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21.デューク・マルトの正月報告 前編

皆様、新年明けましておめでとうございます。丸斗探偵局で助手を務めております、デューク・マルトです。

この小説を読んで下さる方が多いようで、登場人物である僕としても非常に嬉しい次第です。局長も最近はずっとこのページにアクセスしては閲覧数で一喜一憂している毎日ですね。…お察しの通り、あまり仕事は無いです。


さて、前回の話まで毎日更新をしていたのですが、ここ最近はずっと止まってしまっていて、作者に変わって僕がお詫び申し上げます。と言いますのも、正月にあった事例に関しての整理や大掃除が終わらなくて、それで皆様への報告が遅れてしまったというのが理由です。今回はお詫びも兼ねて、正月に起きた話を皆様にご紹介いたしましょう。


前回の話で、レナという少女が局長にかくまわれたのは覚えておられますでしょうか。サンタさんを信じ続けていた彼女ですが、その思いが歪んでしまい、そのトナカイを誘拐する事態になってしまいました。しかし、彼女の思いをサンタクロースの奥さんは決して身捨てる事はありませんでした。勿論悪い事をした分のお仕置きはあったようですが、レナの夢である「クリスマスプレゼント」はしっかり彼女の元へと届けられました。


お恥ずかしながら、僕には「時空改変」…そうですね、皆様に分かりやすく言うと「全知全能」という能力を持っていまして、ありとあらゆる…例えば太陽を西から昇らせて東へ沈ませる事も可能です。局長に証拠を見せてほしいと言われてやった事なんですけどね。でも、僕は神と呼ばれるのはちょっと苦手です。神様と言うのは、僕のように誰かの部下になんてならないですからね。それに、サンタさんは僕の力を遥かにしのぐ存在でした…おっといけない、話がそれてしまいましたね。


それで、あの話の後、僕たちは2012年の幕開けをレナと一緒に過ごす事になりました。テレビで和尚さんがうっかり転んでしまったのを見てしまったり、年越し蕎麦が少しのびたり、色んなハプニングはありましたが、未来からの訪問者であります彼女は楽しんでいたようです。…まあ、僕は楽しむと言うより、変な気分でしたね…。局長命令で、二人にされてしまっていましたから。サンタの奥さんに連れられた僕と、局長について行った僕。あの後三が日はずっと僕が二人という変な状況でしたね…。局長はいつも何人も分身してますから気にならないですが、いざ自分の番になると緊張するものですね。明日は我が身、です。


ちょうど皆様に説明したい事例が起きたのは、その新年の朝の事でした。

せっかくの信念と言う事で、もう一人の僕と相談して一方は着物を着て、先に外出する事にしました。僕の持ち合わせの服は今着用しているこの燕尾服と言うらしいものしかないのですが、本などの資料を参考に時空改変で作ってみたんです。それで朝のパトロールに出かけた時に、ドンさんとエルさんに出会いました。

…あ、そうか。すいません、局長に言われて気付いたのですが、まだ皆様に名前を言っていませんでしたね。このドンさんとエルさんと言いますのは、以前投稿されました狐の嫁入り話に登場した夫婦のお名前です。ドンさんが旦那さんで、エルさんが奥さんです。今は人間として、社会にまぎれて平穏に暮らしていると言う事です。時々僕たちの探偵局に油揚げを持ってきてくれて、それがとても美味しいんですけど、それはまた別の話に…。


この二人から、あの朝から感じていた嫌な予感が何かを聞いたんです。僕…両方の僕ですが、何か悪い事が起きると感じて、目が覚めてしまったんです。どうも「賽銭泥棒」というものが起きるんじゃないか、という感じですね。それを説明した所、夫婦のお二人も快く調査に協力してくれました。後で聞いたのですが、このお二人の親せき筋にあたる狐の方がお世話になっている神社がありまして、そこが被害を受けてしまったと言う事だったらしいですね。それで探している間に、もう一人の僕の方も局長やレナたちと一緒に初もうでに行く事にしました。こちらは後で説明しようとも考えたのですが、ちょうどもう一方と合流しましたので、その時に一緒に…。


当然局長は怒っていましたね。神様や神社のために皆が渡してくれた大事なお金を盗むなんて許しがたい行為です。ですが、時空改変でそれを止めればいいのではないか、というレナやブランチの意見には僕は反対しました。それでは相手の意志で反省した事にはなりません。例え僕がそう仕向けたとしても、それは犯人とは違う別の存在からの意志が干渉していますからね。

それで探そうとした時に、僕の所に連絡が来ました。


レナ同様、僕も未来から諸事情でこの時代にやってきている存在なのですが、その諸事情の関係で時空警察の皆様とはちょっとした顔なじみになっています。以前の依頼でストーカーを退治した女性の子孫がその一人、クリスさんという名前なのですが、彼女からこの事件の犯人の情報が来ました。ある意味予想通りでしたね…犯人は、僕たちと同じように未来から逃亡した犯罪者でした。あちこちの貴重な金品を様々な時代から盗み、未来の市場に売る。皆様で言う転売屋を、さらに悪質にしたものと言ってくだされば結構です。


…ただ、それをこのタイミングで言ってしまったのは少々まずかったかもしれません。僕は別に大丈夫ですが、問題はレナでした。彼女は未来世界からすると、違法なタイムスリップ技術を使用した「犯罪者」です。ブランチが言った、犯罪者ならすぐ捕まる、という一言もあるかもしれませんね…。その場から逃げだしてしまいました…。これは彼女の責任もありますが、僕たち探偵局も不用意な発言をした責任があります。決して時空改変をするつもりはありません。そしてこういうタイミングで、また賽銭泥棒出現の一報が僕の中に入ってきました。ただ、人数が多かったのが幸いしましたね。和服は動きにくいので局長側に、燕尾服…いつもの格好の僕が、レナを追いかける事にしました。


それから…え、局長?


…皆様、すいません…ちょっと局長に頼まれてお買い物をする事になってしまいました。外は寒いそうですので…。自分で行けばいいのではないかと一応言ったのですが、助手の仕事だと返されてしまったので、今から行こうと思います…。相変わらずですよね、局長は…。まあ、僕も黙っていませんよ、安物を買って局長を叱らないといけませんし。


それでは、続き…と言いますか、後編はまた後日皆様にお伝えしましょう。それでは、一旦失礼いたします。

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