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14.最悪の予兆

丸斗探偵局の朝は早い。助手のデューク・マルトは、毎朝八時に出勤し、正装そのままに資料の整理を始める。今日はちょっと資料も多めなので、局長の「能力」をちょっと拝借し、数人がかりで整理をしている様子。怠けてばかりの局長とは違い、テキパキと仕事を終わらせたデュークたち。


…しかし、待てど暮らせど局長が来ない。朝が苦手な恵が、助手のデュークよりも遅く来るのは日常茶飯事なのだが、それにしても遅い。

(局長やっぱり遅いな…。今日も殿様出勤かな?でも無理やり局長に早起き癖を「植えつける」のもな…)

と、その時デュークの携帯が震えだした。局長からの電話だ。


「局長!もうこんな時間ですよ、早く来ないと…」

『でゅ…デューク…ごめん、今日…』

「…え?局長…何が…」


デュークが話しかけようとした時、探偵局のドアが開いた。


「あれ、局t(ry

「痛ててて…デューク、ちょっとトイレのドア開けてくれる…?」

「ど、どうしたんですか!?」

「いいから早く!い、痛たたた…」

「きょ、局長…」


(これは…嫌な予感がしてきた…)


恵も落ち着き、デュークは局長に事情を聞いた。

「つまり、今ここにいる局長は、オリジナルの局長が寝坊に備えて創りだした分身だと」

「それは私の事ね」

「そして、オリジナルより早起きして、探偵局にいく途中に急に腹痛に襲われた、と」

「そうなのよ…昨日の夜に熱をだして、下がったと思ったらこうなっちゃって…」


ちょっと待って下さい、と言い、デュークは指を鳴らす。

時空改変で医者の技術を借り、病名を探ると、「ウイルス性胃腸炎」という言葉に行き当たった。

症状を改めて確認し、「クロ」だと認識する両者。…恵の顔は辛そうだが。


「無理しないでもいいですよ局長、今日は休まれても…」

「駄目よデューク、あくまでも私が局長、あんたはまだまだ助手でいるべきじゃない」

「なんですかその理屈…なんなら自分が予備の「局長」作って…」

「それだけは絶対駄目!…い、痛い…」

「す、すいません… 肩貸してあげますから、トイレへ行きましょう…」


(まずいぞ…かなりまずい…このままだと居場所が…)


それから何度かトイレへ駆け込む事態が続き、さすがの局長も限界ということで、一旦引き上げる事になった。

それに、家から出られない状態にいるであろうオリジナルの様子も気になる…

疲れの色が見える恵のため、デュークは彼女を片手で抱きつつ瞬間移動で恵宅へ行く事に。


マンションの一室にある局長の家。彼女から貰った合鍵を開けた時、デュークは愕然とした。

そこには、ぐったりしている局長が床で座り込み、カーペットで寝転がり、イスにもたれかけ…

「きょ…局長が10人!?」


どうやら「波」が収まった隙に分身を探偵局まで行かせようと何度か試みたようだが、全て撃沈してしまったらしい。

「「「「下痢薬飲んでも効かないし…どうしようデューク…」」」」

「局長、この腹痛と下痢には効果がないですよ」

あくまでも分身に行かせようとするあたり、今日の仕事をさぼるつもりだったのか、と腹を読むデュークだが、今はそう言う事は言っていられない。探偵局へたどり着けた分身体の恵と、その助手は、部屋でくたばりかけている局長たちに病気について説明をした。

高熱は起きるが、すぐに収まる。しかしそこから腹痛が始まり、下痢が止まらなくなる…このウイルス性の胃腸炎には特効薬がなく、抗生物質や解毒剤を飲み続ける事で時間をかけて治すしかない。勿論正○丸は効果がない。ただしこれは「現代」の話。「未来」にはちゃんと専用の特効薬が開発されているのだ。


「それで、先程仕入れてきた特効薬がこれなのですが…それでも治るのには最低一日はかかりますね…」

「「「時空改変でなんとかならないの?」」」

「いえ…もしこの能力で治したとしても、また同じ病気にかかるとは限らないでしょう?

  だから先に局長の体に免疫をつけるんですよ」

「「「な、なるほど…(よく分からん)」」」


(局長…すいません、本当は治せるんです…

  ただ、局長がこんな状態で大がかりな時空改変を使うと…)


デュークの渡してくれた薬を飲んだことで(謎の白い液体だったらしい)、取りあえず落ち着いた恵一同。



「「「「それで…デュークはどうするの?」」」」

「自分は…今日一日ここにいようかな…と」

「心配…してくれてるのか…じゃぁ…」

しかし、探偵局へ行った恵からの提案は他の恵たちにさえぎられた。彼女を除く全員の考えは、デュークをこのまま探偵局へ戻すというものだったのだ。

批判する分身体だが、確かに今デュークがいないと探偵局にもし人が来たら留守と言う事で帰ってしまい、金づるが消えてしまう…という理由を聞き納得した。

「か、金づるって…局長、結構酷いですね…」

ただ、その中にある真面目さを垣間見つつ、デュークは探偵局へ戻って行った。


残った恵たち。


「どうする?一人に戻る?」「今戻ったらまずいんじゃないかな」「ほら、一人に薬が濃縮されちゃって…」「あ、そりゃまずい」「薬は飲みすぎるとやばいもんね」

「それにしてもさすが未来人、薬飲んでからトイレに一度も行かずに済んでるし」「「未来って凄いなぁ…」」


「私ってなんでデュークに会ったんだっけ?」「確かふらっと通りかかったからデュークがボコられてて…」

「あのときってなんの用事で通りかかったんだっけか…」「うーん…」「そういえば、私ってなんで分身できるんだろう…」

「結構私って謎多いみたいね…」「あれね、なんかラノベの主人公の友人とかに有りがちな設定」「なんかそれで凄い過去持ってたりしてね」「ありそうありそう!」

(((…私って、なんなんだろう…)))


…次の日になると、無事腹の痛みもなくなり、トイレに駆け込む事も無くなった。こうして、丸斗探偵局、今回の依頼(?)は解決…したかに見えた。


…しかしあくる日。

「デュ…デュークお願い助けて…」

「嫌です」

「そんな…私の腹痛を取ってくれるくらい楽でしょ…?ね…だから…」」」

「一斉に涙目になっても無駄です。完治祝いに夜通しクリスマス用のケーキを食べてたらお腹がそうなるのは当然じゃないですか…」

「「「うぅ…デュークのケチ…ぐっ!トイレ!」」」



「ちょっと私が先よ!」「何よあんたは後でしょ!」「オリジナルの私が先に決まってるじゃない!」「誰がオリジナルですって!?」ヤンヤヤンヤ

呆れつつも、いつも通りの賑やかさが戻って一安心のデュークであった。



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