145.消滅
≪AM 8:00≫
ふぁああ…なんか寝不足気味…。
「でも局長、ついにやりましたね!僕より早く起きるなんて思いませんでしたよ」
ま、当然よ。そう簡単に寝坊や遅刻なんてしないのが丸斗探偵局の局長よ…って何よその顔…。
「昨日まで遅刻記録を何で祝わないんだって言ってたのは誰ですかもう…」
いいじゃん、ついに記録ストップしたんだし。
「ま、まあ悪い事では無いんですけどね…はぁ、いつも通りですね本当…」
まあね。
…ところでさ、寝てる間にずーっと気になってたんだけど…。
「それって寝てるって言わないんじゃ…。で、どうしましたか?」
なんかこうやって探偵局に二人で一緒に行くのは久しぶり…って感じだけどそれは置いといて。
前の話の時に、デュークが色々と過去について教えてくれたじゃない?
「はい、今回は覚えてますか?」
今回は覚えたから大丈夫よ…なんか引っ掛かる言い方だけど。
でさ、その時にあの研究所からなんかずっと友達だった女性を勝手に連れ去って、そいつを犯罪組織のボスにしたって言ってなかったっけ。
「ええ、そうですね」
それってさ、どんな人?まだ言ってないわよね。
「…ど、どんな人って、いきなり言われても…」
あー、もしかしてデューク、どうせ『女神様』とかそんなものでしょ?
そういうのに萌え萌えとか言いだす、ケイちゃんが大嫌いなオタクみたいにさー…
「それは無いですよ…。ですが、女神というより、大事なリーダー格なのは正解です…ってなんですか、その引いたような顔は」
やっぱあなた、神様には向いてないわね。そんな女性をかっさらう変態だなんて…。
「へ、変態って何ですか…だいたい世界の偉い神様にもそういう人はいますよ…」
え、やっぱり変態の神様だって認めちゃうわけ?
「お願いですから変態から離れてください…」
≪AM 8:10≫
「そんな事言ってるうちに、探偵局に着きましたよ」
今の時間だと、ブランチとケイちゃんが来るのにまだまだ時間がかかるわね…たまには先に色々準備して、二人を驚かしちゃいますか。
それにしても、どんな女性なんだろうか気になるわn
「待って下さい!局長!」
え、どうしたの…
『ハーイ♪』
『元気にしてたかい?オリジナル…じゃなかった、デューク・マルト』
…え…わたしと…デューク?
『へぇ、やっぱりデュークの言ったとおりね。どこからどう見ても私じゃない?』
え…ちょ…これって…デューク…どういう…
「なんで二人とも、ここに来たんですか!!」
え!?
『なんでって言われても、目的は一つに決まってるよ。何度も「僕たち」が迎えに来たのに、君はずっと拒んできたよね。さすがにいい加減、堪忍袋の緒が切れたんだよ』
『そう言う事。私もついてきちゃった』
「な…!」
ちょ、ちょっと待ってよ!突然けしかけてきて、いきなりそれって…!!
『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『丸斗恵さん、少々静かにしてもらえますか?』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』
で…デュークが…いっぱい…。
『ああ失礼、やっぱり一気に20人も送り込んでしまっては狭かったですね』
に…ニセデューク…20人も…!?
『もうちょっと計画すればよかったわね、デューク…』
『いえいえ、こちらこそ失礼いたしました』
「くっ…!」
…ちょっと待って。色々訳がわからないけど、これだけは言わせてもらえる?
貴方たち何者?
『…え、貴方デュークから聞いてなかったの?』
…へ?
『なるほど…どうりでそんなに僕たちを見て慌てている訳ですね。分かりました、では僕が…』
「よ、よせ…やめ ぐああっ…!」
『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『オリジナルも、少し静かにしてもらおう』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』
『えー、こういう時はさー、私の出番でしょ?』
『おっとそうでしたね、メグミさん。それではよろしく』
私と顔も名前も同じ…
「や…やめてください」
『先に謝っちゃうけど、さっきまでの会話、盗み聞きしちゃった。なんか悩んでたわよね、デュークと一緒にいた完全人間の女の人が誰なんだろうって』
え…?
『それって、私。メグミ・マルトの事よ』
メグミ…マルト…私の名前…
「頼みます…お願いです…」
『そして…』
「やめてくださ…」
『貴方は…』
「やめろ!」
―――やめろやめろやめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
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≪AM 8:40≫
「きょ、局長!!」
「お、遅れてゴメンですニャ!オレが妖しい匂いにもっと早く気づいていれば…ってあれ…局長?デュークさんはどこに…」
デュークはいないわ。
「え、どこに……あの、局…長…大丈夫ですか?」
ねえ、二人とも…
…驚かないでくれるかな?
「局長…?」
「どうしたんで…ニャ?」
あのね、丸斗恵っていう人…
この世界に存在しないんだって。
「ふむf…!!!!」
「!!!!」
デューク・マルトっていう男が、創りだした人間なんだって…。
「……………………え…!?」
「局長…ニャにを…」
だからさ、私は何も過去が無いのよ。貴方達と違って。
「そんな…だって局長、探偵になりにこの街に来たって、私に…」
そうじゃない。私、その時に生まれたのよ。
デュークを私が助けたなんて嘘。不良たちにわざとボコボコにされたデュークが、自分を助けさせて、探偵局を開かせるためにあの瞬間に生まれた。
過去なんて無い、ただデュークの思い通りに生まれた存在…それが私。
「そんニャ…」
「嘘ですよね…嘘…」
道理で何も考えない性格だと思ったよ私…。
何も過去が無いんだもんね…。
デュークが創ったんだし、あいつも…あいつ…
あ…あ…あ…ああああああああああ
ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
◆丸斗探偵局から極めて重要なお知らせ◆
これまで長きにわたって丸斗探偵局及び『増殖探偵・丸斗恵』をご愛顧くださいまして、ありがとうございました。
これまで探偵局は、丸斗恵(局長)、デューク・マルト(助手)、ブランチ(ペット)、そしてこの丸斗蛍(見習い)の四名で運営をしてきました。しかしながら、数日前より局長の丸斗恵、助手のデューク・マルト共々行方を晦ますと言う事態が起きております。現在警察などで捜査をしていますが、全く情報が掴めないのが現状です。
つきましては、今後の運営が困難になったという事実を踏まえ、本日付けで丸斗探偵局を一時閉鎖致します。今後局長と助手が発見され次第業務再開を検討しておりますが、もし発見できないという最悪の事態を迎えた場合、今話を持って丸斗探偵局を廃業させて頂きます。
当方全力を尽くして二人の捜索を続ける予定のため、連載続行という形をとらせていただきますが、万が一の場合どうぞご容赦ください。
――丸斗探偵局見習い 丸斗蛍