慣れてない頃だから仕方ないわよ。今となっちゃ、信じられないけどね」

「まああの頃は僕も若かった、と言う事ですかね」

「あの時って確かまだ時空改変のプログラムってイマイチだったんだっけ」

「そうですね…今と比べるとまだ修復が終わってなかったと言う感じです。出来そこないの連中と同格くらいにまで壊れてしまっていましたし」

「随分必死になって未来から逃げてきたのか…」

「はい…でもお陰さまで、今は完全に修復しましたし、局長たちと話してるうちにさらに機能も良くなりました」

「…え、じゃあまだ能力が…」

「ええ、一応生体と同じようなナノマシンで出来てますので、もっと上がる可能性も…」

「どんだけ凄いの貴方…」

「いえ、決して凄くはないですよ。小説を読んで下さる皆様のように、僕も色々な知識を得ているだけですから」

「そういうものかしらね…」

「た、多分…」


「で、話し戻すけどミコとの出会いはそのすぐ後よね、盗聴の時」

「まだあの時はそれに関する知識が乏しかったですので、ミコさんには大いに助けてもらいました。局長も、すぐに意気投合したようですね」

「まぁね、あの時は結構気さくな人だと思った訳よ。まさかあんだけ大飯ぐらいでぐーたらで怠け者でねぼすけな人だとはね…」

「それ、まるっきり局長じゃないですか」

「…本当の事言われると傷つくという知識も早く身に付けなさい」

「お断りします」

「デュークのゴキブリ」

「何でですか…」

「後ろ姿が似てるから」

「ひどいですよ…」


「でもさー、デュークのいる未来って結構大変みたいね」

「どうしてそう思うのですか?」

「だってそうでしょ、妖怪もいなけりゃ妖精もいない、ついでにサンタさんまでいないとなりゃ夢も希望もありゃしない…」

「信じている人も一握りはいますけどね」

「大人って結構そういう夢物語に走りがちっていうけど、随分変わったんじゃない?」

「そうですね…夢物語が、科学至上主義に変わってしまったと考えて頂ければ。

 タイムマシンなども完成していますが、技術が一つ進む度に神は消えて、科学が新たな信仰材料となっているんです」

「ややこしい…結局神様信じてるのと一緒ってことじゃん?」

「そうなりますね、犯罪者が殺気立ってるのもそれが影響でしょう。結局今となんら変わらない、イライラがつのりがちな社会ですから」

「技術が進んでもやってる事は同じって訳か…。


 …あれ、どうしたのデューク?」

「いえ…言うかどうか悩んでたんですけど…」

「えーどうしたのよあなたらしくない、過去の事はきっぱり言いなさいよ、楽になるし」

「だから局長、自分に跳ね返る言葉ばかり言わないでください…」

「私は局長だからいいの」

「酷い理屈ですね…。ま、局長だからいいのですが…。

『完全人間プロジェクト』…って言うのは…まだ言った事ないですかね」

「うん、聞いた事ない。完全人間?色んな事が完璧みたいな?」

「そうですね。ちょうど今で言うデザイナーベビーのようなものと考えて頂ければ…」

「芸術系の赤ちゃん?」

「…赤ちゃん側が作るんじゃなくて、赤ちゃんをこちら側が創るんですよ。遺伝子操作を駆使して」

「あー、それ聞いた事ある!なんかテレビでやってたやつでしょ、色々いじって滅茶苦茶強いの作るとか…何よその顔、仕方ないじゃない、内容説明してくれないと…」

「さっき言いましたよ僕…局長の考えで合ってるって…」

「メンゴメンゴ…。で、それ本当に未来の人がやっちゃったわけ?」

「正確には、一部の人類至上主義者ですね。地球のあらゆるものは、人類のために有る。人類こそ地球の覇者だ、っていう…」

「馬鹿ね。」

「そうですね。」

「そいつらが、勝手に始めたって訳か…」

「はい、人間の遺伝子研究も今よりはるかに進んで、どこをどう改良すればより良い結果に結び付けられるか、それすらも全て解読されていたんです」

「それで、その最強な赤ちゃんを作って…どうするつもりだったの?」

「そのままずっと実験室に入れて、一生を監視するつもりだったのでしょう。どんな反応を見せるか、どんな仕草を見せるか」

「うわ…酷いわねそれ…。ハムスターとかだったら全然酷くないと思うのに…」

「いえ、彼ら実験動物よりも悪いでしょう。あくまで彼らは実験動物ですが、尊厳はしっかりと与えられて愛情をこめて育てられています。ですが、彼らは全くそう言う事はなかったそうです」

「さいってーな科学者たちね…。

 …ちょっと待って、まさかデューク…」


「そのまさかは何を表しているのかは分かりませんが、多分どちらかでしょう。

 何故僕がそれを過去形で言ったのか、局長なら分かるかもしれません」

「…そいつら、全員…」

「『完全人間プロジェクト』は、頓挫しました。実験体もろとも、所員が全員消え去りましたから」

「…誰かから依頼された、とか?」

「この実験を潰そうと企んだ側からの依頼でした。ま、どちらとも欲に駆られた形でしたけどね」

「ライバルか…。

 実験体のその子供も…」

「…恨まれるでしょうね、永遠に。というより、恨むと言う心すら知らないままかもしれません。とにかく、その対象は僕である事は…」

「…過去は振り返るな、私はそう言ったけどね、デューク」

「…はい」

「さっきのように絶対に忘れちゃいけない過去だってある。だけど、その過去があってこその自分じゃない?」

「…そうです…そうですが…」

「じゃあ聞くけど、なんでその事実を今まで消そうとしなかったの?私にばれるから、って言うのは無しよ、ずっとこの事知らなかったんだから」

「…」

「デュークの時空改変能力が凄い事になってるのって、これじゃないかな。過去の過ちを受け入れて、それをしっかり直す。これが出来る人って、現代でもそうそういないのよ。

 やっぱ貴方、凄い人じゃん」

「…局長も、自分に言い聞かせてるみたいですね」

「…悪いけど、デュークみたいに凄くないから」


「…ありがとうございます、恵局長」

「いいって、こっちこそ、サンキュー、デューク」


================


「駄目です、もう我慢して下さい」

「えーケチー」「ケチー」「ケチー」

「三人に分身してもジュースは出しません!局長が街中の全部飲むからいけないんですよ」

「「「だって無いんだもん…ケチ」」」

「ケチで結構です!」



「相変わらず意地汚いな、あいつ…」

「ふつつかものの局長で申し訳ニャいです、ぺこり」

≪登場人物解説≫


・有田栄司 / ♂

 丸斗探偵局の協力者の一人。青色の短髪と童顔が特徴。

 傲慢、自分勝手、我がまま、意地悪と文字通りネガテイブな要素が形を成したような性格。基本的に自分の利益を中心に考える非常に利己的な考えの持ち主だが、それが転じて仲間意識の大事さをしっかりと認識している結果にもなっており、紆余曲折を経て探偵局の面々を時に利用し、時に協力する間柄となっている。似た者同士のミコや恵との言い争いも日常茶飯事。その一方で時に損益を超えた優しい一面を見せるが、あくまで冷静さの結果だと本人は言い張っている様子。

 丸斗恵局長と同じ「増殖能力」を持っており、自分の数を際限なく増やすことが可能。数が多くなると周りの人からの区別を麻痺させるという副作用を利用し、常に数千数万もの彼があちこちで様々な職場に就き、裏で情報を操ったりしている。時に自分同士で機密情報を横流しすると言う事態を起こすが、本人にはまったく反省の気持ちは無い。ただし本当に重要な秘密に関しては非常に口が堅い。

 過去に姉が一人おり、栄司と同じ増殖能力を活用して過ごしていたが、ある日何者かに命を奪われてしまったと言う。

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